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今わかった! 汚れていてもメッセージ性を持つ、マツダのアンフィニRX-7は有機的な生命体を表現 第29回・東京モーターショー 1/4話 【東京モーターショーに見るカーデザインの軌跡】

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入場者数が201万人を超え史上最高の盛り上がりを見せた1991年第29回東京モーターショーを、ついに取り上げる時が来た。前回の流れからすると、バブル期最後の東京モーターショーをご紹介した方が良いという話でアーカイブ編集担当者と私の意見がピッタリ一致したのである。東京モーターショーの歴史上最も内容が濃く、また私にとっても手掛けたクルマが一度に3台も展示されるという、忘れることのできない第29回東京モーターショーであった。

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美しさを極めた3代目となるアンフィニRX-7。当時は、あまりに曲面だけで構成されるボディなので、オービスに捉えられないのでは、といったデマまで出たほどだった。

前回の1989年と比べスタイリングトレンドに大きな変化がみられた点も特筆すべきである。
それまでのデザインではクルマの前面、側面、上面が比較的はっきりした面構成だったが例えばアンフィニRX—7や日産Jフェリーのように上面と側面の境目が大きくカーブしていて良くわからない造形が多数現れた。クルマのデザインが大きく変わったのである。

その有機的な滑らかボディデザインのパイオニア、マツダ・アンフィニRX—7から解説していこう。
私がマツダに移籍した時、前回取り上げた新型コスモとともにRX—7もスタジオの定盤(3次元測定器で原寸大モデルを計測するための鋼鉄製床)にセットされ、クレイモデルは造形作業の真っ最中であった。
デザイナーが作成したテープドローという原寸大の図面を基に、荒く盛られたクレイに正確な基準点を設ける。そして暖められたクレイを厚めに塗り付け、冷えるのを待ってスチール(様々なカーブに合わせ手作りしたハガネの薄板)で一気にそぎ落としていくのである。そのスピードと力強い迫力に私はカルチャーショックを受けた。

タイトなインテリアも、大きな注目となった。

前の会社の三菱自動車は、ゲージを多数作って出来るだけテープドローの通りに丹念に作業していくのだが、そこが大きく異なっていた。マツダは訓練によりミケランジェロ的な優れた立体感覚を身に着けたモデラ―が、デザイナーとしっかり話し合いカタチを理解したうえで基準のポイントをキープしながら感覚を頼りに、ボリュームのピーク位置(テンション)を意識しながら自由創生的にクレイ作業を進めてゆく。したがって思ったような美しい面が出来ない場合はすぐにやり直す。まさに気合でクレイを削ってゆく感じなのである。

初期案。かなりコスモスポーツをオマージュとしていることもわかる。そのまま出てきてほしかったモデルも……(出典:カースタリング&新型RX-7のすべて第115弾 以下同様)

基本的にトライ&エラーの体力勝負、出来るモデラ―はみな男子体操の選手みたいに良い体をしていて、空き時間には筋トレをする者も何人かいた。
15分ほど集中したクレイ作業をこなし、5~6分間休憩している間にデザイナーはドローイングテープで素早く修正指示を出す。その繰り返しで約1時間にわたる緊張のコラボがリズミカルに繰り返されるのである。
この1セッションでモデラ―は汗だくとなり、15分程度の休息が必要だ。また定盤は鋼鉄製のため汗は禁物、隙を見て見習いモデラ―は素早くモップで拭きとるのである。当然ながらうまく休憩を取るのもチーフデザイナーの力量で、ここ一番乗っているときは一気に仕上げてしまうこともあった。
こうした毎日繰り返されるデザイナーとモデラ―の“造形上の勝負”が、マツダをある時期デザイン世界一に導いたのではないだろうか。

