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『これが新しいスタンダード』マツダCX-30開発主査に訊く「CX-30の狙いは?」「世界ではどう受け入れられている?」「MX-30との関係は?」(前編)

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インタビューは、透明なアクリル板越しに行なわれた。


M F:ヨーロッパはいかがですか?

佐賀:欧州は、ドイツを中心に賞もいただいていますし、非常に好調な滑り出しだと思っています。想定外によかったところというと、じつは南欧なんですよ。じつはフランス、イタリアは計画以上に売れています。我々マツダはドイツに拠点があることもあって、これまで南欧はどちらかというと、それほど強い地域ではなかったのですが、そこでも受け入れられたのはもしかしたらインパネとか色使いにこだわったのが、功を奏したのかな、と思っています。南欧は、ちょっと小さいサイズのクルマが多いので、その意味でもよかったのかなと思っています。



M F:このCX-30がいるカテゴリーって新しいカテゴリーですが、世界的に見ても最激戦区じゃないですか?

佐賀:皆さんに激戦区っていっぱい書かれていますね。

M F:トヨタC-HRはいるはホンダ・ヴェゼルはいるは、ヨーロッパ勢も全部そこへ入ってくる激戦区。先ほどの販売台数でいうとCX-30はCH-R、ヴェゼルよりちょっと下。販売店の数からすればすごく大健闘なんだと思います。CX-30は、ユーザーのライフスタイルが変わって、「SUVを買う」というよりは、昔クーペちょっとかっこいいを買っていた人たちが選んでいるんだろうな、と思います。そうすると、先ほど佐賀さんがやってよかったとおっしゃったAWDであることが、そんなに求められないカテゴリーだと思います。でもマツダはAWDもすごくこだわりがある。さきほどAWD比率も結構高いとおっしゃっていました。佐賀さんは、今後、このCセグクロスオーバーのカテゴリーは、ライバルも含めてどんなふうになっていくとお考えですか?

佐賀:それは、私も日々考えているところですね。まずライバルの参入がこれだけ多いということは、私は当然だと思っています。開発中も、今後どんどん出てくるよとみんなに言ってきました。じつは、いまだから言えることですが、企画書を上げる段階で、ですね。だいたいマツダの主査って志を書くんですよ。志が強い会社なので。

M F:どんな企画書を書かれたのですか?

佐賀:私は『5ドアHBを超えるスタンダードを作りたい』って書いたんです。SUVってカテゴライズするのは簡単ですが、私はいまのジャンルにこだわらない若いかたが、SUVと認知して買っている人がどのくらいいるだろうっていうところにすごく興味があるんです。クルマが普通に進化していくとクロスオーバーSUVのようなカタチになると思っていますだからこそ、各社、可能性があると思って参入してくるんだと思います。またこれが面白いところで、各社、ちょっとずつサイズが違ったり……。これ、5ドアHBの創世記もそうだったんじゃないかなと思います。そうすると、各メーカーがなにが正解なんだろうと、考えていま開発しているはずです。


国内の駆動方式比率は、AWDが28%、FFが72%となっている(2019年10月発売~2020年6月までの累計販売台数ベース)。
北米ではAWDのほうが多いという結果。マツダのAWDヘの評価が高いことが窺える(USA、2019年11月発表・12月発売~2020年3月まで)。
欧州のAWD比率は9%と日米と比べると少ない(ドイツ、2019年9月発売~2020年3月)。


佐賀:そんな状況の下でやはり我々はマツダらしいひとつ筋をもっていなくてはいけない。そうすると、運動性能はどんなに間口が広がっても、ひとつ担保しなくてはいけない。僕は、そのときのソリューションがたまたま、AWDだったと思うんです。AWDの一番のメリットは通常の走行でどれだけ安心して走れるか、にあると思っています。目に見えてはいないけれど、4輪を駆動することで運転がスムーズになったり、助けられている場面は必ずあります。ちょっと雨が降ったりだとか、ちょっとワインディングが続いたりだとか。もしくは高速の入り口でちょっとコーナーを曲がりながら加速するところもAWDならではのトルクの出方で非常にスムーズに走れる。AWDを買っていれば、安心して走れるよっていうのがあれば、それはそれでいいな。なぜかわからないけれど自然に気持ちよく走れる、そういう価値に繋がればいいかなと思っているんですね。ですから、AWDにこだわっているわけではないんですが、いまの時点ではちょっとでも安心感を担保しようと思ったら、AWDがベストだと思っているとと考えていただければといい思います。



M F:たとえばいまMAZDA3よりもCX-30が売れているし、スバルもインプレッサよりもXV、ルノー・クリオよりキャプチャーとみんなそうなってきているじゃないですか。クルマの作り方としてはベースになる5ドアHBにスペーサーを噛ませてちょっと車高を上げてクロスオーバー出来上がり! みたいな作り方をしているメーカーもあります。しかし、マツダのようにMAZDA3が同じプラットフォームであるのでしょうが、ホイールベースも変えて、まったく別のクルマとして開発していくくらいでないと、これから激戦区で戦っていけないんじゃないかと思います。ちょっと背を高くしたら売れますという時代はもうとっくに終わってしまった感じがします。そういう意味でCX-30はとてもいいクルマだと思います。手抜きなしというか……。

佐賀:そこですね。やっぱり新しいカテゴリーに参入するなかで、これが新しいスタンダードになるんだと考えたときに、我々としてベストを尽くした姿をお見せしておかないといけないかな、とは考えました。たとえば、MAZDA3のファストバックの車高を上げてちょっとクラッディングをつけたとしたら、それが受け入れられたか? 僕は『NO』だと思っています。やっぱり『新しいスタンダード』というからには、ちゃんとしたサイズとか、パッケージがあるわけで、それを具現化しないと、正直言って見透かされるじゃないかな、と思いました。とくに、我々みたいな小さいメーカーがやろうとしたら、やはり『よそと違うマツダらしさ』をなにで表現するか。よそがやっていないことをしっかり真摯にやらないと、これからは、勝負が厳しい時代になると思います。


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