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シフトチェンジが不要だし、燃費もカタログ値より良かったし。Rebel 1100 DCTに500km試乗でわかったこと|ホンダ

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3月11日に先行発売されたRebel 1100 DCTに早速試乗した。5月13日にはマニュアルミッション車も加えられる。コスパに優れた モデルである事は既報の通りだが、11万円差のDCTもお得感に溢れる仕上がりを実感した。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO ●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社ホンダモーターサイクルジャパン

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ホンダ・Rebel 1100.......1,100,000円、Rebel 1100 DCT.......1,210.000円

アウトドアへ誘われる気ままな乗り味が魅力的

足つき性チェック(身長168cm)

ディテール解説

⬛️主要諸元⬛️ 

⚫️試乗後の一言!

ホンダ・Rebel 1100.......1,100,000円、Rebel 1100 DCT.......1,210.000円

ガンメタルブラックメタリック(Rebel 1100)
ボルドーレッドメタリック(Rebel 1100 DCT)

 人気のRebelシリーズに最上級モデルが投入されたのはご存じの通り。外観デザインはRebelに共通する一連のフォルム。さすがに車体寸法は少し大きく、500と比較すると全長は35mm。ホイールベースと全幅で30mm拡大され、ホイールサイズも前後16ではなく、前18/後16インチサイズを採用。
 車重もマニュアルミッション車で223kgあり500より33kg、試乗車のDCTでは43kgも重くシッカリと重量車に仕上げられているのが特徴である。
 写真の通りスチールの丸パイプでデザインされたダイヤモンドフレームのメインパイプはφ35mmサイズ。ストレートに後方へ伸ばされた長いスイングアームも極太のスチール製φ50.8mm(500 はφ45mm)。ちなみに前後フェンダーもスチール製だが、Rebel 250/500よりも板厚の厚い専用品を奢り、質感を高めているのだそう。コスパに優れる価格設定も印象的だが、その一方にこだわりが見え隠れして、なかなかどうして堂々と立派な雰囲気が漂う。
 
 ホンダの公式Webサイトから引用すれば、「心地よさと力強さを両立した」 と言う搭載エンジンは、1082ccの水冷直列2気筒。ボア・ストロークや圧縮比等の基本構造は、ミッションのギヤレシオも含めてCRF 1100L Africa Twinと同じ。
 270度の位相クランクを採用した不等間隔爆発から発揮される駆動力特性や、ユニカム構造のバルブ機構。そしてクランクケース内にオイルタンクを持つドライサンプ方式の採用も共通である。
 ただし、当然の事ながらチューニングはそれぞれに異なり、Rebel 1100はピークパワー/トルク共に少し控えめにし、中低速域を重視した出力特性を得ている。
 電子スロットルが採用され燃料噴射や点火タイミングも統合的に電子制御される。スロットル操作に対する出力特性、トロクコントロール、そしてエンジンブレーキも3段階のレベル選択ができる。
 それらを巧みに組み合わせられたライディングモード切り換えではSTANDARD、SPORT 、RAINに加えて、ユーザーの好みに設定可能なUSERモードも選択でき、DCTにおいてはシフトタイミングの制御レベルも3段階。またトルクコントロールのOFFも選べる。

 前後サスペンションは上級モデルに相応しくφ43mm(500 はφ41mm)の正立式フロントフォークを採用。インナーチューブには酸化チタンコートが施された他、ボトムケースはボトムエンドにアルミ鋳造部品を組み合わせたツーピース構造だ。
 リヤの2本ショックにはオイルリザーバータイクを背負ったビギーバックタイプが採用され、前後サスペンションのいずれにもプリロードアジャスターが備わっている。ちなみにフロントはフォークのトップエンドにあるアジャスターで無段階。リヤはやはり上部にあるアジャスターをピンスパナで回す事で19クリックもの調節ができる。
 その他1100ならではの標準装備としてグリップヒーター、ETC 、そしてクルーズコントロールが採用されているのも見逃せない。
 グリップヒーターはハンドル左手のスイッチ操作で5段階。クルーズコントロールは速度50〜160km/hの範囲でギヤが4速(DCTは3速) 以上であれば任意の速度に設定可能となっている。

