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2001年にSP武川が作った“本気&幻”のモンキーカスタム。排気量は88ccにボアアップ! 【懐かしカスタム】50cc→88cc タンデム仕様モンキーが存在した

  • 2019/07/14
  • MotorFan編集部 北 秀昭
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写真は4MINIちゃんぷ2より(2001年発売)。カラーの見開きでドカーンと紹介されるほど、その衝撃は大きかった。

「50ccの原付1種をボアアップし、タンデムステップ、タンデムシート、タンデムグリップの3点を装着したら二人乗りなのOK?」この疑問は、インターネット上でも議論されているが…。かつてSP武川が製作したモンキー改を例に、改めて「YESか? NOか?」の是非を考えてみた。
REPORT●北秀昭(KITA Hideaki)
PHOTO■4MINIちゃんぷ2より(2001年発売)

原付2種の「モンキー125」をタンデム仕様にしたら、2人乗りはOK?

■PHOTO:てつかたかし(東京モーターサイクルショー2019より)
 前回は、「モンキー125等の原付2種をタンデム仕様にしたら、2人乗りは可能なのか?」をテーマに、あれこれ検証してみた。詳細は写真&下記をクリック!

■【モンキー125でタンデム】「乗車定員=1名」のバイクを“タンデム仕様”にカスタムできるのか。

では、50ccのモンキー50をボアアップし、タンデム仕様にしたら、2人乗りは可能なのか?

 原付1種に分類される、50ccのモンキーは、カスタムベースとして現在でも人気のモデル。ノーマルのモンキーは50ccのため、当然2人乗りは禁止。

 では、50ccのモンキー50をボアアップし、タンデム仕様にしたら、2人乗りは可能なのか?

 上記の「モンキー125等の原付2種をタンデム仕様にしたら、2人乗りは可能なのか?」でも検証したが、結論としては、管轄である各市区町村の担当者に委ねられる。つまり、担当者によって異なる。
 元々50ccだったモデルでタンデム走行するためには、安全を確保するため、足周りの強化やブレーキの強化、また溶接などを駆使したフレームの補強等が必須となる。
 また、カスタム車両の安全性を、「あまりバイクに詳しくないかもしれない」「もしも事故が起こった場合、責任を取りたくない」、各市町村の担当者に納得させる必要がある。

 加えて、搭乗者保険がきちんと効くかどうかを、加入している保険会社に確認しておくことも必須。
 仮に「乗車定員2名」のモデルで、シートレールが折れる等の不具合が起こり、タンデムのライダーが死傷した場合は、メーカーの責任になる。

 一方、「乗車定員1名」の原付1種モデルをボアアップし、タンデムに必要な装備を追加して「乗車定員2名」になった場合、現況では、「市区町村」「カスタムショップ」「カスタムした本人」「パーツメーカー」等、責任の所在がはっきりしない。
 もしも改造が原因で事故が起こったら、責任の所在が不明慮になる等の問題が発生するわけだ。

既存の常識を打ち破ろうとした「SP武川」のタンデム仕様モンキー(88cc)

記事掲載時(2001年/平成13年)は、「モンキー改でタンデムができるぞ!」と話題になったが…
 原付1種の50ccをボアアップし、タンデム仕様で公道を走るには、各市区町村への申請・折衝・認可、強度確保のための高度なカスタム術、搭乗者保険への加入(搭乗者の構造変更に関する保険会社との折衝も必要)等々、手間もお金も掛かる。

 そんな現実を打ち破ろうとしたのが、モンキー用パーツの老舗であり、モンキーカスタムの大御所「SP武川」が2001年(平成13年)に手掛けた、写真のタンデム仕様のモンキー改。

 このモンキー改は、2人乗りを想定し、エンジンは「程よいパワーの」88ccにボアアップ。モンキーにフィットするタンデムベルト付きのWシート、また、バランスの良い位置にタンデムステップを装着しているのがポイントだ。

 足周りは、正立型フロントフォーク、フロントディスクブレーキ、社外リヤショックで強化。前後ホイールは、ノーマルの8インチから10インチアルミに変更して大径化。
 マフラーはタンデムライダーの妨げにならないよう、ダウンタイプに変更。タンデム時の安定した走行を確保するため、ハンドルにはステアリングダンパーをチョイス。Wシートに装着されたグラブバーなど、公道でのタンデム走行を考慮したアイテムが、随所に盛り込まれている。

2001年(平成13年)当時の記事を振り返る。

2人乗り走行のため、足周りを強化してタンデムステップやダウンマフラーを装着。
「モンキーでのツーリンクの楽しさを、奥さん、子とも、彼女と共有できたら…」

 今回、初登場となる2人乗り仕様のモンキーは、こんな発想から生まれた。
 社長のGOサインを機に、開発はスタート。そのフォルムだか、あえてノーマルっぼく見せているには訳がある。それは、「道路運送車両法」の規定に合わせるため(本当は、前後のシート双方から運転できる、ハチャメチャなモンキーにしたかったそう)。

 このモンキー改は、タンデム仕様という話題性だけでなく、ポテンシャルもアップ。2名乗車時でも、100km/hでの巡航が可能だ。

 2人乗りに対応するため、足周りはフロントに27φ正立型フォーク、リヤには剛性高い16cmロングのアルミスインクアームを装備。

 リヤサスベンションは、車高をそのままに、レイタウンではなく、直立方向にマウント済み。タンデム走行に充分耐えうる、しなやかなセッティンクに仕上がっている。

 気になるパワーユニットには、あえて扱いやすい88ccをチョイス。VM26キャブレターと5速ミッションの組み合わせにより、スムーズな加速を実現している。

 しかしながら、2名乗車時のパンチカ不足は拭えない。そこで、街乗り重視の加速タイプのファイナルギヤ比に変更。青信号のダッシュ時でも遅れることなく、余裕を持って交通の流れに着いて行けるようになった。

 公道を走行するための登録時には、もちろん役所の公認が必要。SP武川では、2人乗りキットパーツとして、年内の発売を目指している。

※上記は「4MINIちゃんぷ2」に掲載した文章を加筆・変更したものです。

市販化されることなく、幻に終わったタンデムキット

 記事掲載時の2001年(平成13年)時点では、2人乗りキットパーツとして、年内の発売を目指していた。しかし残念ながら、このキットパーツは発売されることはなかった。

 お蔵入りとなった理由は、今となっては定かでないが、いずれにしても、あのSP武川が、かつてタンデム仕様のモンキーを本気になって公道で走らせようとしたことは、紛れもない事実だ。
 パーツメーカーとしてのチャレンジスピリッツと、カスタムに掛ける意気込みに、あらためて敬意を表したい。

 あれから18年。モンキーをタンデム仕様にするキットパーツは、どこのパーツメーカーからも発売されていない。

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