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これが最後!? ルノー・ルーテシアR.S.最終限定車「ファイナルエディション」を振り返る

  • 2020/05/05
  • 大音安弘
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フレンチ・ホットハッチであるルノー・ルーテシアR.S.トロフィ‐ ファイナルエディション。これが最後の限定車となる

愛すべきルノーのホットハッチ、「ルーテシアR.S.」のフィナーレを飾る記念モデル「ファイナルエディション」。現行型R.S.の最後の限定車なのだが、じつは、ルーテシアにとって最後のR.S.となる可能性も高いのだ。慣熟のR.S.のインプレと共に、ルーテシアの今をお届けしたい。

これで最後かもしれない理由

 ルノーは、2019年の東京モーターショーで、次期型となる新型ルーテシアを参考出品し、ファンから注目を集めたことは記憶に新しい。

 欧州では、すでに現行型の生産は、標準車を含めて終了しており、新型へとシフトしているが、現時点で、スポーティグレードは「RSライン」と呼ばれるもののみ。これは現行型の「GTライン」に相当し、パワートレーンも標準車と同等。もちろん、サーキット指向のモデルではない。

 まだ登場から間もない新型車だからと、楽観的に捉えたいところだが、今なお、新型R.S.開発の声は届いてこない。それは欧州の新排ガス規制の影響があるからだ。

 2020年導入予定の新規制では、各メーカーごとに、厳しいCO2排出基準が定められており、全体で基準を達成できなかった場合、高額な罰金が科される。各社共に、前向きなコメントを発信しているが、かなり厳しい状況に置かれているといわれる。そのため、罰金を価格に転嫁できない廉価なモデルは、存在自体が厳しいのが現実なのだ。

 このため、残念なことに、身近なスポーツモデルのリストラが断行されている。ルーテシアも、その対象になってしまったというわけだ。

この都会にもなじむ、フレンチホットハッチが消え去ることとなれば、非常に残念なことだ

フィナーレを飾るファイナルエディション

 現行型のルーテシアR.S.の歴史を振り返ると、2013年10月に導入を開始。シャシーセッティングの異なる「シャシー・スポール」と「シャシー・カップ」の2グレードを設定。最高出力200ps、最大トルク240Nmを発揮する1.6Lターボの搭載し、戦闘力を向上。さらにイージードライブとタイムアップを両立させる6速DCTも話題となった。

 2015年9月には、最上級グレード「トロフィー」を設定。ターボの大型化や新設計のエキゾーストエンドなどのトータルチューニングを施すことで、エンジン出力は20psアップの220ps、最大トルクも20Nmアップの260Nmへとセイン王を向上。足回りも専用セッティングが奢られた。

 2017年7月には、マイナーチェンジを実施。エクステリアのリフレッシュが中心であったが、一度に複数段のシフトダウンを可能とした「マルチシフトダウン」機能を追加するなど、熟成も進められた。このマイナーチェンジモデルが、基本的には最終仕様となった。

ファイナルエディションは、最上級仕様のトロフィーがベース。但し、性能面での違いはない

 ファイナルエディションは、最上級仕様となる「トロフィー」に専用仕様を施したものだ。
 ボディカラーは、1タイプのみで、標準色の「ブラン グラシエ(白)」を採用。ブラックのエンブレムとシャークアンテナを装備。車内には、限定車を示すシリアルプレートが装備される。違いは、ごくわずかなため、価格も据置で、限定数は50台のみであった。

ブラック化されたフロントグリルのルノーとR.S.のエンブレム
テールゲートのエンブレムもブラック化

 特別装備は、かなり限定的だ。しかし、そもそもR.S.モデルには、必要な装備が、しっかりと押さえられている。強いて上げるなら、タッチスクリーンが、Apple CarPlayやandroid Autoに非対応なこと。この点は致し方ないことだが、ナビのことを除けば、装備面で不足を感じることはない。

 特に走行面では、R.S.の看板を背負うだけあり、充分以上のものを備える。それでいて、コンパクトなボディのオートマ車でもあることから、ファミリーカーという仮面(?)をかぶることもできるという強みもある。

ラストランで感じたこと

 最後の試乗の舞台となったのは、都心。ビル群の間や繁華街などを、ふらりと流す。低音を強調したエキゾーストノートや少し硬めの脚周りなど、スポーツモデルであることを感じさせるが、街中での乗り味は、わりと快適だ。よりクイックとなるトロフィーのステアリングも効果的に作用し、狭い路地もスイスイと駆け抜ける。ヘッドライトもLEDなので、視界性能も優れる。遠目で見る人からは、単なるコンパクトカーにしか映らないだろう。しかし、ステージが異なれば、ルーテシアR,S.は、その皮を脱ぎ去る。

オレンジをアクセントとしたインテリア。過度な演出がないため、普段使いにも最適

 まるで峠道のようにアップダウンが激しい首都高は、ルーテシアR.S.を楽しむには絶好のステージだ。しかし、何も飛ばす必要はない。首都高にある環状線に設けられた地下トンネルや傾斜のきついループでも、手頃なパワーを持つルーテシアR.S.の素顔を垣間見ることが出来るからだ。
 
 その機敏な動きを活かし、この複雑な道を、如何にスムーズに走らせるか。そのシチュエーションを楽しむのだ。これがメガーヌR.S.だとパワーがありすぎ、楽しさは薄れてしまう。街中でもスポーティさを感じるのは、ルーテシアR.S.が丁度良い塩梅なのだ。またメガーヌと異なるややアナログさの残る味付けも、個人的に好ましい。

 もちろん、サーキットへ持ち出せば、ルノー・スポールの絶妙な味付けを堪能することが出来る。これほどの欲張りを実現してくれたのが、ルーテシアR.S.だったのだ。それだけに、製造終了と後続モデルが未定であることが惜しまれる。

スポーツシートは、ファブリック。そのソフトな感触も、乗り心地の良さの秘密だ
ルノー・スポールの開発ドライバー「ロラン・ウルゴン」のサイン入りシリアルプレート。

 すでに限定車は、完売したようで、カタログモデルについても、メーカー在庫は皆無の様子だ。残すは、ディーラー在庫のみとなる。まさに最終購入のタイミングなのだ。

 それでも、今後、プレミアがつくことはないだろう。しかし、欧州ホットハッチが縮小されていく今、最後に状態の良いクルマを手にして楽しむのは、悪い選択ではないと思う。興味がある人は、この機会に検討してみてはいかがだろうか。

電子デバイスも採用するが、その味付けには、アナログ的なナチュラルさが残されている

ルノー・ルーテシアR.S.
全長×全幅×全高:4105mm×1750×1435mm
ホイールベース:2600mm
車両重量:1290kg
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
排気量:1618cc
ボア×ストローク:79.7×81.1mm
最高出力:220ps(162kW)/6050rpm
最大トルク:260Nm/2000rpm
燃料タンク容量:45ℓ
トランスミッション:6速DCT
駆動方式(エンジン・駆動輪):FF
サスペンション形式:Ⓕマクファーソン式 Ⓡトレーリングアーム
ブレーキ:Ⓕベンチレーテッドディスク Ⓡディスク
乗車定員:5名
タイヤサイズ:205/40R18
車両価格:340万2000円

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