φ35mmのメインパイプを持つスチ-ル製ダイヤモンドフレーム。ピボットから後方へ真っ直ぐ伸びているのは、φ50.8mmの極太スイングアームだ。
アフリカツインから流用も、Rebel用に専用チューニングが施された水冷SOHCのツインエンジン。

アウトドアへ誘われる気ままな乗り味が魅力的

 250、500と既に試乗済みのRebelだが、今回の1100は流石にズッシリと重量感のある手応えを覚える。バイクを取り回す時も200kgオーバーの車体は押し始め(動き出し)に結構力が必要。特にDCTはマニュアルミッション車よりも車輪の動きが渋く扱いが重く感じられた。
 ただ、車体寸法とのバランスが良いのか、またシート高が700mmと足つき性がとても良いせいか、その扱いには特に手強さを感じられなかった点は好印象。
 跨がった時も膝に余裕を持って両足で地面をしっかりと捉えることができる。足を付く位置にも自由度があり、バイクを支えたり、跨がったまま前後に押し歩く上でも安心感があった。
 バイクには跨がると言うよりも、クッションの厚い鞍型シートに腰を下ろす感じ。とかくバイクに乗ると、全身の筋力を活用すべくそれなりに緊張した気持ちになるが、Rebelに乗ると良い意味でとてもルーズな感じ。
 全身の力が抜けて身も心もリラックスできるのがとても新鮮である。やや前方にあるステップ位置も少しワイド。両足を前方に突っ張るでもなく、体重を支えるべく踏ん張るでもない。やはり足の力も自然と抜けた状態となる。
 やや遠く感じられるハンドル位置のせいで上体は少し起き、前方の見晴らしが良い。腿は前方へ水平に伸び、自分の膝を含めて路面から大空まで、景色の流れがやけに目に入ってくるのである。
 ニーグリップを効かせるわけでもなく、ただただ体重をシートに預ける乗り味は、いわゆるスポーツバイクに乗る時とは別次元の感覚。下半身でバイクをホールドする等の身構えから開放された世界がそこにある。
 DCTの場合は右側のクランクケースカバーがやや出っ張っていて、右足の踝に当たるのだが、前述の通りゆるい気分で乗るのでそれも気にならない。つまり特に指摘する程の問題点とは感じられなかった。
 ごく自然とその様なルーズな範疇で走る、あくまでマイペースを貫く。そんな気ままな乗り味が楽しいのである。つまり不思議とスポーツバイクとは異なるマインドになれ、バイクに対する評価基準も大きく変わって来たのである。

 エンジンを始動すると暖機後のアイドリングは1,200rpm。右手親指でDボタンを押し、左手にあるパーキングブレーキを解除すればあとの操作はスクーターと同じ。右手のスロットルを開ければ良い。
 常々バイクはマニュアル操作で乗りたいと思っている筆者だが、Rebelに関してはDCTの簡単操作がその乗り味と上手くマッチしている。むしろDCTが相応しいと思えた。
 もちろん必要に応じて任意のマニュアル操作にも対応している。操作は左手側のアップ(+)ダウン(−)スイッチを使えば良い。
 ギヤ固定で走りたい時等は、右手のスイッチでマニュアルモードを選べばライダーの思いのままになる。
 回転計を睨みながらそっとスロットルを開けていくと、1,400rpmで既にクラッチミートが始まりスムーズに発進。住宅街や市街地での通常走行なら2,000rpm前後でゆったりと心地よく、かつ十分なトルクで快走する。
 急発進したいなら、右手のスロットルをワイドオープンすれば良い。2,000rpm程で少しばかりコツンと繋がるが、トルクに物を言わせる豪快なダッシュを披露するのも簡単。流石に1,100ccエンジンのパフォーマンスは侮れない。
 その一方で前述の通り通常の一般的な交通の流れに乗るには、2,000rpm前後の領域を使うだけで事足りてしまうのである。そのゆとりある走行フィーリングはなかなか気持ち良い。
 セカンドへのシフトアップ(と言ってもデュアルクラッチの繋ぎ変え)では、コツンと極僅かなショックと音が発生するが、それも気にするレベルではない。
 自動の変速制御は、エンジンブレーキ時のシフトダウンも含めて実に巧妙であった。
 ちなみにマニュアルミッション車とDCTでは6速ミッションのギヤレシオが 微妙に異なっている。その差は大きく無いが、DCTは全体的に高めながら、2速3速は逆に低めに設定。1~2速間の変速ギャップを少なくしているのが特徴。
 クラッチと変速が自動制御されるだけに、発進時のスムーズさと変速ショックの緩和を狙った物ではないかと推測できる。結果的にロー発進時はマニュアル車の駆動力が少し強い。またトップギヤで100km/hクルージング時のエンジン回転数は総減速比の違いによりマニュアル車の方が60rpm程高くなると算出できる。
 今回DCTの1速ローギヤでエンジンを5,000rpm回した時の速度は49km/h。6速トップギヤ100km/hクルージング時のエンジン回転数は3,600rpm、120km/hでは4,200rpmだった。
 4,000rpm前後では特に豊かなトルクが発揮されており、全域にわたって柔軟で頼り甲斐のある出力特性と振動の少ない乗り味も心地よい。

