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軽量化のためにリヤシートも取っ払った狂気のスポーツカー ルノー・メガーヌR.S.トロフィーR……F1ジャーナリストを震撼させたテクノロジー【第2回:シャシー編】〈試乗インプレッション〉 PR

  • 2020/03/27
  • MotorFan編集部
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ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェで市販FF世界最速タイムの7分40秒1を叩き出したルノー・メガーヌR.S.トロフィーR。この世界限定500台のスペシャルマシンには、F1直系のテクノロジーが満載されている。F1やル・マン24時間レースなど、世界トップカテゴリーのレーシングマシンのメカニズムに造詣の深いジャーナリストの目で見ると、メガーヌR.S.トロフィーRは「ルノー・スポール」にしか作れないスポーツカーだという。前編、後編の二部構成でお届けする本レポート。第2回はシャシー編である。

REPORT●世良耕太(SERA Kota)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)

ルノー・メガーヌR.S.トロフィーR……F1ジャーナリストを震撼させたテクノロジー【第1回:エンジン編】〈試乗インプレッション〉

ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェで市販FF世界最速タイムの7分40秒1を叩き出したルノー・メガーヌR.S.トロフィーR。この...

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徹底したダイエットで130kgもの減量に成功

 ルノー・メガーヌR.S.トロフィーRは、ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェで量産FF車最速タイムを記録するために開発された。ベースはメガーヌR.S.トロフィーだ。もともと速いクルマをより速く走らせようと考えた場合、エンジンパワーを高めるのは常套手段である。F1ではパワーを10ps向上させると、ラップタイムを0.1秒短縮する効果があると伝わる。また、10kgの重量減はラップタイム0.3秒の向上につながると言われている。

 F1をはじめ、多くのレースカテゴリーでは最低重量が定められているので、規定以下の車重で走ることはできない。だが、エンジンを含めたパワートレーン系の性能を高めていくと強度を確保する必要から重量は重くなりがちだし、ボディ剛性を向上させる場合も同様である。最低重量を上回っている場合は(実際、そういう例は多い)、何よりも軽量化がタイムに効く。前後重量配分を適正化するためにも、軽量化は欠かせない。最低重量より軽く設計し、浮いた分をバラストに充てるのだ。

 少ない搭載燃料で走れるようにするのも、速く走るための重要なポイントだ。周囲より5kg軽い状態で走ることができれば、1周あたり0.15秒のゲインが期待できるのだから。

 ルノーは、ニュルブルクリンク量産FF車最速の車両を仕立てるにあたり、エンジンパワーの向上に走らず、徹底した軽量化によって新記録樹立を狙う選択をした。速さを追求する際の正攻法である。結果から先に伝えると、ベースのメガーヌR.S.トロフィー(MT)に対し、メガーヌR.S.トロフィーR(カーボン・セラミックパック) は130kgもの軽量化を達成した(1450kg→1320kg)。一般的には、成人男性ふたり分に相当する(筆者なら1.5人分だが……)。ガソリンなら173L分だ。

直列4気筒1.8L直列ターボは最高出力300psと最大トルク400Nmを発生。ターボチャージャーにはF1と同様のセラミックボールベアリングを採用。タービンがスチールよりも軽く、硬く、滑らかなセラミックのボールベアリングに支えられることで摩擦が従来のスチール製の3分の1に低減され、ターボのレスポンスを引き上げている。0-100km/h加速はメガーヌR.S.トロフィーの5.7秒から5.4秒に、最高速度は260km/hから262km/hに向上している。

 主な軽量化策を見ていこう。スチールだったボンネットはカーボンコンポジットにした。NACAダクトがあるセンター部分だけカーボンファイバーの織り模様が確認できるが、開いて裏を確認すると、それ以外の部分もカーボンコンポジットであることがわかる(NACAダクトとボンネットライニング以外はグラスファイバー)。

