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  • 2017/09/05
  • 遠藤正賢

新型日産リーフ発表直前・初代リーフを試乗して振り返る

走りと装備の質感は着実に進化。航続距離は1.4倍に

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日産リーフG(30kWh)
新型2代目日産リーフがいよいよ明日、2017年9月6日にワールドプレミアを果たす。2010年12月の発売以来、二度の大幅マイナーチェンジを経て進化し続け、世界累計販売台数20万台を突破、EV普及の立役者となった現行初代リーフを今、改めて振り返る。
現行リーフのパワートレインとプラットフォーム

EV専用車であるリーフは、パワートレインのみならずプラットフォームも専用で開発。フロントにモーターとインバーター、ホイールベース間にリチウムイオン式駆動用バッテリーを搭載する中で、空気抵抗の低減と低重心化、室内・荷室空間の確保、ボディ剛性の向上が図られている。

内外装も、この専用プラットフォームが与えられたことでリーフ独自のデザインとなり、デビュー当時の資料を読み返してみると、これにより「EVならではのスタイリングを実現した」とされている。では、実際の仕上がりはどうだろうか?

コンサバティブなデザインが与えられた現行リーフのリヤまわり

まずエクステリアについては、現在もデビュー当時も変わらず、フロントの開口部が極端に少ないことを除けば「EVにしては普通のデザイン」、「普通のガソリン車と比較すればややデザインコンシャス」という印象を拭えない。特に日産車の中では、現在よりもむしろデビュー当時の方が前衛的なデザインを持つモデルが多く見られたため、より一層その地味さが際立ってしまったと言えるだろう。

ツインメーターとシフトセレクターを採用した現行リーフの運転席まわり

インテリアについても、ツインメーターやシフトセレクターにこそ近未来的テイストを感じられるものの、前者はホンダ・シビックおよびインサイト、後者はトヨタ・プリウスにほぼ同様のものが先に採用されており、目新しさはデビュー当時から乏しかったというのが率直な所だ。

最先端の技術を満載したゼロエミッションのEVという性質上、購入層は新しもの好きの一般ユーザーか官公庁・企業にほぼ二分されるが、もし前者をより重視しマーケティングしていたとすれば、そのデザイン決定プロセスにはやや疑問を抱かざるを得ない。

だが、このEVとしてはコンサバティブな内外装は、2012年11月、2015年11月の二度にわたりマイナーチェンジが行われた際も大きく変更されることはなく、こうしてモデルチェンジの時を迎えるに至っている。

新型リーフのサイドビューイメージスケッチ

新型リーフは、先行公開されている部分カットやスケッチを見る限り、極めてシャープで未来的なスタイルに進化していることがうかがえる。実車がどのように仕上がっているか、大いに期待したいところだ。

現行リーフのフロントシート
現行リーフのリヤシート

パッケージングについても、EVにしては広く快適と言えるだろうが、同クラスのガソリン車と比較すれば前後席ともボディの全高に対して着座位置が高い。特に後席は頭頂部・側頭部ともクリアランスに乏しく、シートサイズも明らかに不足しているため、新型では抜本的な改善を望みたい。

現行リーフの30kWhバッテリーモジュール

その一方で走りは、二度のマイナーチェンジを経て着実に進化を遂げている。当初駆動用バッテリーは24kWhのみで、JC08モード航続距離は200kmに留まっていたが、2012年11月のマイナーチェンジで80kgの軽量化や回生性能アップ、ヒートポンプ式キャビンヒーターの採用などによりJC08モード航続距離を228kmに延長。

2015年11月のマイナーチェンジではさらに、30kWhの駆動用バッテリーが新たに設定されたことで、JC08モード航続距離が280kmにまで伸び、しかも室内空間を損なうことなく8年16万kmの容量保証を実現している。この30kWhバッテリーを搭載した最上級グレード「G」を、外気温35℃の猛暑日にエアコン全開で、加減速も遠慮せずに走らせ続けてみたが、車載メーターの航続距離は160km以上を示していた。

現行リーフ「G」の215/50R17 91Vタイヤ。銘柄はダンロップ・エナセーブEC300

それ以上に進化したのはハンドリングと乗り心地だろう。デビュー当初は、補助金なしで400万円、補助金込みで300万円を切る価格を実現するためか、随所にコストダウンの跡が見られた。だが、2012年11月のマイナーチェンジで80kg軽量化された際、サスペンションや電動パワーステアリングのセッティングが見直されている。

実際に最新モデルの17インチタイヤを装着する「G」を走らせてみると、荒れた路面でこそやや微振動を伝えるものの凹凸をしなやかにいなしてくれる。また、ステアリングの手応えも、低速域こそ中立付近の手応えが乏しいものの、旋回時や速度が上がった際は適度にインフォメーションを伝えてくれる。

現行リーフのモーターおよびインバーター

モーターのみで走行できる車両は、エンジンが(始動してい)ないことでロードノイズや風切り音が目立ちやすい傾向にあるが、リーフはEV専用車ならではの徹底した空力設計と遮音対策の賜物か、高速域でも静粛性は極めて高い。この点については昨年11月に発売されたノートe-POWERと決定的に異なっており、長時間ドライブ時の疲労軽減に一役買っている。

日産ノートe-POWERメダリスト
BMW i3

ただし、2012年11月のマイナーチェンジ以降搭載されているEM57型モーターの109ps・25.9kgmというパワー・トルクは、1480kgの車重に対しては必要充分ではあるものの、車重がモーターは全く同じだが250kg以上軽いノートe-POWERや、170ps・25.0kgmのモーターを搭載し車重も100~200kg軽いBMW i3と比較すると、前者に対しては瞬発力、後者に対してはスピードの伸びに物足りなさを覚えてしまうのも事実。

新型リーフに採用される「e-Pedal(イーペダル)」の制御イメージ

また、リーフの回生ブレーキは、ノートe-POWERやBMW i3のように、アクセルOFF時に完全停止するまで強力に発生し、アクセルペダルだけで加減速をコントロールできるような制御とはなっていない。この点についても、アクセルペダルのみの操作で、発進、スピードアップ、スローダウン、停止保持を可能とする「e-Pedal(イーペダル)」を採用する新型リーフでの大きな進化が期待されるところだ。

新型リーフに採用される「プロパイロット」作動中のメーター画面

予防安全技術については、現行リーフは2015年11月のマイナーチェンジでエマージェンシーブレーキとLDW(車線逸脱警報)を全車標準装備しているが、新型リーフでは新型セレナやエクストレイルに採用されている「プロパイロット」に、自動駐車を可能にする「プロパイロットパーキング」も加えられ、劇的に進化することがすでに明らかにされている。

新型リーフのリヤ部分カット

EVの普及に貢献した初代日産リーフが、ついに世代交代の時を迎えた。そして間もなく全貌を見せる新型2代目リーフは、初代が克服できなかった課題を乗り越え、そのコンセプトワード通り「Simply Amazing」をドライバーにもたらしてくれるだろうか?

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