大福餅!? から磨き上げられた現代彫刻

中間の5分の1スケールモデル(上4点)。そして下2点の1分の1モデルに。右が採用案ながら、左の要素も織り込んで量産モデルへ。

話がそれてしまったが、記念すべき新しいスタイリングを確立したアンフィニRX—7の開発の傍で一部始終をじっくり観察できた私にとって 、凄いデザインがどのように生まれたかを知っていただくにはこんなチャンスはまたとないと思い書かせていただいた。
早速本題に戻ろう。

とにかく難しい造形テーマであった。1988年頃、磨かれていないクレイモデルを大福餅と悪口を言ったデザイン幹部もいたほどで、それが最終承認の下りる1989年末ごろにはデザイン部全員が息をのむ美しさに仕上がった。
商品本部や設計関係者への最後のお披露目の日、冬を迎えた広島は爽やかな薄曇りであった。日が傾きだしモデル検討には絶好の日差しで、屋上検討場のターンテーブル上でダイノックフィルム(シルバー色などの薄い塗膜を水でクレイに転写するフィルム)が貼られたクレイモデルは緩やかに回転し、見る位置によって光と影がドラマチックに変化して、まるで生き物のような躍動感があった。

いまさら細部のデザインを褒める必要はないが、一つだけ言いたい箇所がある。それはテールランプである。オリジナルである最終クレイモデルのリヤ回りは、これぞ有機体造形の極致といっても過言ではないくらい見事な造形をしていた。緊張と緩和による曲面のハイライトの変化が極上で、まさに現代彫刻のように見えたのであった。

その最大の見せ場がテールランプで、ボディにぴったり合ったカタチの左右のランプがつながっているデザインであったが、量産車になるとその細かった部分がかなり太くなり、それに合わせて微妙なニュアンスや緊張感が失われてしまった。これはオリジナルを知る者にとって大いに残念なことであった。

日産レパードJ.フェリー 稜線も角もない優雅なカタチ

リヤを大きく下げた独特の形で登場したレパードJ.フェリー。その悠然たるスタイルは、これまでになかったテイスト。

次に是非ご紹介したいのは偶然にもこの時期、アンフィニRX—7と同じように従来のカースタイリングには見られない丸さを基本造形にした日産レパードJ.フェリーである。
稜線や角がほとんど無い丸さを強調したデザインで、たっぷりとした全長とリヤ後端を低くし優雅さを強調したスタイリングは斬新であった。
また真珠のような奥深い輝きを持つ特殊な塗装は、ゆったりとしたシンプルなボディ表面と極めて相性が良く、ステージ上のJ.フェリーは美しかった

デザインを手掛けたのはアメリカのデザインスタジオNDI(ニッサン・デザイン・インターナショナル)で、チーフデザイナーはトム・センペル氏である。やはりなにがしかのインスピレーションを受け、優雅な丸いデザインに目覚めてしまったのではないだろうか。

これまでの初代EXAや初代テラノとは大きく異なるNDIの作品。このモデルで新たな表現にトライした。
NDIの初期スケッチ。ダグ・ウイルソン氏(上2点)、トム・センペル氏(下)が手がけたもの。テーマはバランスド・アーチ。RX-7の求めた有機的な存在案ではなく、弧のテンションによるバランスを意識したどちらかというと建築的な造形だ。

しかし、アンフィニRX—7も基本的に角が丸いという点は同じだが、表現の目的がまったく異なっていたのである。アンフィニRX—7が有機的な生命体の表現、さらに目指したのが動物的躍動感なのに対し、原稿を書くにあたり改めて当時の記憶と写真を見比べると、J.フェリーはあくまでスチール製の無機質な綺麗な丸みを表現しているのにとどまっているように思えるのである。

数年後に街中で洗車を怠っているニッサン・Jフェリーと、やはり汚れたアンフィニRX—7を見かけたとき気付いたことがあった。チータやライオンは泥んこでも躍動的で、むしろ迫力が増す。つまりRX —7はやはり生命体的な造形なため、たとえ汚れていても見え方の落差が少ないのではないかと私は妄想したのであった。

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