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  • 2017/08/16
  • 遠藤正賢

【新型アウディA8のテクノロジー】複合素材ASFボディ

アルミ合金、鋼板、マグネシウム合金、CFRPを併用しねじり剛性を最大24%アップ

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新型アウディA8の複合素材ASF
7月11日にスペイン・バルセロナで開催された「アウディサミット」で世界初公開された、4代目アウディA8。この新たなるフラッグシップサルーンに採用された最先端のテクノロジーを、分野別に紹介する。

オールアルミから複数素材の併用へと進化したASF

1993年に発表されたコンセプトカー「ASF」。無塗装のまま磨かれシルバーの輝きを放ったアルミ外板で、見る者に大きな衝撃を与えた

アウディの軽量設計ボディ「アウディスペースフレーム(ASF)」は1982年より開発がスタートし、1993年にはオールアルミモノコックボディのコンセプトカー、その名も「ASF」をフランクフルトショーで発表。翌1994年には「ASF」の量産モデル・初代A8を発売した。

ロングホイールベース仕様「A8 L」の複合素材ASF

その後、2006年デビューの2代目TTはスチール、2007年デビューの初代R8はCFRP(カーボン繊維強化樹脂)とアルミ合金を併用するなど、2つの素材を使用する複合素材ASFへ発展。そして新型4代目A8では、アルミ合金と鋼板、マグネシウム合金、CFRPからなる4種類の素材を用い、車両全体のねじり剛性を先代3代目A8より最大24%高めた複合素材ASFへと進化している。

異なる方向の繊維を組み合わせたCFRP製リヤバルクヘッドの積層構造

CFRP製リヤバルクヘッド

リヤバルクヘッドに用いられたCFRPは、縦横方向の応力と剪断力を適切に吸収するため、6~19のカーボン繊維を折り重ねた50mm幅テープのカーボン繊維層を、完成した多層パネルの中に狙った角度でさほどトリミングせず配置できる新開発の製法「ダイレクトファイバーレイヤーリング(直接繊維多層化)」で加工。車両全体のねじり剛性の33%を担うとともに、製造時の中間作業を省略することを可能にした。そのほか、多層パネルをエポキシ樹脂に浸して数分のうちに乾燥処理する工法も開発している。

マグネシウム合金製ストラットブレース

マグネシウム合金はストラットブレースに使用され、先代より28%軽量化されるとともに、アルミ製ボルトでストラットタワードームと接合することにより、ねじり剛性を高めている。なお、正面衝突した場合の衝撃は、フロントエンドに設置された3つのインパクトバッファーに分散される。

新型A8の乗員セル。濃い赤の部分がホットスタンプ材

鋼板は、軽量かつ高強度なホットスタンプ(熱間成形)材がフロントバルクヘッドのロワセクション、サイドシル、Bピラー、ルーフラインのフロントセクションに使われ、高い衝突安全性の確保に貢献。それらの一部には、部位に応じて厚さが異なるテーラードブランク材や、部分的に熱処理されたものが採用されている。

アルミ鋳造品の使用部位

ボディ全体の58%を占めるアルミ合金は、鋳造品と押し出し材、シートメタルの3種類を部位に応じて使用。その中には熱処理が加えられ、引っ張り強度230MPa超・破壊強度180MPa以上に達したものがあり、押し出し材の中にはさらに280~320MPa超を記録したものが含まれている。

複合素材ASF実現のため14種類の接合方法を採用

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