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ランドローバー・ディフェンダー110 | 重量級だが高い身体能力を備えた、まるで体重が100kgを超えるのに100mを11秒台で走る実力の持ち主のよう

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ランドローバー・ディフェンダー110 SE 車両本体価格◎732万円

ランドローバー・ディフェンダーは全長約5m×全幅約2m×全高約2mという巨体の持ち主だ。車重も2.2トンを超える。その巨体を2.0ℓ直4ガソリンターボが動かすわけだが、動力性能は、まったく問題ない。新型ディフェンダーをジャーナリスト、世良耕太が試乗した。
TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)

ランドローバー・ディフェンダー110 SE 試乗車には、オプション201万3000円がついていた。

ジャガー・ランドローバー・ジャパンは2019年11月3日から新型ディフェンダーの先行予約を開始した。3ドアの「ディフェンダー90(ナインティ)」と5ドアの「ディフェンダー110(ワンテン)」を合わせて150台用意したが、予約開始日からわずか4日間で受注台数に達したという。これを受けて先行予約モデルの第2弾を2週間後に導入。2020年4月9日には「できるだけ早いタイミングで納車できるよう」仕様を絞り込んだ受注に切り換えた。

それでも欲しい人には行き渡っておらず、多くのバックオーダーを抱えている状態だという。状況が落ち着くには、「あと1年くらいかかるかもしれない」との声も聞く。新型ディフェンダーは大人気だ。ひと目惚れするほどにカッコイイこと、機能とクオリティを考えれば断然お買い得なのが、引く手あまたな現象を引き起こした理由だろう。

ボディカラーはパンゲアグリーン。最高速度は191km/hと発表されている。

雑誌やウェブサイトなど、二次元の世界で見た時点で新型ディフェンダーの魅力に引き込まれていた筆者ではあったが、実物はもっと良かった。試乗車(SE、メーカー希望小売価格732万円)のボディカラーはパンゲアグリーン(9.5万円のオプション)である。近寄ると、表面がざらついた仕上げが独特の質感を放っていることに気づき、思わず手の甲でなで、肌触りを確かめてしまった。

全長×全幅×全高:4945mm×1995mm×1970mm ホイールベース:3020mm(90の全長は4510mm ホイールベースが2585mm)

デカイんだけれども、とっつきにくさはない。「え〜、このクルマ動かすのぉ」と乗り手をひるませるような威圧感はない。しかし実際のところ、5メートル×2メートルである。正確に記せば、全長は4945mmで、全幅は1995mmだ。道路専有面積はほぼ10平方メートルである。部屋の広さに例えれば6帖に相当する。おまけに背が高く、全高は1970mmもある。ホイールベースは3m超え(3020mm)だ。

動かすにあたって気後れを感じないのは、「動かしたい魅力」のほうが勝るからだろう。ただし、運転席に乗り込むにあたってはちょっと戸惑う。身長184cmの筆者であっても、「はて、どうやって乗り込もうか」と考えさせるほどにフロアが高い。レンジローバーのように、ドアを開けると自動的にステップが迫り出してはこないので、自力でなんとかするしかない。股関節を柔らかくし、脚の筋力を鍛えるのが、スマートに乗り降りする最善の方法か(あちこち弱っているおじさんにとっては)。

機能的でモダンなインテリアの質感がまた高く、新型ディフェンダーに対する好感度を増大させる。視界の良さ、見切りの良さがそうさせるのだろう。5×2×2メートルの大きな乗り物を動かしているプレッシャーは感じず、リラックスした状態で、運転に臨むことができる。バックしながらの駐車も簡単。上空からの視点で車両を捉えた画像を確認しながら調整すれば、ストレスを感じずにぴたりと駐車枠に収めることができる。

タッチスクリーンでメニューを呼び出すと、路面状況に合わせて4輪駆動システムなどを最適に制御するモードの設定画面が出てきて、ディフェンダーの高いオフロード性能を感じさせる。しかし、そうでもしない限り、高い身体能力を意識することはない。ただひたすら、モダンで快適な乗り物だ。新型ディフェンダーは2019年のラグビーワールドカップ日本大会の表彰式で、横浜国際総合競技場のグラウンドに姿を現した。オンロードのディフェンダーは、スーツに着替えたラグビー選手のようにスマートで、人あたりがいい。

