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ダウンサイジングからライトサイジング。多様化する過給技術 ガソリンエンジン用VTGターボから思い巡らすターボのあれこれ

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ホンダ・シビックの1.0ℓ直3ターボが採用するボルグワーナーのB01ターボチャージャー。電動ウェイストゲート付きのターボチャージャーだ。

過給エンジンがどんどん増えている。排気量を小さくして過給するというダウンサイジング過給というトレンドは一段落したが、「過給」ということになると、まだまだホットな技術領域だ。

先頃、米・ボルグワーナー社が、電動ウェイストゲート付きターボチャージャーをホンダ・シビックが搭載する1.0ℓ直列3気筒ガソリンエンジン向けに供給を開始するというニュースがあった。

シビックに採用された電動ウェイストゲート付きターボは、ボルグワーナーのB01ターボチャージャー。小型で堅牢な設計が特徴で、優れた騒音・振動性能 を備え、低粘度オイルに対応している。また、先進的な材料を使用することで、最大 950°C の排出ガ ス温度と、最大 285,000rpm の回転速度における耐久性を確保している。

電動ウェイストゲートを採用するわけは、過給圧をより高精度に制御したいからだ。高エンジン出力時の高過給圧力を防ぎながら、パワフルかつ高効率 なパフォーマンスを実現するために、電動ウェイストゲート付きのターボチャージャーは増加傾向にある。電動ウェイストゲートを採用することで燃費を改善すると同時に、すべてのエンジン回転域で優れたトルク特性を得ようということだ。B01型の低イナーシャ・タービンホイールは、排気脈動の活用を最適化することで、 エンジンの低回転域で優れたレスポンスを発揮し、広い領域でのパフォーマンス向上を可能にするという。 また、コールドスタート中に触媒コンバーターを速やかに活性化させることで、排出ガスを大幅に削減する効果もある。 

過給エンジンはどんどん増えている。新しいエンジンで、自然吸気エンジンというのは、ほぼないに等しい。しかし、エンジンのトレンドがダウンサイジング一辺倒だった時期はもう過ぎたようだ。

アウディは、A4などが搭載するEA888を、1.8ℓから2.0ℓへ排気量アップをして「EA888 Gen.3B」とした。出力は1.8ℓと同等、燃費性能は排気量を上げて向上させている。このGen.3Bはアウディとして初めてミラーサイクルを採用した。アウディは、この排気量アップを称して「ライトサイジング」という。排気量の適正化とでも言おうか。

VWの1.5ℓ直4エンジン EA211 TSI evo
VTGターボのほかにも新しいトライが盛り込まれている。

EA211 1.5 TSI evo エンジンDATA
最高出力:96kW/4750-5500rpm
最大トルク:200Nm/1300-4500rpm
排気量:1498cc
ボア×ストローク:74.5×85.9mm
圧縮比:12.5

VWも従来のメインエンジンだった1.4ℓTSIエンジン(EA211型1.4ℓ直4DOHC直噴ターボ)を1.5ℓに排気量アップした。

EA211 TSI evo 1.5ℓと呼ぶこのエンジンも、ライトサイジングである。ライトサイジングは、ダウンサイジングの弱点だった高負荷域での燃費を改善するのが狙いで、そのためにミラーサイクルを採用しているのが特徴だ(evoは吸気バルブ早閉じでミラーサイクルを実現)。

ダウンサイジングのトレンドを提唱し、推進してきたVWアウディグループ自身が、「ダウンサイジング、行き過ぎでした」と言っているようなものだが、そこは「ライトサイジング」という新しいキーワードを唱えて軌道修正をするところがイメージ戦略としても巧みなところだ。
一時はフォードが中型(というか大型?)セダンのモンデオを1.0ℓ直3エコブーストターボで走らせようするなど、排気量を小さくした方がエライ的なムードもあったが、それも終焉を迎えたようだ。

ダウンサイジング過給エンジンは、モード燃費とリアルワールドでの実燃費の乖離が激しい。導入が決まっている新しい燃費モード、WLTC(Worldwide harmonized Light duty driving. Test Cycle)は高負荷領域がJC08、NEDCより増える。このことも行き過ぎたダウンサイジング→ライトサイジングへの流れをアシストしている。

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