Motor-Fan[モーターファン]|自動車最新ニュース・速報、試乗記など、クルマとカーライフを楽しむサイト

  • Motor-Fan[モーターファン]
  • モーターファンテック
  1. TOP
  2. バイク
  3. ニューモデル

ライバルはやはりハーレー!?|1802ccで最高出力91ps。BMM史上最大排気量のビッグボクサー「R18」、その詳細が明らかに!

このエントリーをはてなブックマークに追加

BMWがいよいよ本気でクルーザーセグメントに参入してきた。その名も「R18」。BMW史上最大のフラットツインを搭載した本格派メガクルーザーだ。その狙いについても考察してみたい。

REPORT●ケニー佐川(SAGAWA Kentaro)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

量産市販車最大の1800ccフラットツイン

「R18」は古典的なデザインと現代テクノロジーを組み合わされ大型クルーザーモデルだ。現在のBMWフラットツインの始祖的な存在である1936年製の名車「R5」をオマージュしつつ、エンジンと車体は完全新設計となっている。今回日本で初お披露目されたのは特別仕様の「R18ファーストエディション」で、ピンストライプのペイントやクロームパーツが施されているのが特徴だ。

 エンジンはBMW伝統の空冷水平対向2気筒で、いわゆるボクサー・エンジンとしては量産車史上最大となる排気量1,802ccから最高出力67kW(91ps)/4,750rpm、最大トルク158Nm/3,000rpmを実現。さらに2,000~4,000rpmの低回転域において常に150Nm以上のトルクを発生するというから驚きだ。
フレームもBMW伝統のダブルループ鋼管タイプを採用し、「R5」同様の密閉型アクスルドライブを備えたリジッドフレーム風のスイングアームを装備。クラシックBMWを手本とした露出型ドライブシャフトを採用するなど、ノスタルジックな香り漂う本格的な作りになっている。

雰囲気はクラシカルだが電子制御もしっかり投入

 サスペンションはフロントにスリーブ付きのテレスコピック型フォークを、リヤにダンパーとプリロード調整機構を備えた直押しタイプのモノショックを隠れた位置に配置するなどこだわり満点。ブレーキは前後トリプルディスクにそれぞれ4ポット固定式キャリパーを採用するなど現代的に強化され、メッキ加工のワイヤースポークホイールがクラシカルな雰囲気を盛り上げている。
また、ライポジもBMW伝統の人間工学に基づくミッドコントロール位置にステップがセットされ、リラックスしながらもアクティブな操作を可能とした。

「R18」には現代のマシンらしく電子制御も投入されている。「Rain(レイン)」、「Roll(ロール)」、「Rock(ロック)」の3種類のライディングモードの他、ASC(オートマチック・スタビリティ・コントロール)やMSR(エンジン・ドラッグ・トルク・コントロール)を標準装備するなど安全性を担保。また後進するためのリバースアシストや、坂道発進で安心なヒルスタートコントロール機能がオプション装備として設定される。

カスタム前提の作りに一流ブランドとのコラボも

 また、カスタムして楽しむことを前提にリヤフレームや外装パーツなどは取り外しが容易な構造を採用。ブレーキホースやクラッチワイヤーの取り回しもハンドル交換に対応しやすく設計されている。
さらに「R18」の個性を引き出す純正オプションパーツも充実。Roland Sands Design(ローランド・サンズ・デザイン)とのコラボレーションによる2種類のアルミ削り出しパーツの他、「マスタング」シート や「B&H」エグゾーストシステムなど有名ブランドとのコラボによるアクセサリーも用意されている。


 なお、日本での発売時期は2020年中を予定していて、今回紹介した特別仕様のファーストエディションで300万円を切る価格設定になる見込みだとか。同時によりリーズナブルな標準仕様の「R18」も設定されるようなので楽しみにしたい。

だれに向けたモデルなのか、そしてライバルは?