エンジンは2.0ℓ直列4気筒DOHCターボ。
形式:2.0ℓ直列4気筒DOHCターボ 型式:PT204 排気量:1995cc ボア×ストローク:83.0mm×92.2mm 圧縮比:10.5 最高出力:300ps(221kW)/5500rpm 最大トルク:400Nm/2000rpm 燃料供給:DI(筒内燃料直接噴射 燃料:プレミアム 燃料タンク:90ℓ

ディフェンダーは小山のように大きいだけでなく、当然のことながら重量もある。試乗したSEの車両重量は2240kgだ。11月17日に受注開始になった2021年モデルでは、110のみ3.0ℓ直6ディーゼルエンジン(最高出力300ps/最大トルク650Nm)を搭載した仕様も選択できるようになったが、ガソリンエンジンは2.0ℓ直4ターボのみの設定だ。最高出力は300ps(221kW)、最大トルクは400Nmで、数字的には充分に見える。

トランスミッションはZF製8速AT(8HP) 1速:4.714 2速:3.143 3速:2.106 4速:1.667 5速:1.285 6速:1.000 7速:0.839 8速:0.667 後退:3.295 最終減速比:4.100

しかし、「本当に大丈夫?」と心配する人は多いようで、新型ディフェンダーに対する最大の不安もそこに尽きるようだ。結論をいうと、この巨体に排気量わずか2.0ℓのエンジンで、まったく不足は感じない。発進時の出だし、まったくかったるくはない。巡航スピードに移行する際のふるまい、極めてスムーズだ。高速道路で本線に流入する際の加速、力強い。追い越し、お手の物である。

感心するのは、動力性能面でまったく不足を感じない(ZF製8速ATの制御が、またよくできている)だけでなく、静粛性が高いことだ。遮音が行き届いているのだろう。欲しいときに欲しいだけの力が湧いて出てくるが、騒々しいノイズを撒き散らすことなく、忠実に仕事をしている情報だけを伝えてくる。ただし、燃費まで求めるのは酷というもので、WLTCモード燃費は8.3km/ℓである。これより高い数字を記録したらほめてあげるくらいの寛大な心を持ちたい。

タイヤ:F255/60R20
トレッド:F1700mm/R1685mm 最小回転半径:6.1m
リヤサスペンションはインテグラルマルチリンク式 最低地上高:標準218mm(エアサスペンション)
フロントはダブルウィッシュボーン式。

先代のディフェンダーはオフロード走破性の高さをウリにする四輪駆動車としては一般的なラダーフレームシャシーを採用していたが、新型はオールアルミ製モノコックを採用する。その結果、伝統的なラダーフレーム構造の車体に対して3倍のねじり剛性を実現したという。車体が変形しにくくなったので、サスペンションはよりしっかりと仕事ができるようになった。

その恩恵か、新型ディフェンダーはステアリング操作に対して素直に動いてくれる。遅れてイライラしたり、ヒヤッとしたりすることはない。キビキビとした動きも、5×2×2メートルのサイズを感じさせない理由だ。重量級だけれども高い身体能力を備えた新型ディフェンダーは、体重が100kgを超えるのに100mを11秒台で走る実力の持ち主で、ただまっすぐ走るだけではなく軽やかにステップを踏んで相手をかわす高い身体能力を備えたワールドカップ級のラグビー選手と相通じるものを感じる。身体能力の高さをこれみよがしに見せつけないところが美点であり、魅力である。

燃費:WLTCモード 8.3km/ℓ  市街地モード 6.6km/ℓ  郊外モード 8.3km/ℓ  高速道路モード 9.3km/ℓ
ディフェンダーの最大渡河水深は900mm
トレッド:F1700mm/R1685mm 最小回転半径:6.1m

ランドローバー・ディフェンダー110 SE
全長×全幅×全高:4945mm×1995mm×1970mm
ホイールベース:3020mm
車重:2240kg
サスペンション:Fダブルウィッシュボーン式Rインテグラルマルチリンク式
駆動方式:4WD
エンジン
形式:2.0ℓ直列4気筒DOHCターボ
型式:PT204
排気量:1995cc
ボア×ストローク:83.0mm×92.2mm
圧縮比:10.5
最高出力:300ps(221kW)/5500rpm
最大トルク:400Nm/2000rpm
燃料供給:DI(筒内燃料直接噴射
燃料:プレミアム
燃料タンク:90ℓ
トランスミッション:8速AT
燃費:WLTCモード 8.3km/ℓ
 市街地モード 6.6km/ℓ
 郊外モード 8.3km/ℓ
 高速道路モード 9.3km/ℓ
車両本体価格:732万円

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