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日産スカイラインGT-R(R34)1992-2002 最後の反骨精神 【週刊モーターファン・アーカイブ】

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第2回日本グランプリ(1964)でトップを走るポルシェ904を一度とはいえパスして1番手を走って以来、セダンでもスポーツカーを凌ぐ性能を得られる という夢を実現してきたのがスカイラインGT、そしてGT-R。現在では日産GT-Rという専用ボディとなったため、セダンボディをリファインしての登場はなくなってしまった。ファンならずとも、面白くもあり、ちょっと面白くもない話でもある。

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

レポート=工藤貴宏(90年代国産車のすべて より 2011年刊)

GT-Rを初代(ケンメリ)とハコスカを第1世代、R32からR34を第2世代、そしてR35は第3世代と分類することがある。しかし、GT-Rの定義を「セダン派生たるスカイラインに、高出力エンジンを詰め込んだ超高性能仕様」とするならば、このR34型スカイラインGT-Rは最後のGT-Rとなるだろう。

スカイラインGT-Rの GT-Rらしさは、普通のセダン(クーペ)から派生して圧倒的な性能を得ること。つまり「セダンでスポーツカーを凌駕すること」を意味する。それは日本グランプリでポルシェ904をパスした時からのアイデンティティだ。

R34GT-Rは、デビューした当初から最強だった。先々代のR32から使われてきたRB26DETTエンジンと4WDシステムのアテーサE-TSは熟成が進んでネガティブな要素はすっかり払拭されており、エンジンは出力こそ280psのままだったが最大トルクが40.0kgmまで引き上げられて加速性能はさらに向上。それを先代R33よりも小さなボディに詰め込んでいたのだから、とびきりの速さだった。

インパネまわりはハイパフオーマンスに見合う存在感が不足気味。それは一般的なセダン派生ゆえ。しかしスカイラインを愛せばこそのGT-Rであることを考えるとそれもまた魅力。ステアリング、 シフトレバー、専用モニターがGT-R の証。シフトレバーのリバースは下のロックリリースを引き上げながら操作する。

R34GT-Rを印象付けるもうひとつの特徴は空力への挑戦だ。高性能仕様の「Vスペック」は車体の裏側にカーボン製のカウル&ディフューザーを装備する。先端と後端を覆ってボディ下面に流れる空気を整え、ダウンフォースを生むことが狙い。旋回性能や動力性能だけではなく超高速域の安定性までしっかりと踏み込んだことが、それまでのGT-Rに対するR34の進化である。

専用設計のフロントシートはハイバック式のバケットシート。 軽量で高剛性が追求されているが、ショルダ一部分のホールド性にまで配慮している。シート後方にあるのはサイドエアバッグで、ドア内にビルトインさせる以前の設計であったための措置。

R32で幕を開けた第2世代GT-Rのスタートは第1世代同様にレースを前提としたものだった。R32ではグループAというカテゴリーが中心だったこともあり、レーシングカー市販車のスタイルとメカニズムが見事にオーバーラップしていた。しかし、R34の時代になるとレースカテゴリーが改造範囲の広いスーパーGTに発展していたことで、競技車両との結びつきはうすいものになった。

リヤのディフューザーはカーボン製。リヤに向けて排出を促進し、下面の流速を高めてリフトを抑える。フロントから路面との隙間を狭く一定にすることで効果が得られるために、これまでは市販車的には技術的難しさもあってあまり利用されていなかった。
90年代当時からレーシングカーにとって、 クルマの走行中の様々な情報をリアルタイムにモニタリングするのは必須。 それらを可視化できるようにしたのがこのマルチファンクション・ディスプレイ。情報をただ表示するだけでなく、時系列を追ってその変化をグラフなどで確認することも可能。

そんなR34GT-Rであるが、今でもその存在感は決して低くない。それは、熟成が進んで完成度が高かったこともあるが、セダン系ボディをモディファイして走りに特化させるという独特な開発が、洗練とはまた違うカタチを生んでいることもあるだろう。しかし、「スカイラインの名の付く最後のGT-R」という歴史上の理由も、R34GT-Rを印象付ける非常に大きな事柄ではないだろうか。

