Motor-Fan[モーターファン]|自動車最新ニュース・速報、試乗記など、クルマとカーライフを楽しむサイト

  • Motor-Fan[モーターファン]
  • モーターファンテック
  1. TOP
  2. バイク
  3. ニュース・トピック

【レトロ系? 実用バイク?】否、ホンダ ベンリイはゴリゴリのスポーツモデルである。/歴代モデル解説

  • 2019/07/04
  • MotorFan編集部 北 秀昭
このエントリーをはてなブックマークに追加
写真は2003年型のベンリィ50S(純正カラーのフルノーマル)。

ホンダの「ベンリィ50」や「ベンリィ90」といえば、実用性の高いレトロな外観のマシン。というイメージを抱く人も多いだろう。しかし1970年初頭に小排気量スポーツの座を、「ベンリイCB90」や「ベンリイCB50」などの“縦型エンジン搭載マシン”に譲るまで、横型エンジン搭載の「ベンリイ」たちは、ホンダのスポーツミニとして君臨した。時代によってフォルムや立ち位置を変えてきた、「ベンリィ」や「ベンリイ」の軌跡を追ってみよう。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

1996年(平成8年) 伝統のT字型バックボーンフレームを採用。カスタムベースとして今でも人気の「ベンリィ50S/90S」

2003年モデルのベンリィ50S。写真は貴重なレッドカラー(純正色)のフルノーマル。

ベンリィ50Sに採用の、趣のあるセミロングシート。
 ホンダの「ベンリィ」「ベンリイ」シリーズは、古くからホンダ車に用いられたネーミング。もっとも身近なモデルは、中古車市場のタマ数も多い、「ベンリィ50S」や「ベンリィ90S」。また、そのベースとなった「ベンリィCD50」や「ベンリィCD90」だろう。

 1996年(平成8年)にリリースされた、レトロな雰囲気を醸し出した横型エンジン搭載モデル、「ベンリィ50S」「ベンリィ90S」は、実用性の高いビジネスモデルの「ベンリィCD50/90」をベースにした、若年層向けの個性派モデル。
 排ガス規制によって生産中止となった現在でも、カスタムベースや他車へのパーツ流用など、根強い人気を誇っている。

 ベンリィ50Sと90Sは、かつての横型エンジン搭載スポーツモデル、「ベンリイCSシリーズ」や、「ベンリイSS50」にも採用されたT字型バックボーンフレームに、伝統のOHC単気筒横型エンジンを搭載。

 50Sにはセミロングシートを、90Sにはタンデム走行も可能なダブルシート、ベンリィCD50/90よりも低めにセットされたハンドル、エイプにも流用された6Lのフューエルタンク、大型の前後フェンダー、前後のドラムブレーキ、スポーク型の17インチホイールなどを装備している。

カブ90系のエンジンを搭載した「ベンリィ90S」は、最高出力7.1psで余裕の走りをゲット!

 二人乗りも可能な、ダブルシート&タンデムステップを採用したベンリィ90S。

 85ccエンジンは、パワフルな7.1ps。50Sはボア39mm×ストローク41.4mmだが、90Sは47mm×49.5mm。ミッションは50と同じ手動式4速ロータリーだが、変速比は異なるのが特徴。

 50cc用に比べ、各部が強化された、頑丈なベンリィ90S用クランクケースをモンキーに流用するカスタム術は定番中の定番だ。

●ベンリィ50S(90S)の主要諸元
型式:A-CD50(HA03)/全長:1805mm/全高:645mm/全幅:950mm/乾燥重量:71kg(78kg)/燃料タンク容量:6.0ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc(85)/ボア×ストローク:39mm×41.4mm(47mm×49.5mm)/圧縮比:10.0(9.1)/最大出力:3.8ps/7000rpm(7.1ps/7500rpm)/最大トルク:0.42kgm/6000rpm(0.75kgm/6000rpm)/点火方式:CDI/変速機:4速ロータリー/クラッチ:手動式/タイヤサイズ:前2.25-17(2.50-17) 後2.50-17 ※スペックは最終型

大型リヤキャリア採用のビジネスモデル「ベンリィCD50/90」

実用性を重視したベンリイCD90。写真は1970年(昭和45年)発売のモデル。

 ベンリィ50/90Sのベースとなった、大型リヤキャリア採用のビジネスモデル、ベンリィCD50/90。CD50/90ともに、1968年(昭和43年)発売の超ロングセラーモデルだ。

