これから増えそうな電動AWD。プロペラシャフトレスのメリット AWD その5:変幻自在 ボルボXC90 T8 プロペラシャフトをなくす電動AWDという手段
- 2018/01/31
- Motor Fan illustrated編集部
FFベースのクルマにリヤアクスルに電動モーターを載せる。逆にFRベースのクルマのフロントアクスルにモーターを載せる。そうやってAWD化するe-AWDという手段が今後増えそうだ。その代表例がボルボXC90 T8である。
XC90 T8は、フロントに2.0ℓ直4ターボ+スーパーチャージャーエンジンを搭載。前輪を駆動する。リヤアクスルにはGKNドライブライン製のERAD(電動リヤアクスルドライブ:Electric Rear Axle Drive)を搭載し、後輪を駆動するシステムだ。
FF車の後輪をモーター駆動にして前輪の駆動力にまったく機械的に頼らないという試みは、かなり昔からあった。「e-4WD」という日立が開発したシステムが、かつて日産マーチやマツダ・デミオに搭載されていたのをご記憶の方も多いだろう。
しかし、これらはあくまでも緊急脱出用とも言える装置で、30km/hを超えると自動的にキャンセルされ、FFに戻るという作りだった。
現行のトヨタ・プリウスのAWDモデルも同じ考えで、リヤに搭載した電動モーターユニットが後輪を駆動してAWDとなる。ただし、出力は5.3kW/55Nmと小さいため、電動AWD(トヨタはE-FOURと呼ぶ)やはり発進・緊急脱出用の域を出ない。
しかし、e-AWDの可能性は大きい。なにせ、駆動力を分け合うとかトルクの移動を待つとか、そういう都合が一切ないのだ。なにせエンジントルクを用いる主動輪よりレスポンスは速く、制御によって自在に特性を作り込める。しかも、後輪へプロペラシャフトを通す必要もない。室内空間も広くとれるわけだ。
さて、試乗である。
まずはAWDモードでスタート。出足は鋭い。後輪が地面を掻いている感触がある。なにせ、リヤの電動モーターユニットの最高出力・最大トルクは、65kW/240Nmと強力だ。2トンを超える巨大なSUVだが、発進でふらふらするでもなく、旋回も無難にこなしていく。必要なときに必要なだけ瞬時に後輪に駆動力を与える制御にすることで自然でFF然とした旋回性能とここぞというときの発進トルクの確保を両立できている。
一般のAWDとして充分な性能があるが、車重が嵩むのでミラーバーンのような滑るところでは速度を抑えないとという心理的な自制が働くのも確か。
次はecoモードで走ってみる。
走り出しはリヤの電動モーターだけ。つまりEV走行だ。アクセルを踏み増したらエンジンがかかって、前輪が地面を掻く。
サプライヤー各社は、ボルボXC90が使うようなERAD(電動リヤアクスルドライブ:Electric Rear Axle Drive)を競って開発中だ。電動でAWD化できるだけでなく、EV走行も可能。PHEV化も容易となれば、今後、このタイプのAWDが増加していくのは間違いないだろう。


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ボルボXC90 T8
車両重量:2340kg
前後重量配分:52:48(前軸1210kg/後軸1130kg)
前後トルク配分:
試乗車タイヤ:ブリヂストン BLIZZAK WRX(前後275/45R20
タイヤ指定空気圧:前後260kPa
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