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モーターファン1965年3月「モーターファン・ロードテスト」再録[ポルシェ911 1965年「901型」最初期ソレックス仕様] 福野礼一郎のクルマ論評4 モーターファンロードテスト現代の視点 ポルシェ911

  • 2019/10/01
  • Motor Fan illustrated編集部
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目次開く

イージィ・ドライブが大きな狙い

おごっているキャブレータ

ℓ当たり65馬力の高性能エンジン

ものすごいダッシュ力

全輪ディスク・ブレーキ

各部の操作力はツーリングなみ

理想的なステアリング特性

スポーツカーのハンドル操作

ゆったりしている室内

クラッチペダルの位置について

ノン・スリップ・デフの効果

振動・騒音試験結果

寸法関係測定結果

動力性能試験結果

操縦性安定性関係テスト結果

重量、アライメント、ブレーキ試験結果

福野礼一郎のクルマ論評4を読み解くためのページ[ポルシェ911 1965年「901型」最初期ソレックス仕様)]

動力性能試験結果

試験日時:昭和39年12月18日 ( 午前10:00~ 11:30)
試験場所:機械試験所東村山テストコース
天  候:晴 風なし
使用燃料:プレミアム
積算距離計:774km
車両重量:1036kg
積載重量:207.5kg
試験時重量:1243.5kg

(測定:東京工大近藤研究室 データ整理及び解析:井口信行)

1. まえがき
 ポルシェ911は、経済性をそなえたスポーツカーとして、フランクフルトショーで話題を呼んだ車である。基本的には、ポルシェ356をベースとしているが、加速性能のアップ、操縦安定性、それに乗心地踏の優れた点で高級スポーツカーといえよう。
 エンジンは、後置、空冷の水平対向6気筒、3気筒ずつのシリンダーヘッドに1本のオーバーヘッドカムを用いダブル・ローラー・チェンで駆動。シリンダーに鋳鉄を用いているほかは、ほとんど軽合金を使用している。
 排気量1991ccで 130ps/6200rpm(DIN)、最大トルク16.5kgm/4600rpm、出力重量比は、77kg/ps(DIN)。最高速は210km/hと報告されている。

2. スピードメーター検定
 Vr=0.90Vm−1.5
  Vr:実車速 
  Vm:スピードメーター読み

3. 加速性能
 試験結果を第1〜2表、第1〜2図に示す。0-400mに17.1sec、0-100km/hに10.4secと良い値を示している。

第1図 加速性能(距離~時間)
第2図 加速性能(車速~時間)
第3図 走行抵抗曲線

操縦性安定性関係テスト結果

1. 実用最小回転半径
 前々回のコンテッサ1300のテストから測定し始めたデータである。最小回転において試乗車がスウィーブする最外側及び最内側の半径を第1図に示す。

第1図 実用最小回転半径試験結果 (右旋回)

2. アンダーステア、オーバーステア及び保舵力
 試験結果を第2図~第4図に示す。この結果で最も注目すべき点は、横向加速度0.7g(後出第5図により求心加速度に直すと0.63g)に達するまで弱いアンダーステアを持続していることである。アンダーステアの度合を見るには第4図のR/R。~V²線図によるのが合理的で、それによればR/R。はV² =124(m/s)2まで増加を示している。
 保舵力は、横向加速度0.5gにおいて4kg強であって適度と思われ、かつ保舵力が横向加速度0.6gあたりまで増勢を持続していることも好ましいことである。
 かくて、本車のアンダーステア特性は著者(近藤)の持っているヴィジョンと一致している。本車がリヤエンジン車であることも考えると、サスペンションの設計(前はマクファーソン型、後はトレーリングアーム型)やタイヤの選択(ラジアルタイヤのダンロップ165HR15SPを使用、気圧は前22、後26lb/in²)などに行届いた研究と配慮がなされたものと推察される。

第2図 アンダーステア、オーバーステア試験の前バンパー中心点軌跡(R。≒15m、右旋回)
第3図 アンダーステア、オーバーステア試験結果 (R。≒15m、右旋回)
第4図 アンダーステア、オーバーステアの度合いを見る線図

3. 旋回中のロール角
 第5図の手続きを経て、第6図の結果を得た。ロール率は3.2°でこれも期待の通りである。

第5図 横向加速度と求心加速度との関係
第6図 ロール角と求心加速度との関係

4. 据切り操舵力
 第7図の通りで、ハンドル角で360°を切るには14kgを要している。この種の車では据切り操舵力は多く考える必要は無いであろう。

第7図 据切り操舵力試験結果

5. 低速時操舵力試験(8字形コース走行試験)
 最小曲率半径6mのレムニスケート曲線上を前バンパー中点が走るように試験した。結果は第8図、操舵力を見易く整理したものは第9図の通りで、曲線に入るときの操舵力は求心加速度0.25gにおいて4kg程度であり、予想外に大変軽い。

第8図 8字走行試験結果 (r=18.0 √ sin2θ )
第9図 8字走行試験の操舵力の整理

6. 高速時操舵力試験(スラローム走行試験)
 結果は第10図の通りで、最大横向加速度0.25gの対応値は約3kgであり、これも望ましい値になっている。

第10図 スラローム走行試験の操舵力の整理

7. 発進加速試験
 自記加速度計記録を第11図に示す。ローを約5S、セコンドを約5S、サードを約6S使って400mに達している。

第11図 発進加速試験の自記加速度計記録

8. 手放し方向安定試験
 第12図の如く計器速度130km/hまで試験し得た。自記加速度計記録に、手放し直後、ラック・ピニオン式操向系統車の共通の特色がはっきり現われている。130km/hにおいても収束は良好である。
 筆者が気になったことは、直線走行で、ハンドルをスポーツカー式或いはレーサー式に押え気味に保持しないと、車が横に少しふらつくことである(座談会参照)。

第12図 手放し方向安定試験結果 (横向加速度の記録)

9. 高速度(80km/h)からの制動試験
 踏力を15kg、20kg、25kgに一定に保って制動し、残跡装置及び自記加速度計を用いてその運動を測定した。また、踏力25kgの制動を12回繰返し、13回目に計測してフェードの様子を調べた。結果は第13図、第14図の通りで、本車が全輪ディスクブレーキを採用している特徴がよく現れているのは注目すべきであろう。すなわち減速度曲線にはドラムブレーキで普通にあらわれるピークが見られないし(ディスク・ライニング間の摩擦係数
が過度及びすべり速度の影響を受けない)、またフェードらしきものが全然認められずむしろ13回目の制動の方が好成績を示している。

第13図 高速(80km/h) よりの制動試験結果 その1(踏力~、減速度~時間曲線)
第14図 高速度(80km/h)よりの制動試験 その2(距離~、速度~時間曲線)

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