大きな凹凸での突き上げと強風下での直進安定性、航続距離には課題も 新型スズキ・ハスラーターボ500km試乗インプレ…ボディの新技術と洗練されたパワートレインがドライ路では長時間でもストレスの少ない走りに貢献【売れ筋国産SUV長距離実力テスト】
- 2020/04/19
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遠藤正賢
そして、首都高湾岸線へ。海風が直撃するベイブリッジや鶴見つばさ橋を通過した際の風速は13m。背の低いスポーツカーでも直進を保つのが難しくなる悪コンディションに、新型ハスラーは酷に過ぎた。この状況では直進を保つのはもちろん、車線を維持するのすら一苦労。雪道を走るのと同レベルの注意力と、突風に見舞われた際は素早いカウンターステアでの対処を要求される。
こういう時こそADAS(先進運転支援システム)の助けを借りて、ゆっくり安全・快適に走りたいものだが、「スズキセーフティサポート」はACC(アダプティブクルーズコントロール)の減速制御がラフで、LKA(レーンキープアシスト)は警告・操舵アシストとも介入のタイミングが遅い。そして車線中央を維持するLTA(レーントレーシングアシスト)が備わらないため、「もう少し役に立ってはくれないものか」と、恨み言の一つも言わずにはいられなかった。
その一方で、R06A型0.66L直3ターボエンジンに大幅改良されたCVTとマイルドハイブリッドの組み合わせは、こうした状況でも加速性能に不足なし。モーターアシストがこれ見よがしではなく、モーターアシストが切れても失速感が少ないのは、個々のポテンシャルに余裕があり、かつそれらを巧みに統合制御している証だろう。
木更津市内のワインディングに入ると、こうしたパワートレインの扱いやすさがより一層活きてくる。ハンドリングと乗り心地に関しては、前述の市街地とほぼ変わらなかったものの、タイトコーナーを早いペースで旋回中に大きな凹凸を乗り上げても、突き上げこそ強いものの車両が不安定になる兆候は見られず、安心して軽快な走りを楽しめた。
ただし、新型でセパレート式に改められたフロントシートはそれでもサイドサポートが不足しており、いきおいステアリングにしがみつく状態になりがちだったのは惜しい所だが。
やがて金谷港近くの海辺に着き、砂浜と東京湾を背に新型ハスラーを眺めると、テスト車両のカラーが内外装ともデニムブルーだったこともあり、こうしたアウトドアスポットの方が似合う、タフなイメージのクルマになったという思いを再確認する。
また、荷室は初代に続き防汚タイプで、後席を倒せばほぼフラットになるうえ、新型では取り外せて丸洗いできるラゲッジアンダーボックスが全車標準装備となった。
そんな新型ハスラーを敢えて都会で乗るからこそ“粋”というものなのだろう。しかし、多彩な純正アクセサリーを駆使し、先代の特別仕様車「ワンダラー」のように癒やし系でコーディネートしようとしても、どこか無理しているような印象がつきまとうことには、一抹の寂しさを覚えずにはいられない。
ともあれ新型ハスラー、トータルバランスにやや課題はあるものの、走りが大幅に進化しているのは間違いない。道中を通じて強風に見舞われながらも、約500kmを走り切った後の疲労感は強くなく、ワインディングでも楽しめたのは予想外だった。
ただし、全行程の平均燃費は16.2km/Lながら、燃料タンク容量が27Lと小さく、満タンから空になるまで走った場合の航続距離は437.4kmに過ぎない。軽自動車とはいえ長距離長時間を走るSUV、走りのポテンシャルが高いだけに、燃料タンクのポテンシャルも今後ぜひ底上げしてほしい。
■スズキ・ハスラーハイブリッドXターボ4WD
全長×全幅×全高:3395×1475×1680mm
ホイールベース:2460mm
車両重量:880kg
エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
総排気量:658cc
エンジン最高出力:47kW(64ps)/6000rpm
エンジン最大トルク:98Nm/3000rpm
モーター最高出力:2.3kW(3.1ps)/1000rpm
モーター最大トルク:50Nm/100rpm
トランスミッション:CVT
サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/アイソレーテッド・トレーリング・リンク
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ:165/60R15 77H
乗車定員:4名
WLTCモード燃費:20.8km/L
市街地モード燃費:18.5km/L
郊外モード燃費:22.3km/L
高速道路モード燃費:21.0km/L
車両価格:174万6800円
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