NISSAN GT-R 50th Anniversary 日産GT-R 50周年記念モデル：古くささは一切感じない。それどころか、いちいち感嘆するし、ワクワクする

2019/07/16
世良耕太

すべての写真を
見る

セットアップスイッチで減衰力を選択できるモード設定型電子制御式のショックアブソーバーBilsteinDampTronicを採用している。減衰力の電子制御は11種類の車両データから最適に行なわれ、「NORMAL」、上質な乗り心地の「COMF」モード、スポーツドライビングを愉しむための「R」モードから選べる。

　乗り心地は硬めだが、胃にダイレクトに響くような不快なショックはなく、日常使いができる。通勤に使えるし、長距離の移動は楽そうだ。何しろ瞬発力があるのでストレスがない。2020年モデルはターボチャージャーに新しいシール技術を採用して空気の漏れを抑えることにより、レスポンスを向上したと日産は説明している。2017年モデルの段階ですでにレスポンスに異を唱えたくなるようなフィーリングではなかった。これまでの開発スタンスの延長線上で、「さらに良くした」のが実状だ。

　エンジンはアクセルペダルの動きに即応して力を出してくれるだけでなく、いい音がする。高速道路を走行中、遅いクルマを追い越すときにアクセルペダルに載せた足を軽く踏み増すと、エンジン回転の上昇に伴って6気筒ターボ過給エンジンに特有の低い排気音がキャビンに侵入し、ドライバーの気持ちを高揚させる。これ、病みつきになるし、この音が欲しいがためにGT-Rを買うという選択も「あり」だ。

エンジン形式：3.8ℓV型6気筒DOHCターボ型式：VR38DETT型排気量：3799cc ボア×ストローク：95.5×88.4mm 圧縮比：9.0 最高出力：570ps（429kW）/6800pm 最大トルク：637Nm/3300-5800rpm

　久しぶりにGT-Rに乗って、「こんなに気持ち良かったっけ」と感じたのは、乗り味やエンジンにも増して、ステアリングだった。いまどき油圧パワーステアリングというだけで希少価値があるが、動かしてみると、「そうそう、この味」と忘れかけていた思い出の味に再会した感動がある。

　ステアリングを切ると、手のひらに反力が返ってくる。その反力がなんともやさしいのだ。しなやかな指の動きで肩をマッサージしてもらっているような心地良さに似ている。ある程度車速が乗った状態で右〜左〜右と切り返すようなコーナーでは、手のひらに伝わるやさしいフィードバックと、ヒラヒラと舞うように動くクルマの動きがシンクロして大層気持ちがいい。これも、病みつきになる。

　立派なガタイだし、見た目はいかついし、怪力の持ち主で、力を込めた際は相当に野太い雄叫びを挙げるけれども、体の動きは柔軟で、とくにマッサージなんかさせたら超絶うまくて相手を喜ばせるのが、NISSAN GT-R 50th Anniversaryと結論づけておく。しかも、超絶おしゃれ（気恥ずかしいほどに）。

ベースになったプレミアムエディションは1210万5720円ボディカラーは「ワンガンブルー」ほかに、ブリリアントホワイトパール（の場合は、赤いステッカー）、アルティメイトメタルシルバー（の場合は、白いステッカー）

日産GT-R 50th Anniversary

全長×全幅×全高：4710mm×1895mm×1370mm
ホイールベース：2780mm
車重：1770kg
サスペンション：Fダブルウィッシュボーン式 Rマルチリンク式
駆動方式：AWD
エンジン
形式：3.8ℓV型6気筒DOHCターボ
型式：VR38DETT型
排気量：3799cc
ボア×ストローク：95.5×88.4mm
圧縮比：9.0
最高出力：570ps（429kW）/6800pm
最大トルク：637Nm/3300-5800rpm
燃料：プレミアム
燃料タンク：74ℓ
燃費：WLTCモード 7.8km/ℓ
　市街地モード：5.2km/ℓ
　郊外モード：8.4km/ℓ
　高速道路モード：9.4km/ℓ
トランスミッション：6速DCT
車両本体価格：1351万6200円