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難波教授のデザインウォッチング:2019 ジュネーブショーまとめ 自動車デザインは今「西高東低」か。スバルの前デザイン部長・難波治教授が語る

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 そういう視点で毎年FarEastの島国のクルマたちとEU圏のクルマたちを比較して両者の「育ち具合」を見続けているのですが、残念ながら彼我には今なお差があると言わざるを得ません。そしてそのでき上がりの差は縮むどころか逆に少しずつ開いてしまっているのではないかなと感じています。

 日本のクルマたちは模索を続けています。その姿勢は正しいとは思います。各社が自分らしさの表現を追求するのですから非常に真面目なアプローチだと思います。しかし結果として表現されている外観デザインは、余りにも表面上の面の折れや、線に頼った差別化アイデアに偏りすぎていて、本当に必要な根本の組み立てや、プロポーションの大切さなどがないがしろにされているように思えてなりません。

 ショーの会場でこうやって一度に晒されて比較してしまうと、はっきり言って、クルマから受ける「印象の弱さ」「深みの足りなさ」は明確で、僕にとっては大人と子どもの差にも感じてしまいます。

 おかしいですね、差別化に力を入れているのに印象が薄っぺらなのです。

 それにしても昨今の日本車の、表情作りを二次元的グラフィックに頼ったやり方は、完成度・熟成度が著しく足りていないと言わざるを得ません。それらの手法の多くは一過性のもので「その場凌ぎ」というと多くの方々から叱られてしまうと思うのですが、しかしその自動車メーカーが自社のブランドとして時間をかけて浸透させていこうと考えるような熟慮したテーマには感じられないのです。

「そうではない!」とお叱りを受けるかもしれませんが、現実そう感じるし、そう見えるのです。差別化のためのデザインが優先されすぎているのではないでしょうか。これを文化の差、伝統の有り無しの差であるとは思いたくありません。

 それは造形の完成度として分析しても間違いなく二次元的な表情づけの傾向が強いから、ある一定の角度からだけ見たときしか成立していないことが多いのです。違う角度から見たときにはその無理が祟って捻れて見えたり、凹んで見えたり、あるいは弱々しく見えてしまう。これは「仕方ない」と割り切っているのでしょうか。ある一定の角度でのみキーになるモチーフがバランス良く見えることの方を重要視していて、その他の角度からの充分ではない見え方は我慢して目をつぶっているのでしょうか。

 また、折れ線で組み上げた構成は、連続した面でできているジワリと感じる力強さや、サーフェイスの光の変化の美しさという情緒的な綺麗さが表現できていません。奥深さがないのです。造形は塊ですので、中身の詰まった塊の表現なのです。クルマは塗装され、磨き上げられていますから、そこに反射する光や写り込みで感じる「表情」というものがとても大事になるのですが、そういう効果を考えていないように感じてしまうデザインの手法が、あまりに多くなぜ日本車に共通してしまっているのか不思議でなりません。

 日本のブランドが欧州でマーケットシェアを伸ばせすにいる原因はこういうところにも一因があるのではないでしょうか。ヨーロッパはやはり大人の文化圏ですから。

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