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米国のメディア向け試乗会で市販モデルに初試乗! 【電動ハーレー「LiveWire」試乗】 ガソリン車とは“速さの質”が全く異なる、ハーレー界の異端児。

  • 2019/08/01
  • MotorFan編集部 佐川健太郎
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HARLEY-DAVIDSON LIVEWIRE

電動バイクは加速がイイ! というのは広く知られたこと。でも、速さの本質はそれだけではない。米国で開催されたハーレー初の電動バイク「LiveWire」の国際試乗会に参加してリアルに感じた“速さ”の理由についてレポートしたい。
REPORT●ケニー佐川(SAGAWA Kentaro)
PHOTO●ハーレーダビッドソン(HARLEY-DAVIDSON)

ハーレーダビッドソン・LIVEWIRE……米国価格29,799ドル(約320万円)

 アクセルひとつでウルトラスムーズな超加速を見せつけてくれるハーレー初の電動バイク「LiveWire」。電動モーターの高周波音とドライブギヤの唸りがミックスした透明感のある独特のサウンドは耳に心地よく、クリーンな爽快感をもたらしてくれるものだった。近未来的でどこかレトロ感のあるデザインや、巨大なバッテリーコアを中心に構成された車体構造のユニークさ、そして最新の電子制御とコネクテッド機能もさることながら、今回の試乗で最も印象に残ったのはやはりエレクトリックな乗り味。ことさら、今までにない“速さ”の感覚は新鮮だった。

パワーロスが少なくダイレクト

 LiveWireのパワーユニットの仕組みは非常にシンプルだ。15.5kWhの高電圧リチウムイオンバッテリーに蓄えられた電力によって水冷式モーターで作り出されたパワーをベルトドライブで後輪に伝えて駆動する方式。モーターの出力を最終的に後輪で受け取るまでに、クラッチやトランスミッションを介していないため、パワーの伝達効率が良い。つまり、ロスが少ないのだ。中間に挟んでいるものが最小限なのでアクセルと路面との直結感があり、そのフィーリングもダイレクトだ。

 モーターの最高出力は105ps(78kw)と従来のガソリンバイクと比べて傑出したものではないが、実馬力はスペック以上と感じられるのはそのせいもあるだろう。ちなみにガソリンバイクで同レベルの最高出力を持つモデルとしては、CB650R(95ps)やZ900RS(111ps)などが挙げられる。大まかには最新のミドルネイキッド辺りに近いが、肌感覚としてはそれ以上の力量を感じられた。

初期加速を決めるのはトルクだ

 出力特性にも違いがある。電動バイクが初期加速に優れることはよく知られているが、これは瞬間的に最大トルクを100%発生できる電動モーターの特性によるところが大きい。トルクとは軸馬力。つまり、路面を蹴り出す力のことだ。よく試乗記などで「高回転は伸びるが低速トルクがやや細い」などという表現が見られるが、特にピークパワー重視の4気筒スーパースポーツなどはその傾向がありがちだ。一方、LiveWireはその逆で、アクセルを開けた途端、まるで電磁カタパルトで打ち出されたようにぶっ飛んでいく。その気になればホイールスピンも簡単だが、普通に乗るぶんにはアクセル操作もとてもスムーズで扱いやすく、加えて「走行モード」に応じて最適なトラコンが介入してくれるので安心・安全でもある。
 参考までにLiveWireの最大トルクは116 Nmと国産リッターSS並みで、前述のCB650R(64Nm)やZ900RS(98Nm)と比べてもよりトルク型であることが分かる。もちろん、パワーやトルクで上回るガソリンバイクもあるが、ただレシプロエンジンの場合、回転数をある程度まで上げないと最大値を発揮できない。そこが大きな違いだ。

