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時代が生んだ異端車 今さらですが、TDR80とKSR-Ⅱを本気試乗! ”2スト”スーパーバイカーズは今乗ってもスンゴイ!

  • 2019/05/04
  • モト・チャンプ編集部
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かわいらしいディフォルメフォルムと本格装備が特長のオンオフ両刀の2スト12インチスポーツ「TDR」と「KSR」。
パワフルで使い勝手抜群の80㏄モデルを、キッシー岸田がサーキットで徹底試乗。
どうやら双方のキャラクターは大きく異なるみたい!

PHOTO◉渡辺昌彦 REPORT◉モルツ RIDER◉キッシー岸田
取材協力◉TDF(車両)⁄ サーキット秋ヶ瀬 ☎048-855-7862 

レプリカ時代にオフルックでデビューした超個性派

 レーサーレプリカが全盛の80年代後半にカワサキとヤマハから特異な小径ホイールミッションが発売された。「ついにカワサキからミニレプリカがデビュー?」「ヤマハからYSRの後継車がいよいよ登場か?」、打倒NSR50を掲げて闘志を燃やしていたであろうヤマハ&カワサキのミニフリークは浮足立つとともに面食らったに違いない。フルカウルマシンとは真逆のオフ車ルックにロード寄りの足周りを装備したモデルが発売されたのだから。

 まずKSRだがこちらはスーパーバイカーズミニという触れ込みで87年にリリースされたKS-Ⅰ/Ⅱのモデルチェンジ版。エンジンは、空冷から水冷になり信頼性をアップしている。対してTDR50/80は、兄貴分のTDR250を忠実にデフォルメした完成度の高いスタイルが特徴。余談だがTDR250はファラオラリーなどで活躍した実績を持つ。しかし、時代は彼らに味方しなかった。当時は皆が前傾姿勢でカウルに身をうずめ、ヒザを擦りながらコーナーを駆け抜けたかったのである。

KSR−Ⅱ:低速から使えるKSR 秀逸なハンドリングが光る

 まずKSR−Ⅱ。パワーバンドは6000rpm〜8000rpmと、回転馬力に頼らずトルクで走らせる印象。とにかく低中速域がパワフルで、フラットな出力特性は非常に扱いやすい。ただ高回転域では一旦回転が落ち込むとリカバリーに時間がかかったのが気になった。これは、KSR-ⅠとⅡでマフラーが共通なため、排気量が大きいⅡには容量不足なよう。社外製チャンパーに替えてしまえば、解決するだろう。
 車体は重心が低めで高速域でも安定している。タイトコーナーではフロントを支点にして切り込んでいける。対してリヤは安定感にやや欠けた。これは試乗車がワンサイズ広いタイヤを履いており、タイヤのラウンド形状が変わったためだ。

アイコンにもなっている倒立フロントフォーク。正直、そこまで性能が良かったわけではないけど、ミニバイクシーンでは画期的だった。

TDR80:2ストらしいエンジン特性車体の完成度はピカイチだ。

 一方のTDR80は、フレームの剛性感たっぷりだし、サスはソフトだけどストローク量は十分。ブレーキは、リヤを積極的に使っていけるから安心感は高い。しかし、エンジンがクセもの。常に高回転をキープし続けないと”速く”走れない当時のヤマハらしい味付け。とにかくシフトチェンジがシビアで、よく言えば玄人好み。まぁ1万rpmまでビンビンに回るから、チューン好きには魅力だろう。
 ともあれ、レーサーレプリカとは違ったオフスタイルの12インチ2ストマシンは、普段使い、林道ツーリング、スポーツ走行まで幅広いステージで活躍する貴重な存在。これほど個性的なミニバイクは、今後出てこないんじゃないかな。

ヤマハのレーサーと言えば3本スポークのホイールが記憶に残る。TDR用は中空スポークのアルミキャスト製でバネ下の軽量化に大きく寄与。これは後のTZM50Rにも引き継がれた。

キッシー岸田

世界を股にかけて活躍しているミニバイクレーサー。20年以上も本誌に携わり、新車・カスタム車問わず数百台のインプレをこなしてきた。近年はアドバイザーとして若手育成に励む。

TDF つーたん

MT・AT 問わず、ミニバイクの旧車に造詣が深いバイクショップTDF 代表(☎045-786-0404 ※留守電対応)。マニアックな車両に興味のある人はお問い合わせを。

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