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2021年型CBR250RR、1000kmガチ試乗|完璧!ではなくても、ロングランはなかなか快適 2/3

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現代の250ccスポーツの中で、CBR250RRはスポーツ&サーキット指向が強いモデルである。ただし、守備範囲が広いパワーユニットと、コーナリング性能を重視したシャシーの美点は、ツーリングでも十分に感じられるものだった。

REPORT●中村友彦(NAKAMURA Tomohiko)
PHOTO●富樫秀明(TOGASHI Hideaki)

■長旅には、並列4気筒より並列2気筒?

 ロングツーリングに250ccスポーツモデルを使うなら、並列4気筒より並列2気筒のほうが、ストレスが溜まりづらくて、トータルで考えれば楽しいんじゃないだろうか。12月に当サイトに掲載したZX-25Rの1000kmガチ試乗に、僕はそう記している。だからCBR250RRのロングラン性能には期待していたものの、若干の不安が無いわけではなかった。と言うのも、ZX-25Rの試乗時に思い浮かべた並列2気筒車のニンジャ250と比較すると、CBR250RRはスポーツ&サーキット指向が強いのである。そしてそういう特性のバイクは、距離が進むと何らかの不満を感じることが少なくないのだが……。

 先に結論を述べると、CBR250RRのロングラン性能は期待以上だった。快適性という面では、上半身の前傾度がゆるめのニンジャ250、あるいはYZF-R25に軍配が上がりそうだけれど、今回の試乗期間中に2度のロングランに出かけた僕は、このバイクのスポーツツアラーとしての資質に感心し、ホンダがバリエーションモデル、ネイキッドやアドベンチャーツアラーなどを開発しないことが、何だかもったいないような気がしたのだ。

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どんな領域でも絶妙のレスポンス

 中でも感心したのはパワーユニットである。このバイクのパワーユニットを語るうえでは、ライバル勢より力強い、高回転までよく回る、などという言葉がよく使われるものの、僕が感心したのはどんな領域でも乗り手を裏切らない、絶妙のレスポンスが実感できること。アイドリングやや上の2000rpmでも超高回転域の10000rpm以上でも、右手の動きにエンジンが忠実に反応してくれて、その感触はムチャクチャ気持ちがよかった。

 しかも興味深いことに、CBR250RRにはスポーツ+/スポーツ/コンフォートという3種のエンジンモードが存在し、右手の操作に対する反応は、スポーツ+はややシャープ、コンフォートはやや穏やかなのだけれど、僕はすべてが絶妙と感じたのである。もちろん標準のスポーツの反応を1:1とするなら、スポーツ+は1:1.2、コンフォートは1:0.8くらいだが、どのモードでも違和感は皆無。この種の機構を採用する車両の場合、現実的に使えるモードは1つか2つということが少なくないのに、CBR250RRは3種のすべてに立つ瀬があるのだ。事実、僕は今回の試乗で出かけたツーリングでは、午前中はスポーツ+、午後はスポーツをメインに使い、帰路とタンデムテスト、ウェット路面ではコンフォートを使った。

 そういった要素に加えて、低中回転域からバルルンッ!という威勢のいい排気音が堪能できることと、スロットル操作と連動して後輪が路面を蹴るトラクションが明確に伝わって来ることも、このバイクの魅力だ。もっとも、CBR250RRの最高出力発生回転数は13000rpmで、本領を満喫するには出来ることなら10000rpm以上、最低でも8000rpm以上をキープしたいのだけれど、絶妙のレスポンスに加えて排気音とトラクションの効果なのだろうか、本領ではない8000rpm以下を使っていても相当に楽しい。だから回転数が上げづらいタイトな峠道や、遅い4輪につかまったときでも、それはそれでという感覚で走り続けられる。もちろん、アシスト&スリッパークラッチと純正アクセサリーパーツのクイックシフターも、ロングランでの快適性に大いに貢献するパーツだ。

