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オフロードでの乗り心地の良さに驚く! ヤマハYPJ MT Proで野山を走る 【モーターファン 自転車部】 66万円(税込)のe-MTB ”ヤマハYPJ-MT Pro” に乗ってみた! 時速10kmのダイナミズムを堪能しよう! 

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電動アシスト自転車はかなりの普及を見せているが、それはシティサイクル(=いわゆるママチャリなど)の世界だけにとどまらない。ロードバイクやMTB(マウンテンバイク)などe-BIKEと呼ばれる、スポーツバイクにも及んでいる。そしてヤマハよりe-MTBのハイエンドモデル、YPJ-MT Proが発表された。今回はそのハイエンドモデルの試乗のチャンスを得た。ここではそのレポートを行なっていこう。 (撮影:中野孝次)

電動アシストがスポーツ系自転車にも波及!

ヤマハ発動機といえば、世界初となる電動アシスト自転車PAS(パス)を発売したメーカーでもある。PASという名前は、Power Assist Systemの略。楽するためのアシストから始まったが、さらに楽しむためのアシストを実現し、PASに対してYPJ(ワイピージェー/ Yamaha Pro Ject)というブランドを構築した。

電動アシストはこれまでシティサイクルのための技術だったが、2013年にロードバイクの初期コンセプトモデルYPJ-01が登場し、2015年にYPJ-Rとして商品化された。2016年にはYPJ-Rのコンセプトをベースにバーハンドルで扱いやすいYPJ-Cを発表。当初はロード系のバイクだったが、2018年にはYPJ系第2世代ともいえるバッテリーの大幅向上をはかり、手軽に扱えるライトモデルから、オフロードのMTBモデルのYPJ-XCなどの4車種を登場させた。

e-MTBのハイエンドモデルとして登場した、ヤマハYPJ MT Pro。オフロードバイクの技術を盛り込み、ハイエンドパーツも多く採用。価格は税込で66万円となる。
フロントにサスペンションを持つe-MTBのYPJ-XC。

YPJ-XCはフロントに120mmのストロークを持つサスペンションを採用。ドライブユニットも新しいPW-Xが採用された。特にこれまではアシストモードとして、ハイ/スタンダード/エコ/プラスエコの4段階だったものに加え、MTBとしてエクストラパワーモードを追加した。

そして今回登場したのが、XCの上をいくハイエンドモデルだ。フレームはモーターサイクルのツインチューブ技術から生まれたデュアル・ツインフレームを採用。フロントサスペンションは160mmのストロークにアップ。リヤサスも採用され、150mmのトラベル量を持つ。

サスペンションはロックショックス製。フロントは160mm、リヤは150mmのストロークを持つ。

ドライブユニットは最小、最軽量のPW-X2を採用。ペダルトルク、速度、クランク回転、傾斜角度の4つをセンシングし、ライディングコンディションを管理。ライダーの求める理想的なアシストパワーを提供するという。またアシストモードは、XCの5段階に加えてオートマチックアシストモードを追加。ライディングの状況によって、ハイ/スタンダード/エコのモードを自動で切り替えるもので、ライダーがよりライディングに集中できる設定となっている。
さらに前後ディスクブレーキは油圧式を装備するのはXCと同様だが、なんと4ピストン式を採用するという徹底ぶりだ。

最小・最軽量のドライブユニットPW-X2を採用。
ハンドル中央に液晶モニターを設置。
ブレーキは前後ともに油圧ディスクブレーキを採用するが、なんと4ピストン式。

機能美を追求した造形デザイン

バイクのように電動ユニットも含めて、機能と造形のバランスが美しい。

デザイン・コンセプトとして「機能と官能の対置」を掲げている。ツインフレームによる、繊細なフレームが印象的であることに加えて、メカニズムがシンプルに構築されている。機能的にわかりやすい造形が、機能美を表現する。バッテリーやパワーユニットもよりコンパクトなものを採用しているが、その機能を見せる造形も意識されている。3Dデータによるデザイン検討を行ないフレーム各部の断面を見直しながら、光によって表情のある面を作り上げた。そしてこのブルーは、ヤマハのレーシングカラーが採用されているが、これまでは採用されていなかったものだ。

試乗した場所は、横浜のトレイルアドベンチャー。山の斜面に造られたMTBを楽しむための専用オフロードコースだ。ここはトレイル利用料金に加え、MTB / e-MTBをレンタルすることもできる。

