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  • 2018/02/20
  • MotorFan編集部

1966年鈴鹿で勝利したスポーツ800が トヨタGR Ver.で復活!【Nostalgic 2 Days 2018】

ホンモノのレーシングマシンをワークスメカが入魂レストア

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子供も喜ぶかわいらしさとカッコよさ。前後のクイックジャッキバーは伊達じゃない。
今年10周年を迎えた日本最大のノスタルジックカーイベントNostalgic 2 Daysが2月17日、18日に横浜で開催された。全国の旧車ショップのみならず大手自動車メーカーも出店しており、トヨタブースでは歴史的な名車を展示。なかでも存在感を放っていたのがGazoo Racingカラーを身にまとったスポーツ800だ。(PHOTO&REPORT:石川順一)

Nostalgic 2 Days会場では往年の名車スポーツ800、通称ヨタハチの展示がいくつか見られた。中でもひときわ存在感を放っていたのが、トヨタブースの一台だ。Toyota Gazoo Racingの手でレストアされたこのスポーツ800は、ただのヨタハチではない。ベース車自体がそもそも当時のワークスレーサー。しかも、1966年に開催された鈴鹿耐久レースの先駆け「第1回 鈴鹿500キロレース」でワンツーフィニッシュを飾ったうちの一台だという。つまりトヨタのレース史にとっても価値あるマシンが、現代のカラーリングをまとって蘇ったというわけだ。

大衆車をベースにしたスポーツカー

Gazoo Racingカラーをまとったこのマシンを眺めながら、スポーツ800について振り返ってみる。トヨタ・スポーツ800とは、1965年から69年まで販売された同社初のスポーツカーである。しかし、当初は市販化する予定がなかったといわれており、あまり開発費が割けなかったためか、コンポーネントのほとんどを当時の大衆車、パブリカから流用もしくは強化して使用している。エンジンも一から設計することが許されず、パブリカのものを強化して搭載しているが、それでも最大出力は45psと、ライバル車のホンダS600(57ps)と比べても心もとない数値だった。

それでも、ヨタハチは最高速155km/hとスポーツカーの名に恥じない性能を誇っている。その秘密は非力なエンジンを活かす空力特性に優れたボディと軽量な車体にある。

元航空技術者が手掛けたという丸みを帯びたデザインは、全長3,580 mm ×全幅1,465 mm ×全高1,175 mmという今の軽自動車と変わらないコンパクトなサイズで限界まで空力抵抗を低減させることを意図したもの。機能美を追い求めた結果、愛らしさがでてきたというのは実に興味深い。

車重もわずか580㎏ということもあり、加速に優れるだけでなく燃費も良い。前述の鈴鹿500kmで使用されたマシンは一度もピットインすることなく優勝した上、30%も燃料を残していたというほどだ。実際にスポーツ800を所有しているオーナーさんの話を聞いても、リッター16km程度は走るというから、ヨタハチはエコカーのご先祖様ともいえるかもしれない。


思わず笑みがこぼれる快活な走り

このスポーツ800 GR CONCEPTは、そもそも当時のレーシングカーだ。耐久レースで使用できるように艤装品をはじめ改造跡がそこかしこにあり、市販車とはまったく異なるといっても過言ではないほどだったという。

スポーツ800 GR CONCEPT プロジェクトリーダー、トヨタ自動車の小川裕之さんは、レストアするにあたって、先人たちの工夫を知るいい経験になったという。

「見たことのない改造ばかり。当時の姿を再現するためにはマシンを作り上げた先輩たちが『なぜそうしたのか』を読み取らなければいけません。クルマを通して当時のメカニックの苦労や思いが伝わってくるようでしたね」

作業を進めれば進めるほど、この車両のワークスレーサーたる所以、当時の職人技がいかにすごかったかがうかがい知れた。

小川さんはそのうえで、ただレストアするだけでなく、ワンステージ上の走りを目指したという。

「コンセプトは『当時の味を残しつつ、しっかり走れる』こと。単に復元するだけでなく、今だからこそできるチューニングを施して、旧車だからといって遠慮することなく楽しく走れるマシンに仕上げました」

エンジンは当時の高回転型のセッティングを活かしつつ、各部品の加工精度の向上とエンジンバランスとりを行うことで高回転の伸びを強化。チタン製のメガホンマフラーと組み合わせることで最高出力は70psに達した。ボディ補強に加え、サスペンションもGazoo Racingでワークスマシンを担当するメカニックがチューニングしており、旋回性能を高めた。

実際、昨年12月に開かれたメディア向けの試乗会では、はじけるようなサウンドを響かせながら快走を見せ、参加者をうならせていた。

今後はヒルクライムレースへも出場させてみたいと小川さん。

「ドライバーが楽しめるのはもちろんですが、こんな小さな車が頑張っている姿を見て、みんながニコッとしてくれたらうれしいですね」と顔をほころばせた。マシンを前に笑顔で子供やパートナーと写真を撮る来場者を見ている限り、小川さんの思いはいつか叶いそうだ。

【specification】
■スポーツ800(ベース)
乗車定員 2人
ボディタイプ 2ドアクーペ / タルガトップ
エンジン 2U型 790cc 空冷水平対向2気筒OHV
エンジン位置 フロント
駆動方式 後輪駆動
最高出力 33kW (45PS)/5,400rpm
最大トルク 67N·m (6.8kgf·m)/3,800rpm
変速機 4速MT
サスペンション 前:ダブルウィッシュボーン/後:半楕円リーフ
全長 3,580mm
全幅 1,465mm
全高 1,175mm
ホイールベース 2,000mm
車両重量 580kg


■スポーツ800 GR CONCEPT 主要装備
ボディ/シャシー 前後クイックジャッキ用バーフレーム、ボンネットピン、給油口移設、大容量ガソリンタンク、3点式ロールバー、レーシングサス
エンジン フライホイール&冷却ファン軽量化、オイルパン増設、大口径キャブレター&マニホールド、圧縮比アップ、ハイカムシャフト、メガホンマフラー(最高出力70ps ※ノーマル45ps)


■GRチューニング内容
ボディ補強(ロッカー~サスペンション支持部)、エンジンバランス取り、専用フロントパイプ&マフラー、点火系強化、専用ダンパー、専用シート&内装、専用メータパネル
※主要装備とチューニング内容はプレスリリースより

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