 ベンリィ50S/90Sとはカラーリングの他、実用性を重視して、ハンドルやシートなどを変更。

 横型エンジン搭載のスポーツモデル、「ベンリイSS50」が、「小排気量スポーツ」の座を、縦型エンジン搭載の「ベンリイCB90/50」に譲って以来、スポーツモデルの象徴だったT字型バックボーンフレーム+横型エンジン採用モデルは、「誰でも扱いやすいビジネスモデル」へと移行した。

 「ベンリイCB90/50」が登場後、ベンリイは、スーパーカブと同じく、ビジネスモデルとしてカテゴライズ。これを機に、横型エンジンは、パワーよりも燃費&扱いやすさを重視した実用的なエンジンへと変貌していった。

1953年(昭和33年) ベンリイの元祖は「ベンリイJ型」

 ベンリィ(かつてはベンリイと表記)の歴史は古く、1953年(昭和33年)までさかのぼる。

 1951年(昭和31年)にドリームE型が、翌年の1952年(昭和32年)には、「バタバタ(エンジン音から)」「自転車オートバイ」などと呼ばれたカブF型が登場(詳細は下記をクリック!)。

 翌年、ホンダが当時の技術力を結集して開発した「ベンリイJ型」がリリース。同車はOHV式の空冷4スト単気筒89ccエンジンを搭載。最高出力は3.8ps/6000rpmで、最高速度は65km/hをマーク(カタログ値)した。

■2ストのカブ!? 自転車と合体!? 希少な「カブF号」に乗った!

1964年(昭和39年) スポーツカブC115の後継モデル、横型OHCを初めて搭載した「スポーツカブCS90」

 パワフルで2人乗りのできる、「原付2種」の90ccモデルの人気に伴い、ホンダは1964年(昭和39年)に「スポーツカブCS90」を発売。同車は1961年に登場したスーパーカブの54cc版スポーツモデル、「C115」の後継モデルだ。

 フレームは当時新設計だったT字型バックボーン。エンジンは横型としては初となる新設計のOHC単気筒で、ボア50mm×ストローク45.6mmのショートストローク型。

 最高出力は8.0ps/9500rpmで、最大トルクは0.65kgm/8000rpm、最高速度は100km/hを記録(カタログ値)した。

 ホイールはC115に採用の17インチホイールから、大径の18インチに変更されている。

1965年(昭和40年) 「スポーツカブCS90」から「ベンリイCS90」に名称を変更

 1965年(昭和40年)、チェーンケース、プレススイングアーム、別体型シートを装備した「CS90-3」を追加発売。なお、この年、小排気量スポーツモデルは、「スポーツカブ」ではなく「ベンリイ」という位置付けとなり、名称は「スポーツカブCS90」から「ベンリイCS90」に変更された。

1964年(昭和39年) CSシリーズに65と50が登場

6V&12V横型エンジンのルーツとなるOHCエンジンを搭載

 1964年(昭和39年)、スポーツカブCS90(後にベンリイCS90に変更)に続き、新設計のOHC63ccエンジンを搭載した「スポーツカブCS65(後にベンリイCS65に変更・写真)」が登場。
 ボアは44mmで、ストロークは、モンキー50と同じ41.4mmに設定。最高出力は6.22ps/1万rpm、最大トルクは0.485kgm/8500rpmを発揮した。
 ミッションは手動式4速ロータリーを採用。最高速度は90km/hをマークした(カタログ値)。

 1965年(昭和40年)には、CS65の外装・フレーム・足周りにセミシングルシートを採用した「ベンリイCS50」が登場。
 エンジンはボア39mm×ストローク41.4mmのロングストローク型OHC49cc。パワーは5.2ps/1万250rpmを出力。

 CS65&50とも、フロントフォークはスポーツカブC110にも採用のフルボトムリンク式。
 冷却風によるガソリンの低温化を防ぐため、オイルラインをキャブレターにバイパスさせたユニークな『キャブヒーター機構』も装備している。

