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アルピーヌA110試乗記 現代では稀な軽量設計がもたらす身軽さと扱いやすさが素晴らしいアルピーヌA110

  • 2019/03/21
  • GENROQ編集部
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現代版のA110は、もちろんかつてWRCで活躍した伝説のA110へのオマージュである。最新の技術が用いられて復活したミドシップスポーツカーの魅力を考える。

REPORT◉高平高輝(TAKAHIRA Koki)
PHOTO◉田村 弥(TAMURA Wataru)/三橋仁明(MITSUHASHI Noriaki)N-RAK PHOTO AGENCY

※本記事は『GENROQ』2019年3月号の記事を再編集・再構成したものです。

“ちゃんとした”出来映えである

 前評判がこれほど高いとどうしても見る目が厳しくなるものだが、なるほど新しいA110はドンピシャのランニングシューズ感覚である、と感心した。軽快敏捷、自由自在のシャープな身のこなし、さらに後輪が滑り出しても十分にコントロールできるピーキー過ぎないバランス感覚が好ましい。エリーゼほど剥き出しのスパルタンさはなく、ケイマンほど“装甲”されているソリッドな感じもせず、身軽さと扱いやすさがちょうどいい塩梅であり、さらに各部の建て付けなども、アルファロメオ4Cなどとは比べ物にならないぐらい“ちゃんとした”出来栄えだ。

 もっとも、私のような世代のオジサンからすれば、新型を素直にA110と呼ぶことにはちょっと抵抗がある。WRC創設初年度(1973)のチャンピオンマシンであるA110は古いラリーファンにとっては伝説のアイドルのような存在なのである。かつて素晴らしいコンディションのA110(エリック・コマスのチームから借りた)で、コルシカ島を一周するクラシック・ラリーに出場したことがある。そのオリジナルA110と比べればサイズはずっと大きい。オリジナルA110は最後期型の1600Sでも全長は4m以下で全幅は1.6m以下、車重は800kgぐらいだったのだ。

 もちろん、それでも現代では飛び抜けて軽量コンパクトなことに疑いなく、これほどスポーツカーの定理に忠実なミッドシップ2シーターはほとんどない。現実的なライバルと目されるポルシェ718ケイマン(1360kg)と比較しても1110kgの車重(ピュア/リネージュは20kg増)は際立っている。

 一方で、弱点というほどではないが、ちょっと見劣りするのがエンジンだろう。ルノー・メガーヌRSなどと同様の4気筒1.8ℓ直噴ターボは185kW(252㎰)/6000rpm、320Nm(32.6kgm)/2000rpmというもの。ギリギリまで最高出力を突き詰めたものではなく、当世風のターボエンジンらしくごく低い回転数で最大トルクを生み出す設定だから、リミットまで引っ張ってもパワーが迸るわけではない。0→100km/h加速は4.5秒、最高速は250km/hというが、正直言って広いサーキットではちょっと物足りなくなるのは事実である。やはり、現実のワインディングロード、それもモンテやコルシカのようにタイトでツイスティな山道が打ってつけの舞台だろう。

 「ピュア」ではシェル一体型のバケットシートが標準で前後スライドしかできないが、高めの着座位置は取り付け金具を変えることで工夫できるという。そのうちアフターマーケットパーツが出回るだろうから、それほど心配せずともいいはずだ。何より、あれこれとモディファイを夢想する気持ちにさせてくれること自体、近年では珍しいクルマである。実用性ではケイマンに一歩譲るだろうが、乗り心地もスパルタンではないから日常使用に不満はない。およそ800万円と、気軽に手を出せる金額ではないが、端から諦めるほど遠い存在でもない。思い悩むにはこれまたピッタリというか、実に憎らしい設定ではないだろうか。

SPECIFICATIONS アルピーヌA110ピュア
■ボディサイズ:全長4205×全幅1800×全高1250㎜ ホイールベース:2420㎜ トレッド:Ⓕ1555 Ⓡ1550㎜
■車両重量:1110㎏
■エンジン:直列4気筒DOHCターボ ボア×ストローク:79.7×90.1㎜ 総排気量:1798㏄ 最高出力:185kW(252㎰)/6000rpm 最大トルク:320Nm(32.6㎏m)/2000rpm
■トランスミッション:7速DCT
■駆動方式:RWD 
■サスペンション形式:Ⓕ&Ⓡダブルウイッシュボーン
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ205/40R18(7.5J) Ⓡ235/40R18(8.5J)
■パフォーマンス 最高速度:250㎞/h (リミッター作動) 0→100㎞/h加速:4.5秒
■環境性能(JC08モード) 燃料消費率:14.1㎞/ℓ
■車両本体価格:790万~811万円

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