まず乗って気がつくのはバーハンドルのワイドさだ。XCで740mmの左右長(全幅)を持つが、こちらは790mmとさらに広い。実はこのサイズは歩道を走行できない寸法で、実質的にオフロードでの車体の保持や自在の操作に最適な寸法として設定されている。

乗り心地の良さはトラクションの高さ

左にはサドルの固定を解除するレバー。またアシストモードの切り替えスイッチも見える。
右にはリヤスプロケット11速のシフトレバー。ワイヤによりアップ/ダウンの操作をする。

そして、ハンドル中央にあるのがマルチファンクションメーター。速度と走行アシストモード、ケイデンス(回転数)、ペダリングパワー、消費カロリーなどが表示できる。さらにマイクロUSBによってスマホなどへの給電もできるという。このモニターの操作用スイッチはハンドルの左側で、左手でグリップを握りながら親指で操作するスタイルだ。

ギヤについてはフロントがシングルのチェーンリング、リヤスプロケットが11速となる。変速はハンドル右側のレバーで行なう。
左側にも似たレバーがあるのだが、これはドロッパーシートポストの調整用レバーだ。レバーを操作することで、サドルの高さ固定が外れ押し込むことで大きく下げることができる。ヒルダウンなどリヤトラクションを慎重に取りたいときなどは体重をリヤタイヤに大きくかける必要があり、そんなシーンでサドルを瞬間的に一番下まで下げるためのものだ。再度レバーを押すとサドルは戻ってくる。

実に滑りやすいコンディションで、MT Proのハイパワーぶりにも驚く。
実際に走らせてみて驚くのは、乗り心地の良さだ。荒れた路面をフロント&リャのサスペンションがうまくいなす。
速度を上げていってもその印象は変わらず、ガンガン走らせたい衝動に駆られる。
リヤサスペンションは、ペダリングによる駆動力を吸収してしまうといわれたのはもはや遠い昔の話らしく、むしろ高い推進力に貢献するという。
それどころかe-BIKEの恐ろしいところは、エクストラパワーモードではヒルクライムでは、路面によってリヤホイールがホイールスピンしてしまうほど恐ろしくパワフルだ。

特に今回の路面コンディションは、粘土質である上にウエッティな状態でもあったので、コーナーでのブレーキ操作にも神経を使うことになった。まったくの自転車好きの素人だから、その走りはお粗末なものだが、スペシャリストはリヤブレーキを常時かけながらトラクションもかけるという走り方をするのだという。
ブレーキに4ピストン式を採用したのも、そんな過酷な条件でも安定した制動を実現するためだという。

e-MTBはヒルクライムの楽しさも与えてくれた

ダウンヒルだけでない、ヒルクライムの楽しさを多くの人の提供できることが、プレイイングフィールドを広く手軽にする。

実際のところ、MTBのスポーツとしてはダウンヒルが基本だという。高地までバイクを持っていって、そこから下ってくる醍醐味に魅力があったという。そんなフィールドに、e-BIKEは手軽にヒルクライムの魅力も取り込んでしまうことに成功した。このことは、気軽に楽しめる層を拡大し、ふもとをベースとできるなどプレイスタイルを大きく変えられることともなった。
MTBというスポ魂系プラクティスに、よりカジュアルなランニングスタイルを取り込む大きな一歩となったともいえる。頂点となるのは競技への参戦となるのだろうが、現在e-BIKEにはレギュレーションがないため、競技車両としてのクラスは存在しない。
このe-BIKEでワインディングを走る爽快感や楽しさは、子供の頃に野山を自転車で駆け巡った楽しさの延長線上にある。モトクロスとは違う、自然との相性のよさもさることながら、時速10km、あるいはそれ以下の速度からのダイナミズムは、決して車やバイクでは得られない種類の快感だ。

ヤマハ発動機 PAS/JPJオフィシャルサイト

ヤマハYPJ-MT Pro プロモーションビデオ

ヤマハe-BIKEラインナップ

YPJ-R

2015年登場の最初のヤマハe-BIKEはこのロードバイク。

YPJ-C

2016年発表のオールラウンド的モデル。

YPJ-EC

YPJ-TC

YPJ-ER

YPJ-XC

2018年に発表された4モデル。パワーユニットが新しくなり、航続距離も飛躍的に伸びた。ここで初登場となったのがe-MTBのXC。

YPJ-MT Pro

今回登場したハイエンドe-MTBモデル。

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