DS3 Crossback Grand Chic:1.2ℓ直3ターボ+8速AT+EMP2プラットフォームで完成度高し DS3 クロスバック:格好だけじゃない。技術の裏付けもあって惚れ込むこと請け合いだ
- 2019/08/09
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世良耕太

PSAグループのプレミアムブランドたる「DS」。その最新作にして第二弾がDS3クロスバックだ。新しいCMPプラットフォームを採用した小さくてもプレミアムで個性的でスタイリッシュで……という期待の新星だ。このDS3クロスバックをジャーナリストの世良耕太が試乗した。
TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)

DSと聞くと筆者などはすぐフォーミュラEを思い浮かべてしまうが、世間とは感覚がずれている自覚はある。シトロエンの上級ブランドとして誕生したDSは、個性を重視するカスタマーに向け、技術的な革新とラグジュアリーな見た目を身上とする。つまり、見た目だけで中身が薄っぺらであることを良しとしない。
DSが身上とする「革新」を象徴するのが電動化技術で、その技術を磨いているのがフォーミュラEというわけだ。DSはパワートレーンの独自開発が認められたシーズン2(2015-2016年)からフォーミュラEに参戦し、シーズン5(2018-2019年)にチームタイトルとドライバーズタイトルのダブルタイトルを獲得。電動化技術の技術力の高さを証明した。

そのDSブランドの最新モデルが、DS 3クロスバックだ。DSブランドの2本柱のうち、「美の追求」も大いに気になるが、技術的な革新の方を先に押さえておこう。
DS 3クロスバックは、グループPSA(プジョー、シトロエン、DSオートモビル、オペル、ヴォクソール)の次世代B、Cセグメントをカバーする新しいプラットフォーム、CMP(Common Modular Platform)を採用したモデルの第1弾である。プジョー308や3008に5008、シトロエンC4スペースツアラーやDS 7クロスバックなどのC、DセグメントはEMP2が担い、車両サイズで使い分けることになる。

CMPの特徴のひとつは、電動化を織り込んだ設計になっていることだ。現時点でのDS 3クロスバックのパワートレーンは内燃機関のみのラインアップだが、2020年に電気自動車のE-TENSEを追加することが発表されている。WLTPモードで300+αkmの航続距離を担保するだけのバッテリー容量を確保しながら、内燃機関仕様と同等の室内空間とトランクスペースを確保しているという。最初から電動化を考えた設計になっているがゆえの芸当だ。電動化に関しては、フォーミュラEで鍛えた技術が生かされることになる。

トランスミッションにDCTを組み合わせるブランドもあるが、発進〜微低速の上品な振る舞いはトルクコンバーター付きAT(というよりEAT8)には敵わないことを、今回の試乗で再確認した。巡航スピードに達するまでの加速時にギヤ段を入れ替える際、「いま切り替わった」とわかるだけの加速度の変化を感じることもあるが、運転の邪魔をするほどではない。「変速の情報を伝えている」感じだ。
3気筒は4気筒に比べて振動面で不利に働く部分(とくに低回転域)もあるが、今回の試乗ではまったく感じなかった。日常使いでは力不足を感じるシーンは「ない」と言い切っていい。いつどんな状況でも快適で、頼もしいパワートレーンだ。100km/h走行時、DS 3クロスバックは7速を選択。エンジン回転数は約2200rpmだった。8速に入るのは110km/h前後である。短い試乗だったので断定的なことは言えないが、最新のパワートレーンらしく、燃費面でオーナーを不愉快にすることはなさそう。むしろ、「思っていたよりいいね」という感想を引き出すような気がする。

DS 3クロスバックの全長は4120mmで、典型的なBセグメントのディメンションである。サスペンションはフロントがストラット、リヤはトーションビームで、このクラスの標準的な構成だ。勝手にこのセグメントでは標準的ともいえる、ヒョコヒョコした落ち着きのない動きを覚悟していたが、まんまと裏切られた。動きはしなやかであり、ひとクラス上のセグメントを引き合いに出してもいい勝負をするだろう。見た目の印象どおり、乗り味もラグジュアリーでありエレガントだ。走行時の静粛性もひとセグメント上のレベルである。
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