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マーケットの変化に素速く対応したSUZUKI 中国での生産から撤退! スズキの判断は何を意味する?

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写真は2009年に長安鈴木が生産累計100万台を達成したときのもの。

スズキが世界最大の自動車市場である中国を見限った?
長安鈴木のスズキ持ち分である50%の株式を長安汽車に譲渡し、
中国における自動車の生産からの撤退を決断したのだ。
その理由は、「市場の変化」にあるという。
多くの日本企業にとって他人事とは思えないことが起きている。

世界最大の自動車市場に見切り?

 スズキは中国の長安汽車との合弁会社である重慶長安鈴木汽車有限公司(以下「長安鈴木」)のスズキ持ち分である50%の株式を長安汽車に譲渡し、合弁を解消することを9月4日に発表した。

 今後、長安鈴木は長安汽車の100%子会社として経営を継続し、同時にスズキから派遣していた総経理(日本の社長に当たる)は辞任する。そして長安鈴木は引き続きスズキモデルのライセンス生産および販売を行うという。

 スズキの鈴木修会長は「約25年前にアルトを投入し、中国市場の開拓に努力してきたが、中国市場が大型車の市場に変化してきたこともあり、今般、全持分を長安汽車に譲渡することとしました」とコメントした。今回の株式譲渡によるスズキの今期の業績に与える影響はほとんどないという。

こちらはスズキのインド子会社「マルチ・スズキ」の小型セダン「ディザイア」。インドにおけるスズキの成功は目を見張るものがあり、「バレーノ」のように日本に輸出されるモデルもある。

スズキの並外れた外交センスから目を離すな

 もちろんライセンス生産は細々と続けるようだし、中国は今年の7月に輸入車への関税引き下げを行っているから、日本から中国への輸出という選択肢も残されている。だが、いずれにせよスズキは世界最大の自動車市場である中国での自動車生産から完全に撤退するのである。

 これはいったい何を意味するのか?

 もちろん、公式コメントを額面通り受け取ればほぼ間違いはない。中国の顧客の嗜好が大型車やSUVにシフトし、スズキが得意とする小型車は販売が伸び悩んでいる。そもそも小型車は一台当たりの利益が低い。大型車ばかりが好まれるようになってしまっては、スズキにとって中国がそれほど重要な市場ではなくなるのは当然だ。

 しかしよくよく考えれば、多かれ少なかれ「日本のメーカーの強み」は、「スズキの強み」とオーバーラップする。確かにレクサス、インフィニティ、アキュラといった高級ブランドや、大型ピックアップのような北米専用車など、人気の高い日本車はコンパクトカーに限らない。だが、欧州勢や北米勢に対して日本勢が大きなアドバンテージを築いているのは、やはりどちらかといえば小さいクラスだろう。

 そして、引き下げられたとはいえ依然と存在する関税を避けるため、現地企業との合弁を余儀なくされ、技術の流出が懸念される中国市場の特殊性もある。今や人件費もけっして安くはなく、旨みは限りなく少なくなってきている。

 これまでスズキは、並外れた「外交センス」でハンガリーやインドやインドネシアといった成長市場でイニシアチブを握ってきた。今回の彼らの判断を他山の石とする経営者はけっして少なくないはずだ。
 
 

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