加速の仕方が違う

 LiveWireの加速性能はどれぐらいのものか。ハーレーのデータによると、0→60mph(約100km/h)加速は3.0秒、さらに60→80mph(約129km)は1.9秒ということで、ガソリンバイクであれば1000ccクラスのスポーツモデルに匹敵する。これを上回る加速性能を持つガソリンバイクも少なくはないが、注目すべきは加速の仕方だ。
 レシプロエンジンの場合、回転数が高まりパワーバンド付近で最高出力を発揮するため、出力カーブは2次曲線的(最初は緩く後半盛り上がる)になる場合が多いが、電動モーターの場合は最大トルクが最初から一定に出続けるため出力カーブは基本的にフラット。つまり、同じゼロヒャク加速でも前半が速い、いわば究極の短距離スプリンターである。
 ちなみにLiveWireのカタログ上での最高速は110mph(約177km/h)となっているが、試乗会のテスト走行ではメーター読みで115mph(約185km/h)までは確認できた。もちろん、トップスピードでこれを超えるガソリンバイクも多数あるが、それが公道で何の価値があろう。ここで言いたいのは“速さの質”が異なるということだ。
これはハーレー側も認めていることで、LiveWireのメインステージはストリートの中でも特に市街地走行を想定している。回生ブレーキシステムによって積極的にリチャージすることで、高速連続走行よりもむしろ街乗りのほうがレンジを伸ばせるという事実がそれを如実に表している。

クラッチ&シフト操作がいらない

もうひとつ決定的なのは、LiveWireは完全なオートマであるということ。だから発進時に焦って半クラを失敗してエンストしたり、加速中にシフトミスしてギヤ抜けするなどの心配がない。最近ではガソリンバイクにもクイックシフターなどの電制が盛んに導入されているが、それでも僅かなタイムラグはある。一方、LiveWireはアクセルひとつでシームレスな加速が続くため本当の意味でリニアに速い。これはバイク操作に不慣れな初心者にも扱いやすく安全であるだけでなく、ベテランにとってもメリットは大きいと思った。特にストップ&ゴーを繰り返す市街地では、このイージーな快適さを覚えてしまうと後戻りはできないほど。試乗会でもダウンタウンで渋滞に巻き込まれたが、不思議なほど苦にならなかったのだ。

というように、EVならではのメリットを存分に味わわせてくれたLiveWireである。充電インフラなどの課題はあるにせよ、その胸のすくような加速感とエレクトリックサウンド。扱いやすく快適なライディングフィールには新鮮な感動を覚えたのである。2020年以降に日本導入の見込みも濃厚。期待したい!

LIVEWIRE ディテール解説

車体中心部に15.5kWhの高電圧バッテリー(リチウムイオン電池)を搭載。これを保護するアルミ製ハウジングは車体を支える強度メンバーであり、電池を冷却するヒートシンクとしての役割もある。その底部にはピーク回転数15000rpmを発生する水冷式モーターを備える。
モーターからの出力は90度変換されてギアボックス一体型のアウトプットシャフトからプーリーとドライブベルトを通じて後輪へと伝えられる。クラッチやトランスミッションがなくガソリン車と比べると駆動系もシンプルだ。
アクセル操作は通常のバイク同様、スロットルグリップで行う。アクセルオンから戻すと回生ブレーキがかかり、その効き具合はモードによっても変えられる。全閉からさらに奥まで戻せるのが電動ならでは。
前後サスペンションはSHOWA製で、リア側には快適な乗り心地とシュアなハンドリングを提供するBFRCを採用するなど足まわりもスポーツ仕様だ。
米国仕様の試乗車にはレベル1充電器が搭載され、米国一般家庭にある標準の120V(または240V)電源に対応。また欧米で主流のCCSコンボタイプの急速充電にも対応し、60分でフル充電可能だ。公表データによると航続距離は最大で235km。
4.3インチカラーTFTタッチスクリーンを採用。ライドモードは4種類のデフォルト(スポーツ、ロード、レイン、レンジ)に加え3種類のカスタムも可能。コーナリング対応のABSとトラコンなど最新の電制が盛り込まれている。

佐川健太郎

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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