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自動車生産台数世界一!あのソアラやカリブ、マーチが登場|1981年第24回・東京モーターショー 後編【東京モーターショーに見るカーデザインの軌跡】

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話題の多かった1981年の東京モーターショー。前回まで、いすゞ・ピアッツァ、ホンダ・シティなどを含め、今回で3回に渡ってしまったのは、まだ目の離せない車が多いためだ。同年にこれだけ話題をさらったということもご理解いただければ幸いだ。今回は後篇として、その後のカートレンドを左右した車を紹介しよう。

センセーショナルな登場を果たしたトヨタ・ソアラ ポイントは「絶対的存在感」

いよいよ1981年の東京モーターショーも最終回。ニッポンは様々なニーズに応えたクルマを生産し隙間のない車種展開で自動車の世界市場を席捲してしまった。前年にはアメリカを追い抜き自動車生産台数世界一になってしまったのである。

特に北米で売れていた日本車の多くが大衆車クラスであり、前回のまめ知識でも触れた自主規制での収益ダウンを挽回するには高付加価値の高級車が求められていた。そんな時期に登場したのがソアラであった。前年にEX-8として大阪国際自動車ショーに参考出品したモデルが1981年2月に発売、東京モーターショーで堂々の展示となった。

ケンメリのスカイラインに始まったスポーティ&ラグジュアリーのカテゴリーもメディアがハイソカーに含むようになり、前年には日産レパードが登場し注目を集めた。そして6気筒2800㏄170ps、ヨーロッパ車に引けを取らない高性能車がトヨタから発売になったのだから、それはもう見物人が押し寄せるのは当然であった。

世間ではターボエンジンの登場で、最高出力145psに沸いていた頃、DOHCエンジンのノンターボで170psというパワーを発揮。3ナンバーでこんなの出しちゃっていいの? という驚きの声も多かった。

デザインはどうか? 東京では時々見かけていたが、正直ショーの会場でじっくり見ても私には良さがよくわからなかったのだ。箱型セダンを低くしてロングノーズの2ドアにしただけ? というのが第一印象。
豪華なインテリアと便利な装備にお金が掛かっていて馬力も凄い、高額な車両価格にも驚いた。
そこで、親しかったトヨタのデザイナーに後日詳しく聞いたのである。彼はわかりやすく「トヨタは顧客が求めるカッコよさをデザインしにゃあかん。買いたくなる車を創らなくては競争に勝てないんよ」と言った。
トヨタがニッポンのトップ企業であり続ける理由が解った。若手デザイナーまでもが売る覚悟をもって仕事をしているからなのである。

じっくり見るとデザインにはいくつかの特徴が存在する。第一は、ソアラはスマートさやスピード感などとは違う次元のデザイン“絶対的存在感”をカタチに表現しようとチャレンジしていることだ。
低いボディに大きなグラスエリア、フロントガラスやドアガラス、クォーターウインドウのすべてが大きい。そのためドライバーや同乗者が外からゆったりと優雅に見える。
そういえば当時、帝国ホテルのエントランスに乗り付けるのが似合うクルマだな、と思った記憶がある。

モーターファン誌によるテストドライブのワンカット。前年登場のレパートのデザインとは対極的で、発表当初は保守的との意見も少なくなかった。
こちらが前年に発表された初代日産レパード。2ドアと4ドア、さらに発表当初のエンジンは1.8リットル、2.0リットル、そして2.8リットルと超ワイドバリエーション。発表当初は大好評だったが、ソアラ登場後はトップエンドでも最高出力は145psであったこともあり、スペシャルティ感を欠いた印象もあった。

適度に角の丸い四角いフォルムは実にシンプルで、前後を貫くサイドラインが低く長いシルエットを強調している。このシンプルさが存在感に繋がっているのではないだろうか。
そしてフロントグリルの“特別”の証であるグリフィン(古代神話のライオン)のエムブレムは、ハイソカーの頂点であるという“絶対的存在感”のアピールなのだ。
そして、ある共通点に気が付いた。それはあの豊臣秀吉も日本一目立つ千成瓢箪(せんなりびょうたん)を掲げ絶対的存在感を表明していたことである。天下を取るには、こうした事の重要性をトヨタはしっかりと認識し伝統として受け継いでいるのではないだろうか。

遊びのためのクルマ=本格レクリエーショナル・ビークルの登場

トヨタRV-5。後に登場する市販モデルよりも大胆なボディワークが印象的。特に荷室まわりの圧倒的なウインドウの大きさが印象的。

次はスプリンター・カリブの参考出品車RV-5だ。
プラットフォームはカローラ系より少し大きいターセル・コルサ系を使い全車種が4輪駆動という、その後のRVブームの火付け役となった記念すべきパイオニアであった。

特徴的なのがそのスタイルだ。セダンと変わらない背の低いワゴンのルーフを思い切りかさ上げし、自転車からキャンプ用品、サーフボードなど何でも積めそうで荒れ地もOKという“可能性の付加価値”が行動的な若者を虜にした。ライフスタイルをアピールした本格的なリクリエーショナル・ビークルの登場なのであった。

エクステリアデザインも機能的で、四角く素っ気ないほどシンプルな造形はインパクトがあった。特にフロントグリルのデザインは個性があり、バンパーに平行な長方形をブラックアウトしたアイデアは新鮮でカッコよかった。

こちらは市販モデルのスプリンターカリブ。

上級セダンのFF化に踏み出しカムリを大変身させる

トヨタF110は、第22回の東京モーターショーでは完全なコンセプトカーとして発表され、第24回で量産モデルの予告として登場。

量産モデルとなった2代目カムリ、4ドアと5ドアをラインナップ。初代はFRベースのスポーツセダンだったが、大きな転換を果たした。
次に取り上げたいのもトヨタの参考出品車FX—11だ。
アッパークラスのFF(フロントエンジン、フロントドライブ)化に慎重だったトヨタも、セリカの上のクラスにFFで打って出た新時代上級車である。
前後をあまり絞らず、大きさをアピールした高級感のある5ドア車で、すっきりとしたバランスの良いデザインが美しかった。82年にビスタ/カムリとして発売になっている。
ところで、トヨタは今回の参考出品車全てを2トーン塗装にしたことが面白い。これ以降量産車のグレードの高いモデルに2トーン塗装が多く取り入れられている。ボディーカラーまできちんと予告していたのだ。

車名を公募し「マーチ」に すっきり系の新型コンパクト

後にマーチと命名される日産NX-018。コンパクトな1リットルエンジンモデルながら、上質な仕立ても人気となった。

日産マーチもこの年に参考出品車 NX-018として発表されていた。リーズナブルな価格と堅実なつくりでヒットし、その後カローラに迫る勢いで売れた。
デザインに特徴が無いのが売れる秘訣? などと悪口を言ったことを覚えているが、原稿を書くにあたっていま写真を見ているのだが、ジウジアーロデザインと言われているものの、正直「開発車種が多すぎて、デザインに時間をかけてないなー」というのが感想である。数年以上前に登場しているルノー5や前回紹介のシティと見比べると、写真からはずっと以前に発表されているように感じるのだ。

もちろんいまの日産車は世界のどこへ出しても恥ずかしくないデザインだが世界一の生産台数を達成したという事は、めちゃくちゃな開発ラッシュに日本のカーデザイナー達が耐えたということでもある。
同じころ私も三菱FUSOで、ウィークデーのみの残業が月130時間越えというのが1年以上続いた。運よく過労死を免れたのは、仕事に「やりがい」を感じていたからにちがいない。日々充実していた。だが家族には迷惑がかかった。悪いお父さんだったといまは大いに反省している。

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