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  • 2019/03/16
  • ニューモデル速報

ライバルと比べてみてわかったトヨタ・クラウンの驚くべき進化〈Eクラス、レジェンド、フーガと比較インプレッション〉

国産アッパーミドルセダンの走りのイメージを大幅に刷新!

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静粛性や快適な乗り心地、ユーティリティは優れていても、走りの面ではまだまだ課題がある......。そんなこれまでの常識は、新型トヨタ・クラウンの前では過去のものとなるだろう。その圧倒的なダイナミック性能を、メルセデス・ベンツEクラス、ホンダ・レジェンド、日産フーガといった欧州や国内の個性的なライバルたちと比較してみた。

REPORT●石井昌道(ISHII Masamichi)
PHOTO●神村聖(KAMIMURA Satoshi)/平野 陽(HIRANO Akio)/中野幸次(NAKANO Koji)

欧州の強豪と比較される存在となった近年のクラウン

 1955年に初の純国産車として登場したクラウンは、日本の高級車として独自の進化を遂げていったが、いつの日からかコンサバティブに過ぎる存在ともなっていった。そこで十二代目のいわゆるゼロクラウンではプラットフォームやパワートレー ンといったハードウエアが一気に刷新されるタイミングが重なったこともあり、イメージをもガラリと変えることになる。十一代目でスマッシュヒットとなったアスリートのキャラクターを活かして若々しくスポー ティなモデルへと変貌を遂げたのだ。

 確かにそれは一定の成功を収め、新たなユーザーを獲得することにもつながったが、走りが自慢の欧州プレミアムカーたちと比べられるようにもなった。速度無制限のアウトバーンや世界一過酷なサーキットのニュルブルクリンクで足腰を徹底的に鍛え上げてくるメルセデス・ベンツや BMWを向こうに回すと、それはそ れで厳しい一面もある。特に、日本車が技術的優位性を持っていた1980〜1990年代と違って2000年代は欧州勢がなりふりかまわずハードウエアで巻き返してきたものだから、なおのこと比較対象としては手強くなった。走りのスポーティさや操縦安定性だけではなく、もともとクラウンが得意としてきた静粛性や快適性といった領域まで彼らに浸食される。 世紀に入ってからのクラウンは、欧州プレミアムカーが持つ価値観に近づいたことによって、 それらとの相対評価では茨の道を歩むことにもなったのだ。

 欧州勢の進化の要のひとつはボディにあった。軽量・高剛性、そして高品質に仕上げるために、高張力鋼板やアルミニウムなどを積極的に採り入れる。素材置換だけではなく、溶接や接着などの接合技術も大いに 進化した。それは生産設備への思い切った投資が必要とされるもので、プレミアムカーに専念しているメル セデス・ベンツやBMWでは比較的に決断がしやすいが、大衆車から高級車まで幅広いラインナップを揃え規模にして約5倍にもなるトヨタは、 船が大き過ぎるがゆえ、舵を切ってから望む方向へ向かうのに時間が掛かるものでもあった。

 だが、十五代目となる新型クラウ ンは、ディスアドバンテージなく世界の強豪と戦える武器を手にした。TNGAによる新規プラットフォー ムやパワートレーンは、大きなトヨタをカンパニー制によって賢く分割して舵を効きやすくした成果が表れ、各モデルを大幅に進化させたのだ。

 今回は新型クラウンのライバルとして日産フーガ、ホンダ・レジェン ド、そして欧州プレミアムカー代表のメルセデス・ベンツEクラスを連れ出した。それらと比較する前に、新旧クラウンの乗り比べを行なったが、それは衝撃と言えるほどのものだった。

 先に新型をたっぷりと乗り込んでから先代に乗り換えたこともあって、その落差には唖然とした。先代のステアリング操作から受ける印象は、 フニャフニャとして接地感が曖昧で、どこが明確な直進状態なのか、どこから舵が効き始めるのかわかりづらく、コーナーに対して切り込んでいっても思った通りに曲がり始めるまでタイムラグを感じる。対する新型は中立付近がピシッとしていて微舵に対する反応も明確。切れば切っただけ曲がっていく感覚がある。そのフィーリングの違いは小さくなく、パワーステアリング・ユニットをグレードアップしたぐらいではこうはならない。やはり、GA—Lと呼ばれ る新規プラットフォームおよびボディに、各部の剛性がしっかりあり、なおかつ低重心など、生まれながらにして運動性能の資質が高いから実現できるのだ。

 今回はクローズドのワインディングコースでの試乗だったため、新型のフィーリングの良さに気分が乗ってペースをどんどんと上げていってしまったが、例えウエット路面でも素晴らしく安定しているのでひるむことはない。ハードなコーナリング中に路面のアンジュレーションが変化しても、リヤタイヤはトレッドを ビタッと路面に張り付かせ続ける感覚が強く、信頼が置ける。それがあ るからフロントをシャープにしてもまったく問題がないとばかりに舵の効きが良く、大胆にコーナーへ飛び込んでいける。感覚的には先代に対して3割増しのペースで飛ばしていてもドライバーは精神的に余裕たっぷりでいられるぐらいに違う。

 先代モデルの試乗車は2.5ℓハイブリッドだったが、これもまた新型の2.5ℓハイブリッドとの差は 大きかった。最も違いを感じるのは反応の良さ、レスポンスだ。先代はアクセルを踏み込んでからエンジン回転数が高まり、それから加速が 徐々に高まっていって、望んだGに達するまでにかなり時間が掛かるが、 新型は間髪入れずに背中がシートバックに押しつけられる。ダイナミックフォース・エンジンの進化が主な要因だと思われるが、ドライバビリティやファン・トゥ・ドライブとは無縁だったTHSIIが、ここまで進化するとは驚きだ。

TOYOTA CROWN

鍛え抜かれた骨格が別次元のハンドリングを実現した

快適な乗り心地を失うことなく、正確無比なステアリングと高い後輪スタビリティによる爽快なコーナリング性能を得られたのは、完全新設計のTNGAプラットフォー ムの恩恵が大きい。3種類が用意されるパワートレーンも細かなチューニングが施され、より魅力を増している。


■TOYOTA CROWN 2.0RS
直列4気筒DOHCターボ/1998㏄
最高出力:245㎰/5200-5800rpm
最大トルク:35.7㎏m/1650-4400rpm
JC08モード燃費:12.8㎞/ℓ
車両本体価格:518万4000円

伸びやかなサイドシルエットから、大胆に絞り込まれたリヤエンドへの造形は新型クラウンのフォルムの大きなポイントとなる部分だ。走りのグレードである「RS」系ではリヤスポイラーや4本出しエキゾーストを採用し、スポーティなイメージをより強調している。

新型トヨタ・クラウンのメカニズムを徹底解説!

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