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カドの取れた乗り心地で病みつきに?【CADILLAC CT6試乗記】 意外な選択肢としてありなのがキャデラックCT6 その理由を解説

  • 2019/09/18
  • GENROQ編集部
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キャデラックの最高峰セダンCT6が2019年モデルへと進化を果たした。
10速AT&世界初の完全通信型ナビを採用し、ラグジュアリーに磨きをかけている。
ドイツのプレミアムサルーンとは方向性の異なる、その走りを味わってきた。

REPORT◉吉田拓生(Takuo Yoshida)
PHOTO◉中島仁菜(Nina Nakajima)

※本記事は『GENROQ』2019年9月号の記事を再編集・再構成したものです。

 新世代キャデラックの第1弾として2016年にデビューしたCT6の19年モデルに試乗できた。最も大きく変わったのは外観で、直線的なタテ目基調がさらに強まり、すっきりとした高級感を身にまとっている。このデザインはキャデラックが16年に発表したコンセプトモデルであるエスカーラのエッセンスを採り入れたもの。

 もちろん中身に関しても事細かに手が入れられており、ATが8速から10速に変更されたほか、もともと高圧鋳造アルミを積極的に投入し、軽く仕上がっていたボディのさらなる軽量化も行われているという。

 待ち合わせ場所にやってきたCT6と真正面から鉢合わせたら、キャデラックであることは疑いようがないのだけれど、CTSなのかCT6なのか区別がつかなかった。キャデラックの旗艦をつかまえて言うのもナンだけれども、けっこう小ぢんまりとして見えたのである。横より縦のラインが際立つ造形なので、引き締まって見えたのかもしれない。

 昔のフラッグシップ・キャディであるフリートウッドなんて、ホイールベースも長ければ前後のオーバーハングもエラく長くて、車間を空けて走らないと前走車に突き刺さりそうな感じだったけれど、時代はずいぶんと変わったのである。

 それにそもそも新世代のキャデラック各車のデザインは、まるでヨーロッパ車のようによく似ている。現在我が国に導入されているキャデラックのセダンは2本のラインで構成されているのをご存じだろうか。中型のCTSと大型のCT6である。昨年まではCTSよりコンパクトなATSというモデルがあり、どこぞの3と5、そして7シリーズに当てはめるとわかりやすかったのだが、現在は5と7のみ。さらにCTSの派生モデルとして649㎰ものハイパワーを誇るCTS-VというM的なモデルもラインナップされ、新世代キャデラックのスポーツイメージをけん引している。

 さて刷新されたCT6である。ボディカラーがキャデラックに多いグランドピアノのような黒なので、そこまでの新鮮味はないのだが、走りはじめると「おっ」となる。ものすごく上質なクルマに乗っているんだということをすぐに実感できる。

 乗り心地の良さはメルセデスSクラスとまでは言わない。けれど日本に輸入する際、ハクをつけるためサイズアップしたタイヤを履かされたヨーロッパ車よりはよほどしっとりとして好印象だ。アシはかつてのフワフワしたアメ車のそれではなく、ヨーロッパ車のそれに近い引き締まったものなのだが、最終的なカドの取り方に伝統的なアメ車のテイストがにじみ出ているのだと思う。

 GMのお家芸ともいえる(デルファイはGMの分派である)マグネティックライドサスペンションのセッティングもいい。ツーリングとスポーツというどちらのドライブモードでも、それほど極端な差がつけられていない点にもフラッグシップらしい落ち着きが感じられる。

ゼンリンと共同開発した完全通信型の世界初DRマップマッチング対応クラウドストリーミングナビを採用する。トンネルなどGPSでは測位できない状況でも高精度な位置補正を実現する。流石はアメリカンラグジュアリーだけあり、後席のスペースは広大だ。

 室内の静粛性もなかなかのものだ。34個も仕込まれているというBOSE製スピーカーのノイズキャンセルが効いているのかもしれないが、ロードノイズは路面を選ばず小さくて乗り心地の良さを助長している。

 ハンドリングに関しては、スポーティとかリニアリティが高いといった表現は似合わないが、それは全長5m越えのセダンによくあること。それよりも運転していてクルマ全体が小さく軽く感じられる部分に新世代キャデラックの新しさがある。

 Uターンをする際に、想像以上に小回りが利くのはリヤステアシステムのおかげである。キャデラックのリヤステアは驚くほどよく切れる。サイドミラーで後輪の切れ角を観察してみても大きく切れているのがわかる。このため全長5.2mという巨体ながら、取り回しやすさはサイズがより小さなCTSくらいに感じられるのである。リヤにAWDのエンブレムがあり、実際に日本導入のCT6はAWDのみなのだが、なぜそれが必要なのかよくわからないし、今回の試乗でもその存在を感知するようなシーンはなかった。

 車格を考えればV8エンジンを搭載していて当然と思えるCT6だが、エンジンはデビュー当初から3.65ℓのV6を搭載している。自然吸気なのに340㎰も絞り出しており、リッターあたりの出力もまったく以前のアメ車とはかけ離れている。

装着タイヤはグッドイヤー・イーグルツーリングの245/40R20となる。

 非過給のV6エンジンがなぜこれほどの大パワーを発揮できるのかという理由は、最大パワーの発生回転数が高く(6900rpm)、しかもビッグボア・ショートストロークだからという定石通り。とはいえ10速ATのおかげで大パワーの部分はあまりクローズアップされていない。

 一方7速目で直結となり、8、9、10速目がオーバードライブとなるATの方もオーバースペックに感じてしまった。まあ動力性能に余裕があるという点は旧き佳きアメリカを匂わせる部分ではあるが……

 ちなみにナビゲーションシステムが刷新され、ゼンリンと共同開発したクラウドストリーミングナビになっている点も新型CT6の特徴なのだそうだが、その部分は誰が最初にシステムを導入するかといった話でもあり、大したアドバンテージとしては感じられなかった。

 ヨーロッパのライバルと比べてCT6のどこが優れているのか? はっきりと言えるのは、先に述べた通りカドの取れた乗り心地である。あとは装備に対する価格だろうか。妙なクセのないクルマなので、興味があればぜひ試乗してみてほしい。

SPECIFICATIONS
キャデラックCT6セダン プラチナム
■ボディサイズ:全長5230×全幅1885×全高1495㎜
ホイールベース:3110㎜
■車両重量:1950㎏
■エンジン:V型6気筒DOHC
総排気量:3649㏄
最高出力:250kW(340㎰)/6900rpm 最大トルク:386Nm(39.4㎏m)/5300rpm
■トランスミッション:10速AT
■駆動方式:AWD
■サスペンション形式:Ⓕウイッシュボーン Ⓡマルチリンク
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ:Ⓕ&Ⓡ245/40R20
■車両本体価格:1026万円

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