 ちなみにこのNACAダクト(「ナカダクト」と読む)、モータースポーツの世界では一般的な技術で、NASA(アメリカ航空宇宙局)の前身であるNACA(National Advisory Committee for Aeronautics:アメリカ航空諮問委員会)が開発した形状だ。手前が狭く、奥に向かうにしたがって広がっていく形状にすることで空気抵抗(ドラッグ)を減らすことができる。トロフィーR に追加されたNACAダクトは、エンジンルーム内の冷却(とくに高回転域を多用する走行時に有用)を助ける狙いだ。NACAダクトとカーボンファイバーの組み合わせは、モータースポーツで多用される技術だ。

ボンネットはカーボンコンポジット製で、ノーマル比で8kgの軽量化を実現。ルーフ後端のアンテナはシャークフィン型に変更された。試乗車は限定4台の「トロフィーR カーボンセラミックパック」(すでに完売)で、専用のカーボンセラミックブレーキを装着している。

 メガーヌR.S.トロフィーR はカーボンコンポジットボンネットを採用することで、重量を半減(8kg)させた。19インチ アロイホイールの「フジライト」は、メガーヌR.S.トロフィーに対して1本あたり2kgの軽量化を果たしている(1台分で8kg)。アクラポヴィッチ製チタンエキゾーストはベース車比で6kgの軽量化。シートはサベルト製モノコックレーシングシートに換装することで、1脚あたり7kg軽量化した(前席左右2脚で14kg)。

 エキゾーストにしてもシートにしても、軽量化だけが狙いでないのは、乗れば分かる。アクラポヴィッチ製チタンエキゾーストはエンジンを始動した直後から気分を高揚させるスポーティなサウンドを発するし、サベルト製モノコックレーシングシートは強い旋回Gが発生する状況ではもちろんのこと、リラックスした状態で運転したい状況でも、サポートが邪魔にならない。拘束感に押しつけがましさがないからだ。

 速さを追求した潔さを感じるのは、リヤシートを取り去ったことである。これで25.3kgの大幅な軽量化を果たした。リヤワイパーは取り外され、リヤのサイドドアははめ込みとなっている(だから当然、リヤドアにパワーウィンドウのスイッチはない)。

カーボンリヤディフューザーは標準車よりもフィンが大きく、強烈なダウンフォースを発生させる。中央からはアクラポヴィッチ製チタンエキゾーストが覗く。

 空力に対する力の入れ具合も徹底している。フロントバンパー下に装備されるボトムブレード(モータースポーツの世界では装着する部位や形状により、「ストレーキ」「ボルテックスジェネレーター」「フィン」「ターニングベーン」などと呼ばれる)は、前後の空力バランスを改善するためにデザインを見直した。また、フロントバンパー下とシャシー下面のフェアリングは、ディフューザーに導く空気の流れを最適化するため、仕様が見直されている。

 フロントバンパー下のボトムブレードは、F1などのフォーミュラではフロントウイングの下面、プロトタイプやツーリングカーではスプリッター(実質的にフロントウイングとして機能)の下面に装着されるデバイスと同じ働きをする。板の左右を流れる空気の圧力差を利用して縦渦を発生させ、エネルギーの強いその渦の力を利用して空気の流れを制御するのだ。その制御の効果でフロントタイヤが発生する乱流がフロアに流れ込まないようにしたり、フロントで発生するダウンフォースを高めたり、フロア後端にあるディフューザーの効果を高めたりする。

 狙いはさまざまだが、空力開発にとって最も重要な技術のひとつであることに違いはない。ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェ量産FF車最速を目指すメガーヌR.S.トロフィーRの開発にあたって重視したのは当然だ。リヤエンドに目をやると、ボンネットと同様にモータースポーツでおなじみのカーボンを使用したディフューザーを確認することができる(軽量化のためだ)。ベースのR.S.トロフィーに対して大容量になっているが、単に大きくしたからパワフルになるわけではなく、フロント〜フロアの流れを制御してはじめて大きな効果につながる。ルノーによると、トロフィーRが発生するダウンフォース量は倍になっているという。見た目以上に大きな変化だ。

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