RB36DETTは主にターボチャージャーとバルブタイミングを改善。タービン軸受をフローティングメタルからボール式に改め、最大過給圧も620mmHgから685mmHgにアップ。

R34GT-Rは1万1344台を市場に送り出し、2002年8月までに生産が終了した。そして、5年のブランクを経て2007年末にR35 GT-Rにバトンタッチしたのはご存知の通りだ。

しかし、スカイラインのボディに強靭な直6エンジンを搭載するというスカイラインGT-Rの血統は、R35には受け継がれていない。R35が目指したステージは世界である。

専用キーは、持っているだけで気持ちを高揚させる。GT-Rのエンブレムはその魔力に溢れる。
ブレーキはブレンボ製。フロントは対向4ピストン、ローターは324mm径のベンチレーテッド 式。また摩擦係数が20%高いユーリッド社(独)製を採用して制動性能を高めた。

そう、GT-Rが日本向けのモデルとしてスカイラインをベースとした”メーカー純正チューニングカー”だった時代は、R34で終わってしまった。日本を見て伝統を守り通したR34は、最後のサムライGT-Rといえるのかもしれない。

第240弾 新型スカイラインGT-Rのすぺて (1999年1月発売)

SPECIFICATION GT-R(GT-RV.スベック)

[発表] 1999年1月
[価格] 499.8万円(599.8万円Vスペック)
[寸法・重量・性能]
全長×全幅×全高:4600×1785×1360mm
ホイールベース:2665mm
トレッドF/R:1480/1490mm
車両重量:1760(1780)
10モード燃費:8.1km/ ℓ
[エンジン]
型式:RB26DETT
種類:直列6気筒DOHCツインターボ
ボア×ストローク:86.0×73.7mm
排気量:2568cc
圧縮比:8.5
最高出力:280ps/6800rpm
最大トルク:40.0kgm/ 4400rpm
燃料噴射装置:ECCS
燃料タンク容量:65ℓ
[走行伝違装置]
駆動:4輪・電子制御トルクスプリット式
サスペンションF:マルチリンク式
サスペンションR:マルチリンク式
ブレーキF:ベンチレーテッド・ディスク
ブレーキR:ペンチレーテッド・ディスク
タイヤF/R:245/40ZR18

R33GT-Rは1995年登場

アテーサE-TSを採用した新生スカイライン。GT-Rは89年登場のR32に始まり 、 その6年後に登場したのがR33モデル。GT-R以外あまり評判のよくなかったR32からの人気挽回を狙う。当時大型化の進むセダン市場のなかでこのR33も3ナンバー化された。それを受けGT-Rも全幅1780mm、全長4675mmとなった。ホイールベースはセダン&クーペで変わらない2720mmを継承。GT-Rも必然的にちょっとファットになった。

第158弾 新型スカイラインGT-Rのすべて(1995年1月発売)

モーターファン別冊 その他のシリーズ 90年代国産車のすべて

■10~20年前のクルマに感動しよう!
 80年代という時代は、非常に興味深いクルマがふんだんに登場し日本の自動車史に名を残すモデルが目白押しでした。そこには80年代後半にむけて興ったバブル経済の影響も少なからずありました。逆に90年代はバブル経済の崩壊が代表的なキーワードとなることもあり、あまり良い印象がありません。同様にその当時のクルマもそれほどインパクトがあった記憶がないのです。しかし、情熱だけで押してきた80年代に対して、90年代は80年代に並行して行われていた技術開発が開花した時代でもあったのです。実は「クルマはこうあったらいいな」という思いが結実したのが90年代だったのです。そして興味深いのが、これらのクルマの多くは現在でも中古車市場で販売されている点です。程度は保証の限りであはりませんが、興味を持てたら自分のクルマにしてみるのも面白いかもしれません。

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