さて、「R18」は従来のBMWとはひと味もふた味も違うチャレンジングな意欲作であることは分かったが、気になるのはそのターゲット。どんなユーザー層に向けて作ったモデルなのだろうか。
まず1.8リッターという巨大排気量が与えられたビッグクルーザーということ。そして、長い歴史を持つ伝統的なエンジン形式にこだわり、かつての名車をオマージュしたクラシカルな雰囲気に現代的な装備を盛り込む手法とくれば、ライバルはおのずと限られる。そう、ずばりハーレーしかいない。その中でも排気量やキャラクター、価格的に見てちょうど新型ソフテイルシリーズとガチ対決になりそうな予感だ。
このセグメントで今までハーレーの牙城を崩せたブランドは皆無である。ただし、「R18」にはかつての名車「R5」というヘリテイジがあり、空冷フラットツインも100年近い歳月の中で数々のエピソードを残してきた歴史がある。そう考えると、“ハーレーの真似”ではない独自の路線でユーザーを魅了する可能性は十分あるだろう。つまり、ハーレーではない巨大クルーザーに乗りたい人たちだ。あとはBMWというブランドやビッグ・ボクサーが好きかどうかにかかってくるだろう。

ライポジ&足着き性

ロー&ロングなシルエットだが、ライポジは意外にもコンパクト。上体はほぼ垂直で腕は水平方向に延びヒザは直角に曲がった自然な姿勢がとれる。エンジンレイアウトの関係で、ステップ位置はミッドコントロールになる。
シート高は690mmと低く足着きはとても良い。車重は345kgあるがフラットツインならではの低重心と相まって取り回しもしやすい。ライダー身長179cm。

BMW R18 ディテール解説

空冷(BMWでは空/液冷と表示)4ストローク水平対向2 気筒OHV4バルブ1802ccエンジンはBMWでは「ビッグ・ボクサー」と命名。ボア×ストロークは107.1mm×100mmでほぼスクエアな設定。 最高出力は91ps(67kw)/4750rpmと平凡だが、特筆すべきは158Nm/3000rpmのビッグトルクだ。
タイヤはBSのバトルクルーズでサイズは前120/70-19、後180/65-16。ブレーキはφ300mmディスク&4ピストンキャリパーの組み合わせで前がダブルで後はシングルの設定。サスペンションは前がテレスコピックで後がカンチレバー(直押し)でストローク量は前120mm/後90mmとなっている。
メッキ加工が美しいクラシカルな露出型ドライブシャフト。リジッドフレームに見える鋼管スイングアームや、リヤアクスル部分も往年のR5同様の密閉型とするなどディテールにもとことんこだわっている。フィッシュテールと呼ばれるマフラーの造形も手が込んでいる。
メッキリムが美しいクラシカルな雰囲気のヘッドライトだが実は現代的なLEDタイプ。オプションでバンク角に応じてコーナーの先を明るく照らすアダプティブ・ターニン グ・ライトも装備できる。
太さの異なる2本の手書きホワイト・ピンストライプはファーストエディションだけの仕様。伝統的なペアドロップ(洋梨)型タンクにはビス留めのメタルエンブレムが光る。
高級感があって座り心地の良いシート。フローティングタイプのクラシカルなソロシートやタンデムシートなどの純正オプションの他、米国 Mustang Seatとのコラボによるカスタムシートも用意される。
車体左右に大きく突き出したシリンダーがBMWビッグ・ボクサーの証。周囲の景色が映り込むほどに磨かれたクロームメッキパーツが多く使われているのもファーストエディションならでは。
ハンドルバーやブレーキ&クラッチのリザーバータンクまで美しくメッキされている。メインスイッチの他、メニュー、モード切り換え、グリップヒーターなどのスイッチ類をコンパクトに配置。
急なシフトダウンでの跳ねを抑制する自己強化型アンチ・ホッピング・クラッチ装備の6速ミッションを採用。車体左側面にリバースアシスト用のセレクトレバーを装備。「R」に入れると後退用ギヤにシフトされ、スタータースイッチを押すことで後進できる仕組み。
アナログ式スピードメーターの内側に一体型インジケーターを装備したクラシカルでモダンなメーター。コンパクトなディスプレイにギヤポジションや走行モードの他、一体型オンボードコンピュータの各種データを表示。「BERLIN BUILT(ベルリン製)」の刻印が超クールだ。
他の最新BMW同様、キーレス・ライドを採用。身に付けておくだけで遠隔操作でエンジン始動のメインスイッチ起動、ステアリングロックとフューエルタンクのフィラーキャップのロック&解除などが可能だ。

佐川健太郎(ケニー佐川)

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。

おすすめのバックナンバー

バイク|令和元年(2019年)のトピックおさらい!

バイク|令和元年(2019年)のトピックおさらい! 一覧へ

解決します! 交通ルールの素朴なギモン

解決します! 交通ルールの素朴なギモン 一覧へ

3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説

3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説 一覧へ