【クルマの教科書】レイアウト編-5 かわりだねレイアウト

• 2020/11/27
• MotorFanアーカイブ編集部

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クルマのカタログや雑誌、メディアでは、様々な専門的な用語が使われています。この連載ではそんな言葉をなるべくわかりやすく説明します。

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ホンダのFF(エフエフ)ミッドシップってなんだろう?

自動車は、エンジンを積でいる位置と、エンジンで動かす車輪が前と後ろのどちらなのかの組み合わせで、より詳しく区別することができます。自動車のどこにエンジンを積み、前後どちらの車輪を動かすかの組み合わせのことを、自動車の「レイアウト(配列(はいれつ))」と言います。

その中で、「自動車の前の車輪の上にエンジンを積み、前の車輪を動かす」ものがありました。これは「前の車輪の前にエンジンを積み(フロント・エンジン)、前の車輪を動かす(フロント・ドライブ)」というFF(エフエフ)レイアウトと似(に)ていますが、ちょっとちがっています。

エンジンを積んでいる位置が、「MR(エムアール)」の解説のときに例にあげたマツダ・ロードスターのように、どちらかと言えば車体の中央よりなので、英語で「フロント＝ミッド・エンジン」と言うことができます。

そして、前輪を動かすため、英語で「フロント・ドライブ」となります。ですから、英語で「フロント＝ミッド・エンジン、フロント・ドライブ」となり、その頭文字をとって「FMF(エフエムエフ)」と言うことができます。

なお、マツダ・ロードスターは、前輪ではなく後輪を動かすので、「フロント＝ミッド・エンジン、リヤ・ドライブ」、つまり「FMR(エフ・エム・アール)」となるのは、「MR(エムアール)」のときに説明したとおりです。

つまり「フロント＝ミッド・エンジン」で、前輪と後輪のどちらを動かすかのちがいになります。

このレイアウトの自動車をホンダがつくったことがありますが、このレイアウトのことをホンダでは「FF(エフエフ)ミッドシップ」と名づけました。「FF(エフエフ)の利点をもったミッドシップ」という意味です。

FMF(エフ・エム・エフ)＝自動車の前輪の軸の上、または後ろにエンジンを積み、前輪を動かす。

FMF(エフ・エム・エフ)レイアウトでは、エンジンの位置がFF(エフエフ)よりも少し後ろに下がったため、前輪のかじを大きくきることができ、また、自動車の前側の重さも軽くなるたため、カーブを軽く曲がりやすくすることができました。また、車体の前側を低くスマートにつくることができます。

しかし、エンジンからの回転力を調整してタイヤに伝えるための部品である変速機(へんそくき)(英語で「トランスミッション」と言います)が、運転室内にはり出してしまうため、運転室が少しせまくなってしまうという欠点があります。

ホンダは長くて大きなエンジンを積んでもつごうが悪くならず、スタイルのよい車体をつくるために、このレイアウトをつかいました。エンジンの技術が進化して、小さくて軽くて力の強いエンジンがつくれるようになった今では、無理にこのレイアウトをつかう必要はなくなりました。

このレイアウトの自動車は、ホンダよりもさらにむかし、フランスのシトロエンやルノーといった会社がつくったことがありますが、エンジンの位置はホンダよりもさらに後ろになっています。