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〈日産セレナ e-POWER:試乗記〉 e-POWERの搭載は同乗者にこそ朗報!

  • 2019/07/29
  • ニューモデル速報
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試乗グレード ●Highway STAR V

ノートに搭載され、大ヒットの要因となったe-POWERが、これまた大ヒットを続けるセレナに搭載されることになった。それだけで注目度満点の“全部載せ!”的なこのセレナe-POWER。その仕上がりは、燃費はもとより乗り味や居住性に至るまで、「こんなに良くなるの!?」という驚きに満ちたものだった。

REPORT●青山尚暉(AOYAMA Naoki)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)

※本稿は2018年3月発売の「日産セレナe-POWERのすべて」に掲載されたものを転載したものです。車両の仕様や道路の状況など、現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。

大ヒットのe-POWERがついにセレナに搭載!

 今、日産e-POWER旋風が吹きまくっている。初搭載のノートは2017年国産コンパクトカー販売台数No.1。さらに18年1月の国産乗用車販売台数でも約70%をe-POWERが占めるノートがダントツの1位。長年リーフで培った日産のEV技術を惜しみなくつぎ込み、また、EVに興味はあってもいきなりピュアEVに踏み込めないユーザーに大きくアピールできた結果だろう。

 e-POWERを改めて説明すると、PHVとは違うシリーズハイブリッドで、「充電を気にすることなくどこまでも走れる電気自動車の新しいカタチ」ということになる。

 動力源はリーフと同じEM 57と呼ばれるモーター。だが、ピュアEVと違い外部充電機能を持たず、必要なら1.2ℓのガソリンエンジンで発電しながらモーター走行を行なう。つまり電欠を心配せずにEV走行を楽しめる〝シリーズハイブリッド”。ガソリンスタンドに立ち寄ることはあっても、自宅の充電設備は不要。ドライブ先で充電する必要もない。

 そんなe-POWERの第二弾として登場したのが、こちらのセレナe-POWER。最初に結論めいたことを述べれば、e-POWERは間違いなくミニバンと最高に相性のいいパワーユニットであるということだ。

 その最大の理由は、モーター走行のスムーズさや静粛性&エコ性能の高さもさることながら、アクセルペダルだけで加減速が行なえるワンペダル走行にある。セレナe-POWERはノートe-POWER同様、アクセルペダルを戻せば回生ブレーキによる最大0.15Gの滑らかな減速効果が得られ、停止まで持ち込める(勾配約5%以上の坂道ではブレーキを踏む必要あり)。しかもノートより重心が高いことに配慮し、約60㎞ /h以上の速度域や高速走行での回生ブレーキの減速力を、より自然な0.1G以下に抑えている。逆に言えばワンペダルの減速効果は60㎞/h以下で絶大ということでもある。

 結果、加速時にはそれこそ新幹線的な、モーターならではの段付き感のないスムーズさで速度を上げ、ワンペダルによる減速時はブレーキングの達人が神業操作するような、減速ピークのない穏やかで優しい減速感をもたらしてくれる。

 そう、重心の高い背高ミニバンでありながら、乗員の上体が前後に揺れにくく、一段と快適でクルマ酔いしにくいドライブが可能になるわけだ(車内でどこかにつかまれないペットにとっても!)。個人的にはそこにセレナe-POWER最大の魅力があるように思える。

 もっと言えば、e-POWERのワンペダル走行機能=e-POWERドライブモードが作動する、エコモード&Sモード(ノーマルモードでは機能せず)では、ブレーキを踏む機会が通常走行時の約70%減というから、ドライバーのペダル踏み替え操作による疲労低減にも直結しそう。

モーター走行のスムーズさはもちろん、格段の静粛性にも感銘を受ける

 ここからは従来からあるセレナスマートシンプルハイブリッド(S-HV)とセレナe-POWERの違いについて見ていこう。外装ではブルーカラーアクセント、リヤサイドスポイラー、LEDストップランプ、ハイウェイスターを含む全車15インチとなるエアロアルミホイール、新色のミントホワイトパールのボディカラーがe-POWER専用となる。

 より変更点が多いのは内装。ブルーアクセントのフィニッシャー&スタータースイッチ、バイワイヤーのシフターに加え、前席中央下にバッテリー、インバーターが収まることで新設定されたコンソールトレイ、S-HVの2列目左側席にアームレストを付けたキャプテンシート限定の2列目席がe-POWERならでは。最大8人乗りを可能にするマルチセンターシートは備わらず、7人乗りのみの設定となっている。

