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新型Sクラスの走りと先進運転支援システムに迫る! 【試乗記】メルセデス・ベンツ Sクラス、王者たる進化。

  • 2017/09/26
  • GENROQ編集部
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Mercedes-Benz S560 4MATIC long

常に時代の最先端を走ってきたメルセデスのフラッグシップサルーン、Sクラス。この度のビッグマイナーチェンジにより、Eクラスに採用された先進運転支援システムがさらなる進化を遂げ、新開発V8エンジンを搭載するなど商品力を高めている。モータージャーナリストの高平高輝氏が新型を味わってきた。

REPORT◎高平高輝(Koki TAKAHIRA) PHOTO◎小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

メルセデス・ベンツ Sクラス MotorFanオリジナル自動車カタログ

常に最新かつ最高であるために…….。

でかい、凄い、高そう、しかも新型は外からスマホ操作で駐車場に出し入れできるんだって、と世間が驚くのは間違いないが、一般人にはまず縁のなさそうな“ベンツのSクラス”がそれでもスーパーカーと違うのは、何よりも“仕事のクルマ”であることだ。

大企業のトップや大統領や首相など、偉い人をリヤシートに乗せるクルマがメルセデス・ベンツSクラスである。さすがに今では偉い人でもミニバンに乗るご時世だから、そこまで固まった見方はしないが、かつてSクラスに本当のライバルはいなかった。ロールス・ロイス/ベントレーは趣味性の強い工芸品のようなものだったし、BMW7シリーズや、ずっと遅れて登場したアウディA8などはもっとスポーティーなキャラクターを備えた新興勢力であり、実用性を兼ね備えたエグゼクティブサルーンとしてのSクラスは絶対的な存在だった。

それゆえに現行型(W222)がデビューした時には、その艶やかさにびっくりしたものだ。質実剛健なフォーマルサルーンの代名詞とは思えないほど、ラグジュアリーでエレガントなフラッグシップに生まれ変わっていたからだ。それは好評を博し、2013年から昨年末までの3年間で30万台以上も売れたという。

それにもかかわらず、わずか4年ほどでマイナーチェンジを受けた背景には、厳しくなるいっぽうのエミッション規制や将来の自動運転を見据えたADAS(先進安全運転支援システム)の急速な進歩がある。「最善か無か」という有名なスローガンを体現するSクラスは、常に最新かつ最高であることが求められるのだ。したがって今回の主な改良点は新しいパワートレインの採用とインテリジェントドライブのさらなる充実ということになる。昨年発売されたEクラスは、その時点でもっとも洗練された先進安全運転支援システムを搭載していたが、その上下関係を改めて整頓しなければならなかったと言えるだろう。

悠揚迫らぬ4.0ℓ V8ツインターボ。

従来型はディーゼルハイブリッドやガソリンハイブリッド、さらにはPHEVまで多種多様なラインアップ(AMGを除いて8車種)が揃っていたのだが、今回日本仕様として発表されたSクラスはAMGモデルを含めてわずか7車種に絞られてしまった。しかも当面導入されるのはS400とS560 4マティック ロング、そしてAMG S63 4マティック+ロングの3車種に限られ、残る4モデル(S560ロング、S600ロング、S63ロング、S65ロング)は今年末ぐらいの納車になるらしい。

もちろん今後増えるとは思うが、ずいぶんと思い切った車種設定だ。しかもほとんどがロングホイールベース仕様である。スタンダードのS400でもホイールベースは3m越えの3035mm、全長は5125mmで全幅は1900mmという堂々たるサイズである。ロングボディは全長もホイールベースもさらに130mm長く、車重も軒並み2.2tを超える。今や日本ではロングを選ぶ人が大半だというのだが、自らステアリングホイールを握るには正直気が重くなる巨体だ。

主力モデルになるだろうS560のエンジンは、従来型の4.7ℓV8ツインターボから4.0ℓ V8ツインターボにいわばダウンサイジングされたが、モデル名は550から560にわずかに数字が大きくなっている。「560」という数字に懐かしさを感じる人もいるだろうが、今やモデルナンバーと排気量、あるいは出力の数字とは直接的な関係はない。これまでが550だったから、それに比べて560ということなのだろう(上にはV12の600がある)。

ちなみに本国では従来型はS500というモデル名であり、今回のマイナーチェンジで新開発の3.0ℓ直列6気筒ターボを積む高性能版がS500になった(S560とは別)。ガソリンとディーゼルの各ターボ版が存在する新型6気筒ユニットは48V化されてISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を備え、補器類を駆動するベルトを持たない(すべて電動)注目の新世代ユニットである。しかしながら日本に導入されるのか、されるとしたらいつごろか、についてもまったく分からないという。最先端であることがSクラスの真髄なのに、まことに残念なことだ。

4.0ℓ V8ツインターボはもともと2シータースポーツカー「AMG GT」用(こちらはM178という)に開発されたもの、2基のターボチャージャーをVバンクの谷間に収めた軽量コンパクトなユニットで、さらにメルセデスが「NANOSLIDE」と称する特殊なシリンダーコーティングを施すなど、非常に高度で手の込んだエンジンだ。低負荷時にはV8のうちの4気筒を休止させる機構も備わる。M176型V8ツインターボは469ps/5250〜5500rpmと700Nm/2000〜4000rpmを発生、トランスミッションも9段ATとなり、他のモデルに追いついた。

Sクラスともなれば静かでパワフルなのは当然で、そのパワーをいかに上品にエレガントに生み出すかが肝要だが、S560のV8ツインターボは滔々と流れ出る豊かな河の流れのように、いつでも滑らかに静かに、必要なだけの力があふれ出てくる感覚だ。いっぽうでフル加速すれば0→100km/h 加速のメーカー値は4.6秒というから恐れ入る。S560 4マティック ロングは2.2t余りの巨大サルーンである。それが現行型のポルシェ911カレラと同タイムの速さで飛び出すというのだ。

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