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<特別編> どうなる今後のEV 最終回 自動運転が変えたEVのカタチ 第46回・東京モーターショー / 2019 【東京モーターショーに見るカーデザインの軌跡】

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市販化されたフルEVのホンダe。その愛らしい形もポイントだ。

2030年EV化100%が現実となったが、同時にいま世界中で熱い開発競争が行なわれているのがADAS(アドバンスド・ドライバーアシスタント・システムズ)なのである。
日本も国際免許証の発行にかかわるジュネーヴ交通条約を批准していて、そこに示された自動運転に関するレベル1からレベル5までの国際的な取り決めに沿って研究開発が進められている。
人間が主体で運転するレベル3までをパーソナルカーでとりあえず達成し、システムが主体で運転するレベル4~レベル5を公共交通システムで達成させようとしていることは前回お話した。そしてコンピューターがクルマの走行を制御するにはEVのほうがはるかにやり易く、いま一気にADASの開発が加速しているのだ。

進化するADASによるクルマの未来は?

そこで最新の“自動運転支援システム”についても簡単におさらいをしておこう。
TVメディアなどでも自動運転はアップル社が断然世界をリードしているといった論調だが、実はホンダは40年も前から今日の自動運転を念頭に置いた基礎研究をスタートさせているのだ。
そしてご存知の方も多いと思うが、ホンダは相互通信型のナビシステム、「インターナビ」を独自に開発し、早くも1998年にアコードに搭載し発売した。
これはインターネットとナビゲーションションシステムを組み合わせたもので、2003年には利用会員を対象とした世界初のフローティング・カーサービス(システムが自動で利用者間の情報交換と共有を行なう)を開始、2006年にはグーグルアースも併用し2009年には会員数100万人を突破している。

こうした長年にわたり独自に収集した膨大な道路情報(会員のクルマが集めた走行データを基に日本全国を網羅する高低差を把握したバーチャルな3D地図情報)を基に、世界初となる自動運転レベル3を実現させたのが、HONDA SENSING Eliteだ。この3月レジェンドに搭載しリースを開始している。
先週はこうした背景まではお話できなかったが、世界で初めての快挙の裏には何十年にもわたるこうした積み重ねと、ぶれない研究目標が存在したのである。

Honda Sensing Eliteを搭載するレジェンド。
自動運転レベル3のハンズオフ機能作動時のインテリアイメージ。注目は走行時にもかかわらず、ドライバーもDVDなど動画が視聴可能なこと。必要に応じて、すぐに運転動作に戻れることが大前提だ。
Honda Sensing Eliteの機能。ハンズオフによる高度車線変更支援機能も搭載。
ホンダの自動運転開発の歴史は非常に古い。

ちなみに、コンチネンタル・タイヤを始めアップル社、メルセデス・ベンツやGM、フォードも10年以上前から本格的に研究を行っているが最近はどのメーカーも極秘開発に徹していて、メディアでの情報が乏しいのが現実だ。自動運転技術はあらゆる分野の最先端研究成果の集合体というべきトップシークレットなのである。また全体をデザイニングするには人間の行動学や心理学、生活全般でのソフトウエア、今の5G通信技術から最新の半導体、画像処理ソフト、センサー技術、デザイン、そのほか全体を関連づけて発想できる、まるで現代におけるレオナルド・ダ・ヴィンチみたいな能力が求められるのである。

トヨタが中心となってスタートしたコネクティッド・シティ=Woven Cityの理念もこうした総合的な技術進化が求められることに対応させようというもので、これまでの“個”から集団の発想によるスパイラル上昇効果を期待した壮大な実験なのだ。
こうした背景を念頭に、2019年最新の東京モーターショーに登場し、昨年発売されたHONDA eから今回はご紹介しよう。

ホンダe

ホンダeは運動力学上もりにかなったデザインだが、インテリアにはちょっと不満も。

これまでのホンダのカーラインとは一線を画す“ほのぼのモダンスタイル”という感じのデザインが新鮮である。豊かな膨らみのある造形とシンプルで優しい表情が見る者を穏やかな心持にさせ、こんなデザインのクルマが増えればあおり運転も無くなるのではないだろうか。
しっかりした安定感のある低重心フォルムは自動車としての美の基本であり、運動力学上、理にかなったカタチなのだ。永続性を感じる久々のグッドデザインだ。
但しインテリアデザインでは少し不満を感じた。将来搭載されるであろう“ホンダ・センシングエリート”に合わせた液晶画面中心のインストルメントパネルデザインなのだが、もっと空調やメーター類も集約させてシンプルな未来感を強調しても良かったように思えるのだ。さらに言わせていただくと、ステアリングやエア吹き出し口のデザインもレトロなエアコンを彷彿とさせ、お座敷列車みたいで大いに不満を感じた。
最近のEVの傾向としてエクステリアデザインは控え目になった。その代わりインテリアではEVとしての先進性みたいな見える証を多少強調しても良いのではないだろうか。

日産アリア

アリアコンセプトとして発表されたときのスケッチ。
こちらはアリアの量産型モデル。

2021年、もうじき発売が予告されているNISSAN ARIYAがこの2019年に初公開されていた。
最近のBMWやアウディ e-TRON、ボルボe40も揃ってSUVスタイルで、やはり日産も初代リーフで思わぬ苦戦を強いられた結果、人気のSUVの4ドアクーペで勝負に出たのだ。

最近予告されているARIYAと比べ2019年のコンセプトモデルはフロントウインドウも傾斜していて、いかにもショーカー的ではあったが、基本のデザインテーマはきちんと量産車に活かされていて、今から見ればホンダとは異なるビジョンでのEVらしさを提案していたのが印象的で頼もしかった。

トヨタeパレット

トヨタeパレット。自動運転化される高校交通への提案。

最後にご紹介するのは、自動運転を前提とした公共交通システムのデザインを提案したトヨタe-Paletteである。
幾何学的で丈夫そうな安心感のある8面体をテーマにした、近未来都市の自動運転マイクロバスだ。デザインは無難にまとめられたグッドデザインだが、私の個人的な意見としては進行方向が明確なカタチである方が親切なように思える。ステーションに急いでいったら逆方向行きというのは困るからだ。しかしこのようなクルマが富士山の裾野のモダンなWoven Cityで走る姿を想像すると、自動車専用道路を走るパーソナルカーが既存のガソリン車ベースのEVでは何ともつまらない景色ではないだろうか。
やはり個人のクルマもEVはEVらしく進化してほしいと私は願うのである。

ところで「東京モーターショーに観るカーデザインの軌跡は今回で終了です。読むのが面倒な最新技術情報のご紹介がこのところ続きましたが、これからのクルマのデザイン、とくにEVがどのように進化するかを語るうえでの基礎知識をお伝えしたかったのです。次回からはさらっと読める「カーデザイン豆知識」がスタートします。ご期待ください。 

現在、東富士に建設中のWoven City。トヨタだけでない、多くの企業、研究者、個人が参画するコネクティッド研究都市。Wovenとは「編み込まれた」という意味で、高速、低速、歩行といった3つの移動速度の道路、そして情報を編み込んだ都市という意味。
交通を居住エリアから隔絶させるのではなく、特定のモビリティは安全性を担保しながら建物、居住地にも入り込む。ここにもまさにWovenの意味が込められている。

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