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年間わずか1700台のみ生産されるアルピナ、さらにその一部であるディーゼルに試乗!【BMW ALPINA SUPER SPORT DIESELフルラインナップ試乗】 意外と長い歴史を持つアルピナ・ディーゼルの魅力を解説する

  • 2019/09/18
  • GENROQ編集部
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今やBMWラインナップの中核をなすディーゼルエンジン。
そしてBMWの流れを汲むアルピナもまたそれは同様である。
もちろんアルピナである以上、ディーゼルといえどもスポーティでラグジュアリーな面で裏切ることはない。今年40周年を迎えたアルピナの最新ディーゼルを堪能した。

REPORT◉山崎元裕(Motohiro Yamazaki)
PHOTO◉NICOLEAUTOMOBILES

※本記事は『GENROQ』2019年9月号の記事を再編集・再構成したものです。

 アルピナというメーカーの名前を初めて耳にしたのは、たしか1970年代を迎えた頃の話だったと思う。今にして思えば、アルピナはタイプライターなどの事務機器を生産していた会社から、正式な社名にもその名が掲げられているブルカルト・ボーフェンジーペンによって、BMW車のチューニングメーカーとしての活動を開始。その後にモータースポーツの世界で大成功を収め、さらに自社ブランドの完成車を生産する自動車メーカーへと発展を遂げたというのがその歴史の概要であることを知り得ているから、アルピナの名はまずモータースポーツから自分自身の耳に届いたのだろうと想像できる。

 アルピナの製作したレーシングカーがいかに高性能で魅力的な存在であったのかは、当時獲得したさまざまな勝利やタイトルがそれを明確に物語るが、さらに注目すべきは実際にそのステアリングを握ったドライバーの錚々たるメンバーだ。アルピナは2015年に創立50周年を迎え、それを記念して『OAL―BB50』というタイトルの(OALはアルピナが本社を構える、ドイツ・バイエルン州ブッフローエを示すライセンスプレートの記号。続くBB50は、創始者ブルカルト・ボーフェンジーペンと、アルピナ社の50周年を意味するものだろう)豪華本を発行しているが、この中に登場するドライバーの名前にそれを読む者の目は釘づけになる。ジェームス・ハント、デレック・ベル、ジャッキー・イクス、ハンス・シュトック、さらにはあのニキ・ラウダまでがアルピナとともにドイツ、そしてヨーロッパで激戦を繰り広げたのだ。

今回の試乗会では最新のD5 S以外にD3ビターボやD4ビターボも富士スピードウェイで存分に試すことができた。
高品質なレザーとウッドに囲まれた幸福なインテリア。スポーツステアリングの裏にはパドルではなく伝統のスイッチトロニックが備わる。
3ℓ直6ディーゼルは最高出力326㎰、最大トルク700Nmを発揮する。最高巡航速度275㎞/h、0→100㎞/h加速は4.9秒を誇る。

 当時のツーリングカーレースには他にもBMW車を投じる、サブワークス的存在のチームがいくつかあった。シュニッツァーやハルトゲはその代表的な存在だったが、アルピナは1977年に3.5CSLで選手権を制覇すると、会社の経営を大きく方向転換する。ブッフローエの地にさらに大きな規模の本社工場を完成させると、ロードカーとしてのアルピナ車を生産することを決断。1980年代半ばには一時レースの世界へと復活を果たすが、彼らのコアビジネスがロードカーであることは変わらなかった。

 サーキットからオンロードへというストーリーを聞くと、誰もが想像するのはBMW MによるMモデルのようなスパルタンなモデルなのかもしれないが、アルピナの車両開発のコンセプトは、それとはまったく異なるベクトル上にある。今回ドライブした「D5 Sビターボ リムジンアルラッド」もまた、それを改めて感じさせてくれる1台だった。ディーゼルエンジンを搭載してスポーティでラグジュアリーな、そしてベースのBMW車を確実に超越するパフォーマンスを披露することなど可能なのか。誰もが抱くだろうこの疑問は、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間に氷塊するに違いない。

 試乗前、外から聞いていたサウンドはディーゼルエンジン特有のもので、ボリュームもそれなりに大きなものだったが、キャビンに身を置いてみると、そのノイズやバイブレーションが見事に処理されているのが分かる。中速域から高速域にかけてのスムーズさは、ガソリンエンジンと比較しても遜色ない。繊細さを感じるレスポンスも、このエンジンの大きな魅力だ。搭載される3ℓ直列6気筒ツインターボディーゼルエンジンの最高出力は326㎰、最大トルクは700Nm。0→100㎞/h加速を4.9秒でこなし、最高速ではなく最高巡航速度は275㎞/hだ。アルピナ車の特長は、フットワークの上質さにも表れている。リニアなコーナリング特性を実現しながら、素晴らしい乗り心地を演出するテクニックはさすがアルピナの作。美しく、また高級感に満ち溢れたキャビンのフィニッシュも素晴らしい。年間に最大でもわずか1700台ほどしか生産されないアルピナ車。その希少価値も大きな魅力といえる。

わずか世界99台限定のB4 Sエディション99と並ぶのは、伝説の始まりとも言える3.0CSL。先日逝去したニキ・ラウダがETCで活躍したことにちなみ展示された。左フェンダーには現社長のアンドレアス・ボーフェンジーペンのサインが書かれている。

SPECIFICATIONS
BMWアルピナD5 S
■ボディサイズ:全長4960×全幅1870×全高1485㎜ 
ホイールベース:2975㎜ 
■車両重量:1940㎏ 
■エンジン:
直列6気筒DOHCディーゼルツインターボ 
総排気量:2993㏄ 
最高出力:240kW(326㎰)/4000~4600rpm 
最大トルク:700Nm(71.4㎏m)/1750~2500rpm 
■トランスミッション:8速AT 
■駆動方式:AWD 
■サスペンション形式:Ⓕダブルウイッシュボーン Ⓡマルチリンク 
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク 
■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ255/35ZR20(8.5J) Ⓡ295/30ZR20(10J) 
■パフォーマンス 最高巡航速度:275㎞/h 0→100㎞/h加速:4.9秒 
■環境性能(WLTC):14.7㎞/ℓ 
■車両本体価格:1299万円

これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。

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