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やっぱり911は素のカレラに限る! ちょうどいい911の魅力とはなにか?【Porsche 911Carrera & Cabriolet試乗記】 新しい素のポルシェ911カレラはエンブレムを見ないとカレラSと見分けがつかない、その理由は?

  • 2019/12/28
  • GENROQ編集部
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911カレラSと911カレラ4Sが先陣を切ってデビューしたタイプ992にようやく911カレラが登場した。
いつの時代でも素のカレラが最も素直にその特徴が味わえるのが911だ。
さて、タイプ992の素性やいかに?

REPORT◉藤野太一(FUJINO Taichi)
PHOTO◉Porsche AG

※本記事は『GENROQ』2019年12月号の記事を再編集・再構成したものです。

 2018年11月のロサンゼルスモーターショーで、まずは「カレラS」と「カレラ4S」がデビューした8代目ポルシェ911、タイプ992。今年1月に「カレラSカブリオレ」および「カレラ4Sカブリオレ」が登場。遅れること半年、今年7月にベースとなる「カレラ」と「カレラカブリオレ」が、9月のフランクフルトモーターショーで4WDモデルの「カレラ4」と「カレラ4カブリオレ」が発表された。

 「なぜカレラではなく、カレラSを先に発表したのか?」。この問いかけに911と718のセールス&マーケティングダイレクターを務めるヘンリッヒ・クリストフ氏は、「それはカレラSが販売戦略上もっとも重要なモデルだから」と答えた。欧米ではカレラSの比率が約7割にもなるという。追ってGTSなどが登場するとその比率は変わるというが、最量販モデルであることは変わらない。一方で、日本はといえば、タイプ991では5割をカレラが占めたという。アウトバーンのない国としては、さもありなんというところか。

 フランクフルトモーターショーのプレスデー翌日、おそらく日本では一番人気になるであろうカレラクーペに試乗する機会を得た。フランクフルトの市街地から南へ約270㎞、ポルシェ本社のある町シュトゥットガルトを目指すルートだ。

 試乗車は標準ホイールがフロント19インチ、リヤ20インチなのに対し、カレラSと同サイズのフロント20、リヤは21インチ、タイヤはグッドイヤーのイーグルF1を装着。さらにオプションのスポーツエグゾーストも備えていた。カレラSとカレラの数少ない識別点のひとつがテールパイプで、カレラSは丸い4本出し、カレラは四角い2本出しなのだが、このオプションが装着されていれば、オーバルの2本出しとなる。

 またタイプ992では、従来は4WDモデル専用だったワイドボディがRWDにも採用されるようになった。したがってカレラも全幅は1852㎜に。また、ホイールベースは991と同じ2450㎜ながら、トレッドは991カレラがフロント1540㎜、リヤ1520㎜であったのに対して、1591/1557㎜とそれぞれ51/37㎜も拡幅している。ホイールベースとトレッドの比率から考えれば、より回頭性重視であることがわかる。

空冷時代の5連メーターを彷彿とさせるデザインとなったタイプ992のインパネ。カレラSとカレラによる違いはほとんどない。
トップの開閉と電動ウインドディフレクターのスイッチはシフトレバー手前にある。

 見た目の話でいえば、こうなるとカレラかカレラSなのかカレラ4なのか、テールにあるエンブレムを見ない限り判別することは難しい。

 カレラSとカレラの最大の相違点はもちろんエンジン出力だ。両者とも991Ⅱ型より採用された3ℓ水平対向6気筒ツインターボエンジンをべースに、最新の排ガス規制をクリアすべくガソリン微粒子フィルター(GPF)を装着する。ちなみに排ガス規制の違いから日本仕様は非装着というから、よりダイレクト感を享受できるはずだ。またパフォーマンス向上のためにインタークーラーを移設するなどクーリングシステムを新設計し、ピエゾインジェクションバルブを初採用した点などは共通だ。カレラSの最高出力は450㎰、最大トルクは530Nm、そしてカレラは385㎰/450Nmとなる。これは991比でみれば+15㎰で、最大トルクに変更はない。

 スマートキーの採用ゆえ、左側に配置されたキーシリンダーに鍵をさす動作は必要なくなったけれども、あえてスターターボタンは採用せず、同じ場所に配置されたノブを右側にひねってエンジンを始動する伝統は受け継がれている。GPFの影響なのかエンジン音は思いのほか静かだ。試乗車のすべてにオプションのスポーツエグゾーストが装着されていたことに合点がいった。991に対して11%ギヤ比がクイックになったステアリングに入力すれば車体は瞬時に向きをかえる。カレラにはリヤアクスルステア(4WS)の設定はないようだが、それで不満を感じるような場面はなかった。アルミの比率を7割にまで高めたというボディは、静粛性も剛性感も高い。鉄のボディにあった、しなるような感覚は薄れているが、荒れた路面からの大きな入力も一発で収拾する。992では電子制御ダンパーであるPASMが標準装備となったこともあり、20インチオーバーサイズのタイヤもきっちり履きこなしている。

カレラもカレラSもカレラ4も全幅は1852㎜で統一され、外観上の違いは非常に少ない。
ヘッドレスト一体型のシートはショルダー部のホールド性にも優れている。
前後異径のホイールを採用する。カレラの標準はフロント19インチ、リヤ20インチだ。

 トランスミッションは8速PDKが標準装備となった。ノーマルモードでは効率を求め、低速域からリズムよくシフトアップしていく。スポーツモードでは従来と同様にシフトスピードを高め、高回転域を維持しながら走ることが可能だ。先出のクリストフ氏にMTの設定はないのか尋ねると、「そう遠くないタイミングで導入するよ」と答えてくれた。

 道中でカブリオレに乗り換えた。ソフトトップの骨組みはマグネシウム合金製で、リヤウインドウはもちろんガラス製だ。屋根を閉めていれば、アウトバーンでもバタつくようなことはないし、助手席の人と会話を楽しむことも問題なくできる。ルーフの開閉機構に油圧システムを採用したことにより、所要時間は約12秒にまで短縮されており、また50㎞/hまでなら走行中でも開閉が可能だ。制限速度100㎞/hのワインディングでルーフを開け放って走行してみたが剛性感が落ち、ステアリングレスポンスが鈍るようなことはなかった。電動ウインドディフレクターによって風の巻き込みも最小限に抑えられているし、4000rpmを超えたあたりから、スポーツエグゾーストが本領を発揮する。クリストフ氏いわく、欧米ではボディタイプ別にみると約5割がカブリオレという。ちなみに日本では約1割。これもまたさもありなんだ。

 日本で先に乗ったカレラSは、正直にいえば日本の道には速すぎると感じた。もちろんカレラが遅いというわけでない。むしろちょうどいい。誰にでも扱いやすく、速く、快適だ。911シリーズの根幹を担うモデルとして、カレラの想像以上の正常進化ぶりに、感嘆するほかない。

トップを閉じたスタイルも美しい。開閉時間は12秒にまで短縮された。日本ではソフトトップのカラーは4種類が用意される。

SPECIFICATIONS ポルシェ911カレラ
■ボディサイズ:全長4519×全幅1852×全高1298㎜ ホイールベース:2450㎜
■車両重量:1580㎏
■エンジン:水平対向6気筒ツインターボ 最高出力:283kW(385㎰)/6500rpm 最大トルク:450Nm(45.9㎏m)/1950~5000rpm
■トランスミッション:8速DCT
■駆動方式:RWD
■サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡマルチリンク
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ:Ⓕ235/40ZR19 Ⓡ295/35ZR20
■価格:1359万7222円

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