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  • 2017/11/14
  • Motor Fan illustrated編集部

水素評議会、CO2排出量削減目標への水素の貢献、2050年までに20%分に達する可能性

水素協議会、水素をエネルギー移行の主軸のひとつとする、世界初の調査報告を公表

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グローバルリーダーがCOP23のためボンで会合を行なうなか、Hydrogen Council(水素協議会)の名の下にさまざまな業界の18名のリーダーが集結、マッキンゼー・アンド・カンパニーの協力により、世界初となる、水素利用の具体的なビジョン(調査報告)を公表した。このビジョンでは、水素がエネルギー移行の主軸のひとつであるということに加えて、2.5兆ドルに相当するビジネスと3,000万人以上の雇用を生み出せる可能性にも触れている。

Hydrogen Councilは、水素に関するビジョンを明確化するため、「Hydrogen, Scaling up(水素市場の拡大)」とのタイトルの調査報告を発表した。この中で、水素の本格的な普及とエネルギー移行についてのロードマップを説明している。

水素の大量導入により、2050年までに、水素利用はエネルギー消費量全体の約1/5を担うことが可能だ。これにより、CO2排出量を、現状比で年間約60億トン減らすことができ、地球温暖化を2℃までに抑えるために必要なCO2の削減量の約20%を担うことができる。

需要に関しては、Hydrogen Councilは2030年までに1000万台から1500万台の燃料電池乗用車ならびに50万台の燃料電池トラックが走ると試算しているほか、他の産業分野、例えば産業上の工程で、原材料、熱源、動力源、発電用、あるいは貯蔵して等々、さまざまな利用がなされると想定している。
この調査報告では、水素需要は2050年までに現在の10倍になり、2℃シナリオにおける2050年の最終エネルギー需要の18%に相当する、80EJ程度のエネルギーが水素化されると見込んでいる。世界の人口が2050年には20億人まで増加すると見込まれるなか、水素技術は持続可能な経済成長を生み出す能力を秘めている。

Hydrogen Councilの共同議長を務める、トヨタ自動車の内山田竹志会長は、次のように語った。
「21世紀の世界は、低炭素エネルギーの使用を拡大する方向に移行しなければなりません。水素は、このエネルギー移行に関して欠かすことはできません。なぜなら水素を媒体とすることで風力、太陽光、そのほかの再生可能なエネルギーで発電された電力を貯蔵・運搬し、運輸など様々な分野で利用することが可能になるからです。Hydrogen Councilは、水素が持つ7つの役割を明確にしましたが、このことを通じて、政府や投資家に対し水素をエネルギー計画に組み込むようお願いしてきています。水素に根差した経済を早く実現することで、水素社会の実現に向け、皆がより一層力を合わせることができると考えています。なお、Hydrogen Councilの共同議長として、経済産業省の大串政務次官を含めた、政府の政策立案者の皆様に御礼申し上げたいと思います。大串政務次官は、水素の普及に向けた日本のビジョンをシェアするために、今回水素協議会の会議に参加され、普及に向け、引き続きご協力をいただいております」

このような大量導入には、大がかりな投資も必要となる。投資額は概ね、年間で200億ドルから250億ドル、2030年までの累計では2800億ドル必要であると試算している。当調査報告では、長期間の安定的な政策的インセンティブを含む、適切な規制の枠組みがあれば、水素大量導入に向かう投資は投資家にとって魅力的なものとなると考えている。現在世界中で毎年1.7兆ドルがエネルギー分野に投資されている。そのなかには石油・ガス(6500億ドル)や再生可能エネルギー(3000億ドル)、自動車産業(3000億ドル以上)が含まれている。

Hydrogen Council議長のブノワ・ポチエAir Liquide社(エア・リキード)の会長兼CEOは次のように語った。
「今回の調査報告は水素をエネルギー移行の主軸のひとつと位置づけるもので、私たちは水素の大量導入をサポートしていくことに自信を持っています。水素は、特定の分野や地域におけるエネルギー移行の際、欠かせないものになります。水素の利用をより早く行えば行なうほど、我々は水素が経済と社会に与える恩恵を早く享受することができるようになるでしょう。産業界は水素技術導入を明言しています。水素社会実現のためにステークホルダーが一丸となって進む必要があり、Hydrogen Councilの役割はその牽引役なのです」

今回の新しいロードマップの発表は、内山田竹志トヨタ自動車会長と、ブノワ・ポチエAir Liquide社CEOの、ふたりの共同議長が率いる、Hydrogen Councilの18人のシニアメンバーが出席したSustainability Innovation Forumのなかで行われた。その場にはLinde Group(リンデグループ)のCEOであるアルド・ベローニ教授(Prof. Aldo Belloni)、Hyundai Motor Company(ヒュンダイ)のワンチョル・ユン副会長(Woong-chul Yang, Vice Chairman)、Anglo American(アングロ・アメリカン)のボードメンバーであるアン・スティーブンス氏(Anne Stevens, Board Member)も同席した。発表のなかで、Hydrogen Councilは改めて、投資家、政策立案者、ならび各企業に、エネルギー移行に向けて水素導入を加速するよう呼びかけた。

また、Hyundai Motor Companyのワンチョル・ユン氏がトヨタの内山田会長と共同議長を交代し、2018年にはブノワ・ポチエAir Liquide社 CEOとともに共同議長を務めることもアナウンスされた。なお、内山田氏は、水素社会と水素モビリティを披露する重要なマイルストーンである、東京オリンピック・パラリンピックの時期に合わせ、2020年にまたHydrogen Councilの共同議長に復帰する予定だ。

Hydrogen Council(水素協議会)について
Hydrogen Councilは、2017年初め、スイス・ダボスで開催されたWorld Economic Forumの場で発足した。グローバルなエネルギー移行に関して、水素技術が果たす役割を推進していく、世界初のグローバルなCEOによるイニシアチブだ。現在のメンバーは、18のさまざまな国の企業(Air Liquide、Alstom、Anglo American、Audi、BMW GROUP、Daimler、ENGIE、General Motors、本田技研工業、Hyundai Motor、岩谷産業、川崎重工業、Plastic Omnium、Royal Dutch Shell、Statoil、The Linde Group、Total、トヨタの各社)と、10のバリューチェーン上の企業(Ballard、Faber Industries、Faurecia、First Element Fuel (True Zero)、Gore、Hydrogenics、三菱商事、三井物産、Plug Power、豊田通商の各社)。Hydrogen Council メンバー企業全体では、収入全体で1.3兆ユーロ、世界全体で200万人以上の社員を有している。

COP23におけるHydrogen Councilの会合について
Hydrogen Councilのメンバーは、COP23において設立初年の活動を締めくくるべく集結する。2017年11月13日と14日、ドイツ・ボンにおいて、各企業のCEOや代表メンバーが様々な首脳間のラウンドテーブルや政策立案者との会合のほか、メディアや広範囲に及ぶステークホルダーコミュニティとの活動などに参加する予定だ。

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