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プジョー508SWに見るフランス流ステーションワゴンの文化【ライバル比較インプレッション「アウディA4アバント&ボルボV60」】

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ヨーロッパで長距離を走るならワゴンの選択は必須

 話は変わるが、以前、家族4人でヨーロッパ1周、約4000㎞の旅をしたことがある。その時のクルマには、508SWの対抗馬であるアウディA4アバントのディーゼルを選んだ。日本ではSUVとミニバンが人気だが、長距離の高速移動では躊躇なくステーションワゴンになる。フランクフルトでクルマをレンタルし、そこから旧・東ドイツに入り、スイスの山を越えて、ミラノに下り、地中海沿いのマルセイユ、ニース、そこから北上しリオン、ドイツの黒い森……というルートで3週間の旅だ。

 田舎道や旧市街ではのんびりと景色を見ながら、地元のものを食べ、ホテルもその地域らしいところを選んだ。4人もいれば、つたない英語でも現地の人となんとか会話もでき、骨董市や村のお祭りに出会ったりと日々の発見が楽しい。ステーションワゴンのロングドライブは、荷物も家族の夢も満載にした旅だった。

 A4はアウトバーンに入るとフルスロットルで170㎞/h前後でクルージングする。それでも全行程の燃費は17㎞/ℓも走り、さすがディーゼルだった。

 欧州の一般道は、路面が荒れていて上下にうねっているところが多い。そのため荷物満載では大きくバウンシングし、出来の悪いクルマはサスが底付きする。それを非常に嫌うのは欧州の太ったおばちゃん達だ。理由はたるんだ大きな胸がブルンと共振するからだという。そのため我々も開発時には、バウンシングには注力して胸のブルンが起きないようしていた。

 高速道をひたすら走ると、直進安定性ひとつ見てもメーカーによって大きな差がある。クルマにはもともと物体としてまっすぐ走る力が備わっている。ところがメーカーによってはハーシュのためにサスブッシュに細工するところがある。するとタイヤが微妙に動くためまっすぐに走る力を削いでしまう。

 もし2輪で軸受にブッシュを入れたら正確に走れないだけではなく転倒してしまう。バイクが横風を受けてもまっすぐに走るのは、タイヤの回転イナーシャがあるからだ。4輪では軸受を動かしてもそれに気付きにくいため、メーカーは市場不具合に繋がるハーシュを重視しがちになる。それが直進時の気持ち良さか否かに繋がっている。勿論、ブッシュを細工するとコーナリングでも正確ではない。

 当然、プジョーの開発陣はハーシュより素直にまっすぐ走る方が大切であることをご存じなのであろう。

 そろそろ結論に入りたいが、その前にプジョー家について触れておこう。これがなかなか面白く親近感を覚える。

 プジョー家はスイスとの国境に近いヴァンドンクールという1000人にも満たない小さな村で、家族経営の鍛冶屋を営んでいた。村人のためにノコギリや工具を作って生計を立てていたが、刃物が得意だったことから1842年にコーヒーミルやペッパーミルを作り始めた。するとこれが大成功。そして1882年には、それまで作っていた傘の骨の技術を活かした自転車を製造。

 地味な家内工業だったが、創業者のひ孫に当たるアルマン・プジョーは破天荒で突進タイプの人だったようで、無謀にも1889年のパリ万博(エッフェル塔が造られたので有名)に3輪蒸気自動車を出品したのだ。その7年後の1896年にプジョー自動車(株)を設立。

 プジョーはラリーやレースでも果敢に攻め、205に500psのエンジンを積み、WRCを総なめにした(1985年)。それ以前にはルマン24時間レースにも挑戦したメーカーだ。

 クルマ好きというのは、誰もが自分の想い描くクルマを作りたいわけだ。それが出来ると、今度は自分のクルマが如何に速いかを示そうとレースに出場。そのため社長自身が陣頭指揮を振るうのは当たり前。

 そこには人間の「作る本能」と「競争する本能」があり、それが自動車メーカーの個性となった。ここが日本メーカーとの違いである。

 プジョーが凄いのは創業時のペッパーミルや自転車を今も作り続けていることだ。最初にクルマを作ってから今年で130年を迎え、ペッパーミルは177年前の小さな村の時と殆んど変わらずに今も作り続けている。私も朝食時にペッパーミルをゴリゴリしているが、プジョーを知ると、なぜかそんなことが嬉しく感じる。

 本題の508SWだが、一般的にワゴンというと合理主義の塊りでコンサバなスタイルになりがちだが、そこがプジョーの上手さだ。

 冒頭の工業製品としての完成度の高さと、右脳がダダをこねる魅力が高いレベルで実現できている。

 これなら週末にちょっとお洒落してロングドライブに!という気持ちになる。その時は可変ダンパーをコンフォートにして好きな音楽でも聴きながら家族でのんびりドライブしたい。

Peugeot 508 SW
VOLVO V60
AUDI A4 Avant

センタークラスターのモニター大型化の中で、操作系をモニターに取り込むのが一般的になってきた。その中でアウディが物理キーが多い。手探りでの操作がしやすいが、今後どうなっていくのか。

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