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<特別編> どうなる今後のEV Vol.2 あのテスラの大攻勢がここから始まった 第43回・東京モーターショー / 2013 【東京モーターショーに見るカーデザインの軌跡】

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2013年 東京モーターショーに登場したテスラ・モデルS。この時点では世界的な大成功は見えておらず、極めて小さなブースでの展示となった。

前回に引き続きEVの進化を語るうえで見逃せないモデルをとりあげたい。
2013年第43回東京モーターショーにあのテスラSが登場した。
2012年アメリカで発売され、日本でも1年後に販売開始されたのである。その性能は目を見張る内容で、航続距離はなんと647㎞、時速100㎞に達する時間はたったの2.5秒!最高速は時速261kmというとんでもないものであった。

登場時は半信半疑? テスラの登場

代表のイーロン・マスク氏のゆるぎない卓越したビジネスセンスは誰もが認めるところだが、ことクルマに関しては素人のはずだ。しかし、商品コンセプトと肝心のデザインの方向性は極めて王道路線、極めて健全な決定がなされていて、さすがはカリスマと言われるだけあって絶対に外さないための完璧な準備がひそかに繰り広げられたに違いない。

クルマはなんといっても性能がものをいう。レーシングカー並みの加速力があればベンツだろうがBMWだろうが勝てると判断、また最高を求めるセレブが選ぶファーストカーはやはりセダンだという現実を重視、面倒な理屈抜きのストレートなコンセプトは実にいさぎよいものであった。

テスラに起用されたデザイナー、フランツ・フォン・ホルツハウゼン氏は、かつてマツダでも活躍。そのスタートは2006年のデトロイトショーで発表された "鏑=Kabura"。

まずデザイナーの獲得から見てみよう。フランツ・フォン・ホルツハウゼンというアメリカ人カーデザイナーが起用された。
1968年生まれでカーデザイナーにとって経験を積み、最も脂が乗っていて人生で最も良い仕事をする年齢なのだ。
アートセンター (Art Center Correg of Design / 北米の美術大学で多くの有名カーデザイナーを輩出) 卒業後フォルクスワーゲン・ニュービートルのデザインで才能を開花させGMにデザインマネージャーとして移籍。2005年発表のサターンSkyなどで実績を上げ北米マツダに移籍した。ロスアンゼルス・スタジオ勤務時代に2006年1月のデトロイトショーでデビューした漢字名コンセプトカーの初代に当たる“鏑=Kabura”から始まり風籟(ふうらい)に至る連作をデザインした、当時業界では最も活躍していたカーデザイナーだったのである。

圧倒的高性能を併せ持ち大人気に

イーロン・マスク氏は彼の独創的なデザイン発想力を高く評価し、加えてマツダデザインがクレイモデルの面造形において、そのスキルの高さでは当時世界のトップクラスであることやジウジアーロ氏がかつて絶賛したXSEDOS6、アテンザなど正統派セダンを世に送り出したことにも着目したに違いない。
テスラSの造形はシルエットが初代アテンザに似ていて、サイドのニュアンス有る彫の深い面造形はアンフィニRX-7やユーノス500の手法と同じなのだ。
ホルツハウゼン氏がマツダでしっかりこうした造形スキルを身に着けていると、イーロン・マスク氏は判断したのであろう。

性能面を見てみよう。前回も申し上げたがEVの基本はおもちゃのミニ4駆と同じと申し上げたが正にテスラがそうなのだ。現在生産しているシリーズ全て、丈夫なアルミ製巨大バッテリーケースの長方形フロアに2個一体型のモーターが搭載され、それぞれ左右の後輪を駆動させるのだ。
2021年型アップデートモデルはさらに高性能化が図られ、フロントにもモーターを搭載した合計3個のモーターで合計1020馬力!で爆走できるのである。

ちなみに2012年の出来事だったが、上海市内のオフィス街で早くも納車されたばかりのテスラSがこれ見よがしに急加速するのに出くわしたが、強大なグリップ力を持つ特殊タイヤの空回りしない摩擦音の凄さと地面に黒く残ったゴムを見て、3か月ごとに超高級タイヤの交換という経費も考慮しないと、このクルマの性能は宝の持ち腐れなのだということを思い知らされた。

2017年に発表されたモデルXは、なんとリヤドアにガルウイング式を採用。
テスラ・モデル3。高性能とコンパクトなボディを併せ持つ。

テスラ3は2016年に発表され2019年から日本でも納車が始まった。 
Sよりコンパクトで性能を抑えコストダウンしたモデルである。デザインを極力同じにしてクオリティやイメージを統一していこうという戦略だ。
SUVタイプのXやYもデザインは同じといってよい。ランプ類など様々なパーツを共用し不必要なコストを極力削減している。

3で驚くのはその車両価格で、最近の情報によると最新モデル(テスラ社ではアップデートという)は180万円も安くし、政府の補助金を差し引くと400万円を切るらしい。
またまた前回の話になるが、ほんとうにどうやって利益を出しているのか不思議なのだ。驚異的な資金調達力を背景に、今後の中国上海工場やインドでの量産計画を見越した破格の価格設定なのだろうか。

2018年にはモデルSにシューティングブレークも発表。

EV化は加速するか? 問題はバッテリー価格だ

ホンダeが昨年発売され、今年の初夏頃には日産ARIYAが発売予定でいよいよEV競争が本格化しそうだ。アウディもe-TRONに力を入れていて、最近ではボルボC40 リチャージの発売が発表され価格競争も激しくなるだろう。

そこでやはり問題なのがリチウムイオンバッテリーの価格である。中国や韓国に生産量で後れを取ってしまった日本は、車両価格の3分の1に相当する“電池代”が高性能化とともに大きな障壁になりつつある。そうしたなか日本がEV100%社会に活路を見出そうといま産学一体となって共同開発しているのが全個体電池だ。現在最も航続距離の長いテスラSが663㎞(推定)でこの辺りがリチウムイオンバッテリーの一回の充電での限界とされているが、これを上回るために最も期待が持てる電池である。さらには急速充電を繰り返すとリチウムイオンバッテリーは劣化が進み、4年ほどで充電量が半減してしまうが、全個体電池は劣化しにくく出力が理論上10倍なのだそうである。日本が全個体電池の特許数で世界1だそうだが、「2050年グリーン成長戦略」はまさにこの全個体電池の開発に掛かっているといっても過言ではない。
心配性の私としてはシリコンバレーみたいに某国の産業スパイに技術情報を盗まれないよう、くれぐれも用心していただきたいと切に願うのである。

上よりスポーツカーのロードスター、7人乗りのモデルY、ピックアップトラックのサイバートラックなどを発表。
こちらは2017年にアップデートされたモデルS。

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