 そして操縦性も実に素直で扱いやすい。35度のバンク角が確保されている事もあって、高速道路のランプウェイや、ワインディングロードも普通に走る限りステップが接地するようなシーンも皆無だった。
 試乗撮影や気の向くまま出かけたツーリングも含めて約500km走ったが、やはり全身リラックスできる気楽な乗り味が印象的。身体の力が抜けた状態で乗り、それでも快適で居られる範囲の走り方に終始する。
 オートクルーズコントロールもしっかりと活用。セット後は前車と車間の変化具合で速度変化を先読みして、上下スイッチで設定速度を調節。ワン操作で1km/h毎の変更ができるので、通常の流れが維持される高速道路等ではかなり有効。スロットル操作から右手が開放されるのもなかなか快適だった。
 それも含めてライダーが積極的にバイクを乗りこなそうとするのではなく、いつの間にかバイクに乗せてもらっている様な感覚で楽に走る様になっていた。
 その為、走っている時の感覚はどの場面でも緊迫したムードは無く、自然と楽に走れる範囲で楽しむし、それが相応しい(良い)乗り方であるという心境になれる。
 先を急ぐでもなく、スポーティな走りを追求するでもない。ライダーとして、これまで培われてきたマインドと大きく異なるが、それが決して嫌じゃない。というのが正直な感想である。
 
 高速道路を走ると、冒頭に記したライディングポジションの関係で、決して快適とは言えない部分も見つかった。
 足の置き場に自由度のあるボードタイプのステップなら、あるいは気にならなかったのかもしれないが、筋力を使わない(使いにくい)シートとステップ位置の関係で、前方からの風圧で両足がステップから手前にズリ落ちそうな気配にしばしば襲われた。
 それに耐え続けると股関節に負担がかかり、高速ロングランには不向きな感じ。とは言え我武者羅に遠出したいわけではなく、ツアラーとしての高機能を追求したいわけでもない。むしろアチコチへ自由に立ち寄る楽しみを見いだせる、マイペースな乗り味が魅力的。実際今回は、桜巡りの旅にもってこいだったのである。
 旅に誘われる感じと自由な雰囲気を気軽にかつゆとりを持って楽しめてしまう。しかも作動性の良いサスペンションと落ち着きを伴う程良い安定性も心地良く感じられた。
 
 今回試乗撮影とツーリングで走行距離は503km。大体210km前後の走行で燃料計が点滅し始めた。この時の残量は約4L。給油は2回だけで満タン法計測で割り出した実用燃費率は前半が23.5km/L。高速で速い流れに乗った後半が21.4km/L。トタータル燃費率は22.4km/Lだった。ちなみにこのデータは、モード燃費率の18.7km/Lを大きく凌ぐ好結果である。

足つき性チェック(身長168cm)

シート高は700mm。膝を曲げた状態でも両足はベッタリと地面を捉えることができ、バイクを支える自由度と安心感は非常に高い。

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