 とはいえ、試乗後に業界の友人知人にCBR250RRの話を振ってみると、“排気音がうるさい”、“エンジンの主張が強すぎて疲れる”という意見もあった。このあたりの見解は人によって異なるようだが、一昔前は“すべてにおいて80点”、“誰でも乗れる優等生”などと呼ばれることが多かったホンダが、ここまで個性的なバイクを生み出したことが、僕としては新鮮で嬉しかったのである。

コーナリングに対するこだわり

 続いては車体に関する話で、まず剛性が十二分でどんな場面にも柔軟に対応できることは、ニンジャ250やZX-25R、YZF-R25などと同様。ただしライバル勢と比べると、CBR250RRは旋回性重視、と言うか、コーナリングの感触を大切にしているように思えた。具体的な話をするなら、コーナー進入時は、動きが軽快でありながら、前輪から接地感が濃厚に伝わって来るおかげで、思い切った倒し込みができるし、コーナー中盤で車体にGがかかった際には、リアサスが必要以上に入らず、前下がりの姿勢が維持されているので、旋回は速やかに終わり、早い段階からアクセルを開けられるのだ。

 ただし、コーナリングに適した車体姿勢を重視したからだろうか、路面の凹凸の吸収性はあまりよろしくなかった。と言っても声を大にして、乗り心地が悪いとか硬いなどと言うレベルではないのだが、フロントは静止状態での沈下量が多めで、ストロークを有効に使えていない気がするし、高速域でギャップに乗った際にステップでのホールドをおろそかにしていると、リアからドスッと尻に衝撃が入って来る。もっともそういった印象は、開発陣にとっては想定外かもしれない、路面がボコボコの舗装林道やダートを走ったからのような気はするが、そのあたりが万全ではなくても、CBR250RRで走る悪路はなかなか楽しかったのである。

バリエーションモデルに対する期待

 そんなわけで、二代目に進化したCBR250RRにかなりの好感を抱いた僕だが、2度のツーリングの終盤では、手首と腰にわずかな痛みを感じた。その原因に関して、当初は現代の250ccスポーツの中ではスパルタンなライディングポジション、上半身の前傾度の強さだと感じたものの、よくよく考えると前後ショック、中でもリアショックのほうが大きい気がしないでもない。僕自身の試乗経験を振り返ると、コストダウンの気配を感じるノーマルリアショックを、作動性が良好なアフターマーケット製に変更すれば、腰の痛みは確実に軽減できるし、リアショックの動きが上質になれば、減速時などに手首にかかる負担も減るはずなので。もっとも、過去にツーリングしたライバル勢で、手首と腰に痛みを感じなかったことを考えると、やっぱりCBR250RRのライディングポジションは、ロングラン向きとは言えないのかもしれない。

 となれば、ハンドルを上げたり、リアの車高を下げたりというイメージが湧いて来るものだが、コーナリング中の車体姿勢を考えると、このバイクの場合は安易にライディングポジションのアップライト化を図るべきではないだろう。ただしその一方で僕としては、冒頭で述べたように、CBR250RRの基本設計を流用したネイキッドやアドベンチャーツアラー、さらにはネオクラシック系モデルなどを、作って欲しいと感じているのだった。

 いや、何だか矛盾していることを言っている気がして来たが、今回の試乗でツーリングを満喫した僕としては、このバイクの基本設計を1台だけに独占させておくのは、やっぱりもったいない気がするのである。現状のスポーティな乗り味とアグレッシブなルックスを否定するつもりはないし、ライトウェイトスポーツとしては最高の1台だと思うけれど、個人的には、もうちょっと快適性重視の仕様、もうちょっとプレーンなルックスの仕様があってもいいような。まあでも、そういうライダーに向けて、ホンダはCB250RやCB400SFなどを作っているのだが、CBR250RRの基本設計を流用したバリエーションモデルが登場すれば、4スト250cc並列2気筒の新しい世界が開けるんじゃないか、と僕は感じているのだ。

※近日中に掲載予定の第3回目では、筆者独自の視点で各部の解説を行う予定です。

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