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  • 2017/05/19
  • ゲッカンタカハシゴー編集部

性的嗜好と恋愛観から探るバイクのあり方についての一考察

文:高橋 剛

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写真:真弓悟史さん
バイクという乗り物についてアレやコレやと考えまくってるんだけど、いやぁ、散らかってますね、アタマの中が。ココでもいろいろ書き綴っていきたいが、まずは散らかった自分の考えを整理整頓しなければならない(←人生最大級に苦手な行為)。

いや、正直言って散らかったままでいいと思ってるんだよね。無理に整理整頓せず、散らかったモノは散らかったまま、その散らかりっぷりを率直に書き飛ばそうと思う。散らかるにも理由があるだろうからさ。

……確かに我が脳内は散らかってるけど、いくつかの柱がビイイィンとそそり立ってもいる。バイクについて考える時の柱。ひとつは、「バイクとは、高い社会性を有する乗り物である」ということだ。めんどくさそうな字面だけど、ごく当たり前の話なんだよね。

僕も含め、多くのバイク乗りの皆さんは、バイクが好きで乗っている。その一方で、バイクは公衆の面前で走らせる乗り物でもある。社会の中にある、と言ってもいい。なお、バイクには趣味性と実用性の両側面があるけど、ここでは少しでも話を整理するために、趣味としての側面に限定したい。そして趣味とくれば、性的嗜好ですよグヘヘ。

僕はあなたの性的嗜好についてはまったく知らない。それをあなたが密室で行っている限りは知るよしもない。人に見られない・知られないところで存分に励み、性的嗜好を開花させていただきたいと思う。

だが、僕が歩いている道の真ん中で、すなわち公衆の面前で性的嗜好全開でコトに及び始めたら、話はまったく別だ。僕が警察に通報するまでもなく、あなたは猥褻物チン列罪だか何だかで検挙される。

実は僕は、あなたの性的嗜好に心の中では全面的に同意してるんだ。憧れてもいる。うらやましい。オレもやりたい。でも、そんな気持ちはおくびにも出さずに、連行されるあなたの姿を汚らわしいモノを見るような蔑んだ目で眺めるだろう。社会の中にあって、僕は「節度あるいい子」のフリをするわけだ。だから社会の中で生きて行ける。

基本的に、趣味は自由に存分に楽しみ、そのことによって心を解き放つものだと思っている。しかしそれには当然限度というものがあるし、場によって厳しく限定もされる。「節度あるいい子」のフリをしなくちゃいけないんだ。ものすごく当たり前のことだが、アッサリと忘れがちなこと、でもある。人は往々にして、好きなモノに対して盲目的一方的閉鎖的独善的独占的排他的になりがちだから。

みんな大好き恋バナに落とし込んでみよう。あなたに好きな人ができたら、あなたはその人のことしか目に入らず(盲目的)、相手がどう思おうと構わないほど好きになり(一方的)、ほかの誰も立ち入れないふたりの世界を築き(閉鎖的)、ふたりだけの幸せを願い(独善的)、相手を自分だけのものにしたいと思う(独占的)。恋愛ってそういうものですよね。

ふたりだけでイチャイチャしている分には、それで一向に構わない。ふわふわと現実離れした夢見心地こそ、イチャイチャの醍醐味だ。ふたりだけで思いっ切り性的嗜好を炸裂させるといい(密室で)。しかし、さらに話が進んで結婚となると、ふたりの間に社会が割って入ってくる。恋愛は役所に届け出る必要はない。結婚は原則的に役所に届ける。途端に、やれ戸籍がどうの、世帯主がどうした、保険はどうすんだ、税金はどうなる、などなど、面倒な現実のまっただ中に叩き込まれるのだ。しかし、それらをこなしていけば、ふたりは社会に認められ、一定の権利を与えられ、ふたりの生活の基盤を形作ることができる。

さて、僕たちの大好きなバイクである。僕とバイクの2者だけなら、どんなに盲目的一方的閉鎖的独善的独占的排他的でもまったく構わないと思う。ホンダの広告のように脳天気に「バイクが好きだ」とだけ言っていればいい。ドームのように完璧に密閉された広大な私的空間を用意できれば、一切を気にすることなく存分に「好きだー好きだ好きだ好きだー」と叫んでいられる。「これぞ真のネイキッドだぜ~」と、真っ裸でネイキッドバイクに乗っても誰も文句は言わない。

だが、文字通り「現実的には」そうはいかない。あなたがバイクを走らせるのは、「公道」という名が示す通り、公の舞台だ(話をシンプルにするために、クローズドコースは除く)。公である限り、社会の名の下に押し寄せてくる現実を、決して無視できない。でも、好きという抗えない気持ちもある。好きにしたいと思う。好きにしちゃうこともある。

すんげえ好きだけど、すんげえ現実的。すんげえ個人的だけど、すんげえ社会的。バイクに乗るということは、言ってみれば、恋愛と結婚がごちゃ混ぜになっているようなものだ。お恥ずかしい性的嗜好をおおっぴらにするようなものだ。そして優先すべきなのは、もちろん、常に現実であり、社会だ。

自分が死ぬほどバイクが好きだという感情は、当然、ベースにある。でも、「社会の中にあるバイク」という現実から目を背けちゃいけない。この、ひどく難しくて際どいバランス取りこそ、バイクという乗り物の面白さのひとつだと、僕は思っている。

「バイクとは、高い社会性を有する乗り物である」

これが、僕の散らかった脳内にビイイィンとそそり立つ柱のひとつだ。素直に言えば、「バイク好きだ好きだ大好きだバイク最高!」という気持ちも熱く激しく渦巻いている。でも、そういう自分の感情はいったん切り離して、社会的な乗り物であるということも理解しなくちゃいけない。

「あなたもそうあるべきだ」なんて言ってるわけじゃないよ。考え方はいろいろあっていい。でも、メディアに携わっている僕は、バイクが有する社会性を強く胸と頭に刻んでおかなくちゃいけない。すげえ好きだけど、ただ脳天気に好きとは言っていられない。「本当に好きでいいのか?」と疑ってかからなくちゃいけないんだ。メディア人としての基本姿勢だよね。だから、ますますとっ散らかる。

だけど実際のところ、時代が成熟するにつれて、社会性の方がずっと重要になってきているように感じるんだ。そのことの個人的な好き嫌い・善し悪しは別にしてね……。

あーあ。つくづくめんどくせぇけど面白い乗り物だよ、バイクってのは!! ま、アレやコレや考えながら、整理整頓していくよ(←人生最大級に苦手な行為)。


結局バイクだろ。

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