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  • 2017/11/04
  • Motor Fan illustrated編集部

【東京モーターショー】パイオニア 実証実験を進める3D-LiDARの試作機を披露

HERE社との提携で自動運転用地図事業も強化

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プレスブリーフィングにて、スクリーンに投影された3D-LiDARのロードマップを前にそのプロトタイプ実機(現段階ではモックアップと思われるが)を掲げるパイオニア取締役兼常務執行役員・大館 諭氏。手のひらに載る大きさに注目だ。
3D-LiDAR の研究開発を進めるパイオニアは、2020年をめどにその量産化を目指すという。オランダHERE(ヒア)社との提携により、自動運転用地図とその更新、運用システムの構築への注力姿勢も明確化、ナビメーカーならでは切り口から自動運転技術に対しての包囲網を固める構えだ。
TEXT:高橋一平

近い将来のドライブ環境を疑似体験することのできる「コンセプト・コックピット」がステージ中央を華々しく飾っていたパイオニアのブース。しかし、その本命とも言えるのは小さなクリアケースに納められた展示だった。

2017年9月下旬より自動車メーカーなどに向け同社が供給を開始している3D-LiDARのサンプルをはじめ、対応距離(レンジ)や視野角などが異なる4種類の製品を参考出品として展示。10月26日に行なわれたプレスブリーフィングに登壇した同社取締役兼常務執行役員・大館 諭氏のスピーチは、同社における3D-LiDARの開発状況と、今後数年に向けた目標についてという部分から始まり、そのロードマップがスクリーンに投影されると、手のひらに載るほどコンパクトな3D-LiDARのプロトタイプ実機を自ら掲げるなど、3D-LiDARに対する意気込みが強調されたものとなっていた。

現在開発中の3D-LiDAR群。中央の展示台右側がプレスブリーフィングで大館氏が掲げていたもの。左側の展示台に載る無骨な箱状のものは、すでに同社が供給を開始している検証用のサンプル製品、先の品と比較してみるとその大きさがよくわかる。右側の展示台上のものは超広角タイプで、こちらはMEMSのマイクロミラーではなく機械的に回転するミラーを持つようだ。中央の展示台に載る二台とはスキャンに用いるレーザーの軌跡も異なっている。

同社の3D-LiDARで注目すべきはMEMSと呼ばれる半導体上に構築するマイクロマシン技術の応用。レーザーの投射方向のコントロールにMEMS技術による角度制御可能なマイクロミラーを用い、ジグザグ状の軌跡で走査していくラスタースキャン方式を採用、ソリッドステート部品のみでメカ部分を一切持たないということから、小型化はもちろん、耐久性などといった信頼性の面において飛躍的な進歩をもたらす可能性を秘めているといっても過言でない。

左右側面まで回り込む大きな視野角を持つ超広角タイプの3D-LiDAR。視野角は公表されていないとのことだったが、センサー面の形状から察するに270度前後はありそうだ。ここまでの視野角となると、半導体の平面上にマイクロミラーを配置するMEMS技術での対応は難しいとみられる。「ウォブリングスキャン方式」と呼ばれる走査方式を採用するとのことで、球状を形成するセンサー面(窓)の中心部分で回転するミラーによりレーザーをらせん状に走らせるかたちとなるようだ。
2017年9月下旬から自動車メーカーなどに向けた供給が始まっている、3D-LiDARの検証用サンプル製。正面右上に見える小さな窓がレーザーの投射と検出のためのもので、MEMS技術によるマイクロミラーを用いるという同社ならではの特徴だ。
200m先までの物体を検知することのできる望遠タイプの3D-LiDARを中央に、その両脇に標準的な視野角と距離レンジを持つ3D-LiDARを左右に振り分けるかたちで配置し、ひとつのユニットにまとめたもの。現状はまだモックアップであるとのことだったが、センサー部分の形状などからMEMSのマイクロミラーを用いることを前提したものと思われる。大きな視野角と長距離レンジへの対応を両立させるための提案だ。フロントウィンドウ内側の室内に設置することを想定しているとのことだった。

ちなみに、このMEMS技術による角度制御可能なマイクロミラーは、光源にレーザーを用いるHUD(ヘッドアップディスプレイ)にも応用が可能であり、ブースには同技術を用いるHUDの試作品も展示されていた。スピーチでは他にも先に(2017年9月)同社が資本提携を行なうとの発表があったオランダのHERE Technology(ヒアテクノロジー)社、パイオニアの子会社であるインクリメントPとともに三社体制で自動運転用地図事業の推進を加速、これにより日本政府の推進するSciety5.0においても次世代GIS(地図情報サービス)技術で貢献していくことをアピール。自動運転用地図の更新や配信という運用を効率的に行なうためのデータエコシステムの開発、構築にも注力していくとのことで、3D-LiDARから地図情報まで、自車位置の把握(推定)という観点から自動運転技術に対して包囲網を築いていこうという、カーナビ分野において草分け的存在である同社らしい姿勢が窺えるものとなっていた。

レーザーを光源として使うことで高輝度、高コントラストの表示を実現するレーザースキャンHUD。同社はかねてから同技術の開発を進めており、今回展示されていたのはその最新世代に当たる技術。レーザーの投射方向の制御に用いられるのは、3D-LiDAR と同様のMEMS技術によるマイクロミラーだ。HUDに必要不可欠なハーフミラーという要素には輝度やコントラストを稼ぐのが難しいという問題がついてまわるが、この展示技術ではこうした問題を見事に解決。文字などの輪郭部分までくっきりと見やすいシャープな表示も印象的だ
自動運転に必要とされるセンサー類に加え、レーザーHUDや高音質の2chフロントスピーカー、タッチパネル式の大型ディスプレイなどを備える「コンセプト・コックピット」。近い将来のドライブ環境が疑似的に体験できるというもの。心拍センサーや監視用カメラなど、ドライバーの状態検知用のセンサーが複数搭載されている点も特徴のひとつだ。
同社の予定する3D-LiDARのラインナップ構成。シングルレーザーという要素を核に、ラスタースキャン方式、ウォブリングスキャン方式という二つの走査方式を採用することで、望遠、標準、準広角、広角といった多様性を確保していく予定だ。

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