 なお、1966年(昭和41年)、「スポーツカブCS65」は「ベンリイCS65」に名称変更となった。

ベンリイCS50にはレース用の「Y部品」も設定

 ベンリイCS50には、ハイカムシャフト、ヘッド部の盛り上がった高圧縮型ピストン、ウェブ径を87mmから80mmにして軽量化したクランクシャフト、肉盛りにより高回転にも耐えうるロッカーアーム、大径の吸排気バルブ、専用バルブスプリング、高耐久型バルブスプリングリテーナー、高耐久型カムチェーンテンショナー、20φキャブレター、エアファンネル、リターン式クロスミッション、ストレート構造のダウンマフラー、ローハンドルキット、テレスコピック式フロントフォーク、ダンパー機能付リヤショックなど、「Y部品(現在ではYパーツもしくはYキットとも呼ばれる)」と呼ばれるメーカー純正のオプションパーツを設定。

 このY部品は少数生産のレース用パーツ。多くはレースに使用された可能性があり、また当時の価格も非常に高価だったことから現況、現存するものは極めて少ない。

 なお、ベンリイCS50用のY部品は、「横型エンジン最強」と呼ばれる「ベンリイSS50」にも随所に投入された。

1969年(昭和44年) 横型エンジン搭載のオフ車「ベンリイSL90」

 1969年(昭和44年)に発売された隠れた名車、ベンリイSL90。

 鋼管による剛性の高いダブルクレードルフレーム、テレスコピック式フロントフォーク、フロント2.75-19インチ、リヤ3.25-17インチサイズのタイヤを採用した大型サイズのオフロードモデルだ。

 最高出力は8.0ps、登坂力は20°、最高速度は95km/hをマーク。ミッションは手動式4速リターンを採用している。

●ベンリイSL90の主要諸元
全長:1880mm/全高:1075mm/全幅:810mm/乾燥重量:95kg/燃料タンク容量:8.5ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒89cc/ボア×ストローク:50mm×45.6mm/圧縮比:8.2/最大出力:8.0ps/9500rpm/最大トルク:0.66kgm/8000rpm/変速機:4速リターン/クラッチ:手動式/タイヤサイズ:前2.75-19 後3.25-17

1967年(昭和42年) 懐かしのスクランブラー「ベンリィCL90/70/65/50」

ベンリィCL50
ベンリィCL70

 1967年(昭和42年)、スクランブラーフォルムのCLシリーズが登場。排気量は90、70、65、50を設定。

 CL70は、CL50のボアを39mmから47mmに拡大し(ストロークは同じ)、ショートストローク型72ccにスープアップ。パワーは6.5ps。タンデム用のダブルシートとステップバーを装備している。

●ベンリィCL50(CL70)の主要諸元
全長:1780mm/全高:755mm/全幅:995mm/乾燥重量:78kg/燃料タンク容量:7.5L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc(72cc)/ボア×ストローク:39mm×41.4mm(47mm×41.4mm)/圧縮比:9.5(8.8)/最大出力:5.2ps/1万200rpm(6.5ps/9500rpm)/最大トルク:0.38kgm/8500rpm(0.53kgm/8000rpm)/点火方式:ポイント式/変速機:4速ロータリー/クラッチ:手動式/タイヤサイズ:前後2.50-17

1997年(平成9年) 1967年発売モデルが復活!「ベンリィCL50」

 1997年(平成9年)に発売されたスクランブラー(不整地走行用)モデル「ベンリィCL50」。同車は1967年(昭和42年)に発売された「ベンリイCL50」のデザインを踏襲した復刻版。

 ベンリィ50Sをベースに、アップハンドル、ニーグリップラバーを装備した5.8Lガソリンタンク、アップハンドル、フォークブーツ付フロントフォークなどを採用している。

 ホイールはベンリィ50Sと同じ17インチのスポーク型だが、前後タイヤはスクランブラーらしく、幅広のブロックパターン2.75-17にサイズアップ。エンジンの仕様はベンリィ50Sと同じ。

●ベンリィCL50の主要諸元
全長:1820mm/全高:725mm/全幅:1030mm/乾燥重量:74kg/燃料タンク容量:5.8L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/ボア×ストローク:39mm×41.4mm/圧縮比:10.0/最大出力:4.0ps/7000rpm/最大トルク:0.44kgm/6000rpm/点火方式:CDI/変速機:4速ロータリー/クラッチ:手動式/タイヤサイズ:前後2.75-17

おすすめのバックナンバー

バイク|令和元年(2019年)のトピックおさらい!

バイク|令和元年(2019年)のトピックおさらい! 一覧へ

解決します! 交通ルールの素朴なギモン

解決します! 交通ルールの素朴なギモン 一覧へ

3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説

3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説 一覧へ