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ディーゼルと4WDで実燃費はどうなる? フォルクスワーゲン・パサート オールトラックで250km走って計測!〈VW PASSAT ALLTRACK〉

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ひさびさに日本に導入されたフォルクスワーゲンのディーゼルエンジン。あまりにも直球な発想ではあるが、やはりディーゼルと聞けば燃費が気になるのは当然だ。2018年、その先陣を切って搭載されたのはパサートだったが、今回はその中でも人気の高いオールトラックで燃費を計測してみたい。燃費に不利とされる四輪駆動がどのように作用するのかも興味深い。

REPORT&PHOTO●小泉建治(KOIZUMI Kenji)

パサート ヴァリアントをベースに、最低地上高を30mm引き上げて悪路走破性が向上。樹脂製フェンダーなどでアウトドアテイストを強めている。

燃費に不利とされる4WDだが……

 レポートに入る前に、パサート・オールトラックのスペックを簡単に紹介しよう。

 エンジンは直列4気筒2.0L直噴ディーゼルターボエンジンで、インタークーラーが付く。最高出力は190ps、最大トルクは400Nmで、6速DCTを介して4輪を駆動する。車重は1680kgで、同じエンジンを積むベースモデルのパサート・ヴァリアントTDIハイラインよりも120kg重い。ヴァリアントはFFだから、当然ながらオールトラックは燃費の面で不利である。JC08モード燃費はヴァリアントの20.6km/Lに対してオールトラックは17.3km/Lとなっている。

 テスターの体重は76kgで、乗員は一名である。とくに燃費を意識せず、アクセルを踏むべきときはしっかりと踏み込み、流れに乗った運転を心掛ける。

 まずは編集部からほど近い初台インターチェンジから首都高速4号線に乗る。目立った渋滞もなく、制限速度の70km/Lを目安に走り、中央自動車道に入ってからも流れも良く、制限速度の80km/h前後を保つことができた。

 トップギヤである6速での80km/h巡航時のエンジン回転数は1400rpmだった。

 八王子の料金所を過ぎてからは登り坂が多く、とくに小仏トンネル手前の約5km、そして上野原インターチェンジから談合坂サービスエリアまでの約5kmは、高速道路としてはかなりきつい部類に入るであろう登り坂となっている。高速道路とはいえ、なかなか燃費には厳しいステージだ。

 大月インターチェンジで中央自動車道を出る。ここまでの平均燃費は17.2km/Lとなった。

 大月からは一般道をひた走る。国道20号線、国道139号線という、交通量の多い幹線道をしばし走り、別企画の撮影のためにタイトで勾配のきついワインディングロードを30kmほど走る。

 続いて穏やかなカーブの続く山あいのワインディングロードを35kmほど走り、再び国道20号線に出て中央自動車道の相模湖インターチェンジに到着する。

 ここで燃費をチェックすると、驚きの結果が! 17.1km/Lと、先ほどの高速燃費とほぼ同じ結果が出たのだ。

 一般論として、ディーゼルは高速燃費に強いとされている。低速トルクに優れているディーゼルは、一定の負荷で走り続ける高速連続走行こそ得意なのだ。

 確かにこのセクションは、アップダウンこそあれど、全体的には下り傾向だった。スタート地点の大月インターチェンジとゴールの相模湖インターチェンジの標高を比べれば、明らかに後者が低い。

 ただ、それでもこの好結果は驚異的だ。まるで回生機構のついたハイブリッドのような燃費である。

ラゲッジスペースは639Lで、6:4分割可倒式のリヤシートを両方倒せば1769Lもの空間が出現する。トノカバーやラゲッジネットも装備される。
分割可倒式リヤシートはリヤゲート側からリモートで倒すことも可能だ。
ラゲッジスペース左右の壁面は写真のようにえぐられ、小物入れになっている。

 相模湖インターチェンジからは再び中央自動車道に乗り、東京を目指す。このセクションは小仏トンネルの手前と、三鷹料金所(実際にブースがあるのは反対車線のみ)の手前に登り坂があるが、それ以外は全域において下り坂で、燃費が大きく伸びるステージだ。

 そんな高速ステージで、オールトラックは25.0km/Lというすばらしい燃費を記録した。先日、同じコースでテストしたVWアルテオン(直列4気筒2.0Lガソリンターボ+4WD)が同じ区間で18.0km/Lだったから、まさにディーゼルの面目躍如といったところだ。

 その後、夕方と翌朝、それぞれ通勤渋滞に巻き込まれつつ31kmを走行。最も燃費には厳しいシチュエーションだが、平均燃費は12.1km/Lと、10km/Lを割ることはなかった。

 全行程241kmを走り終え、総合燃費は17.3km/Lとなった。奇しくもJC08モード燃費とまったく同じ数値である。

 ただ、総合燃費は全行程のなかにおける高速道路の割合次第で変化するので、カタログ数値達成率が100%だったことじたいを評価するのはあまり意味がない。

 オールトラックの結果から言えることは、ディーゼルらしい高速燃費の伸びもさることながら、一般道での落ち込みも驚くほど少ないということだ。

 ちなみに以前、同じエンジンを搭載するFWDモデルのパサート・ヴァリアントで燃費計測を行った際は、高速道(平均速度87km/h)で19.8km/L、一般道(平均速度34km/h)で17.8km/Lだった。ステージが異なるので直接比べることはできないが、4WD化による落ち込みも少ないと言えそうだ。言い換えれば、外的要因に左右されにくく、安定した燃費性能を発揮するエンジン───この解釈が物理的に正しいかどうかはともかく、そんな印象を受けた。

 参考までに、オールトラックの燃料タンクは66Lだから、今回の燃費をもとに計算すれば、一回の給油での航続距離は1142kmとなる。市街地での燃費を除いた総合燃費は18.6km/Lとなるから、航続距離は1288kmにまで伸びる。

 これが内燃機関、とりわけディーゼルエンジンのEVに対する大きなアドバンテージであることに間違いはない。

 ディーゼルエンジンのリアルワールドにおける優位性を見せつけられた思いがした。

フォルクスワーゲン・パサート・オールトラック TDI 4MOTION Advance
全長×全幅×全高:4780×1855×1535mm ホイールベース:2790mm 車両重量:1680kg エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ 総排気量:1968cc ボア×ストローク:81.0×95.5mm 最高出力:140kW(190ps)/3500-4000rpm 最大トルク:400Nm/1900-3300rpm トランスミッション:6速DCT タイヤサイズ:245/45R18 車両価格:588万6000円

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