 7人乗りなのは、ライバル車のHVと同様、上級グレードにはより贅沢な居心地と掛け心地が得られるキャプテンシートが相応しいと判断したため。加えてフル乗車時の車両総重量、15インチエコタイヤの耐荷重に配慮したからとも説明される。

 そして、静粛性を向上させるため、遮音フィルムをラミネートしたフロントウインドウガラス、日産初の4層構造センターカーペットを含む25アイテムに及ぶ追加遮音対策が施されているのも、上級グレードとしての位置付けゆえである。

 よって、e-POWER化しても室内空間の犠牲は皆無。違いは1列目席中央のコンソールトレイのみだが、低くセットされているためサイド&1-2列目席ウォークスルーは可能。

 同時に2/3列目席、デュアルバックウインドウを備えたラゲッジの広さ、使い勝手もS-HVと変わらない(e-POWERはカメラ画像が手前のナビ画面で大きく表示できるようになったのも朗報!)。

エンジンはあくまでも発電だけ。モーターが生み出す俊速レスポンスと湧き上がるトルクは、アクセルを踏んだ瞬間にセレナe-POWERがエンジンで走るこれまでのクルマとは別物であることを教えてくれる。
ステアリングの右下にはワンペダル走行のエコモード及びSモードと、従来のノーマルモードを切り替えるドライブモードスイッチが備わる。その隣には、e-POWERだけにオプション設定されるステアリングヒーターのスイッチも。

セレナe-POWERに備わるモーター優先のマナーモード

 次にノートe-POWERとの違いと、e-POWERの進化について。セレナe-POWERの車重は1730〜1760㎏。同じe-POWERを使うノートに対して540㎏重い。それをカバーするため、まずはモーター出力を25%アップし、136㎰/32.6㎏mとした。同時にバッテリー走行距離を拡大するためバッテリー容量を20%アップの1.8 kWhに。さらに発電用の1.2ℓ3気筒エンジンの出力を、高負荷対応で7%アップの84㎰に向上させるとともにオイルクーラーを追加するなどの進化&車種対応を図っている。

 結果、90%のバッテリー充電状態で約2.7㎞のEV走行が可能になり、またバッテリーが減った状態でも箱根ターンパイクを登り切れる(!)パフォーマンスが確保できたというから頼もしくも心強い。

 また、深夜の帰宅時などに便利な、なるべくバッテリーだけで走行するマナーモード、そのマナーモードを活用するため積極的に充電を行なうチャージモードもノートe-POWERにない新機能、切り札となる。

 ところで、セレナe-POWERは外部充電の代わりにエンジンで発電しながら走るのだが、どんな状況でモーターだけで走り、エンジンが始動するのか? まずモーターだけで走行し、エンジンが完全に停止しているのはバッテリー残量が十分にあり、発電の必要がない状態。そしてワンペダル走行モード時に選択できるマナーモード使用時である。

 では、エンジンが掛かる場面と言えば、当たり前だがバッテリー残量が少なくなり発電が必要になった時&フル加速時、電力消費の大きい暖房使用時。後者は高効率の小排気量エンジンゆえ熱源が小さいからだ。

 加えてエンジンが回っていても火が入らず、ガソリンも消費しないモータリングという裏モードがある。これはブレーキを作動させる負圧が足りない時、長い下り坂でバッテリーが過充電になる状況であえて電力を消費させるための制御である。

 気になる燃費性能はセレナS-HVの17.2㎞/ℓ、ノートe-POWERの34.0〜37.2㎞/ℓに対してグレードを問わず26.2㎞/ℓ。この数値であればライバルのと大きく変わらず驚くに値しない……と思うのは早合点。その背景には、バッテリー走行比率が、540㎏も軽いノートe-POWERと同じ約60%という電気自動車としてのパフォーマンスがあることを忘れてはいけない。

リヤハッチに設けられた「e-POWER」のエンブレムこそ、ミニバン新時代の証。また、テールライトとサイドにまで回り込んだ形状のリヤスポイラーもe-POWER専用のエクイップメント。
セレナe-POWERでは、標準車、ハイウェイスターともに装着タイヤは15インチサイズとなる。ホイールデザインは標準&ハイウェイスター共通のe-POWER専用となっている。

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