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  • 2018/05/20
  • Motor Fan illustrated編集部

フォルクスワーゲンVR6:奇異に見えるがすべてが理詰め。コンパクト化と出力を両立させる。

世界のエンジン おーるアルバム file 000: VW VR6

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後期型のVR6エンジン。特徴的なシリンダ配置が見てとれる。

「VR」の「V」はV型エンジンを示しているのに対し、「R」はドイツ語の「Reihenmotor=直列エンジン」の頭文字であり、両者を並べれば「V型配置直列エンジン」となる。つまり、VWのVRエンジンは「狭角V型」と言われるものの、構造を眺めてみるとむしろ直列エンジンと呼ぶのが正しいといえよう。

 直列エンジンが長くなるのは、エンジンのシリンダー&ピストンが一直線に並ぶからである。そこでシリンダー&ピストンを千鳥型配列にすれば長さを短縮できる。こうすれば直列6気筒がエンジンルームに収まらないからという理由で、1気筒落とした直列5気筒をわざわざ作らずとも、小さな4気筒エンジン搭載車のエンジンルーム内に6気筒エンジンを、充分なクラッシャブルゾーンを確保したうえで横置きできる。これが発想の根本だ。また点火順序も直列6気筒と同じとなり、等間隔着火となる構成で振動面でもV6より有利となる。

前期型のVR6エンジン

 登場したのは1991年。ボア81.0×ストローク90.3mm=2790ccの排気量で、当時はポート噴射仕様だった。圧縮比は10.0とし、128kW/5800rpmの最高出力、240Nm/4200rpmの性能を発揮した。のち、ボアを1mm広げた2861cc仕様が登場している。

 なお、登場当初のVR6のVバンク角は15度だったが、のちの大改変で10.6度となり、さらに直列に近づいている。

 上図はVバンク15度の初期型。クランクピンは22度のオフセットとし、7ベアリング構造。シリンダーはレイアウト成立のため12.5mmのオフセットを設けている。ご覧のとおり、縦置きのときの左バンク最前/横置きのときの後バンク最右を1番シリンダとしている。
 シリンダーヘッドがV型とは違ってひとつなので、ピストン冠面はシリンダーに対して斜めに設けられ、ブロック上面に出てくる際にはツライチとなる。カムトレーンはチェーン駆動で、バケットタペットによる直打式。吸気1排気1の2バルブで、カムシャフトのロブ配置は言ってみればSOHCのように「吸排吸排吸排」の6ロブが片側バンクのバルブを一手に駆動する構造としていた。容易に想像できるようにポート配置には相当の苦労があり、そのためかバルブ挟み角はディーゼルエンジンのような0度である。

 方や、こちらはVバンク10.6度の後期型。FSI、つまり直噴仕様となった。最大噴射圧は12MPa。バンク角の狭小化にともなってシリンダスリーブの下方配置は厳しくなることから、オフセット量は前期型の12.5mmに対して22mmにまで増やされている。
 ボア86.0×ストローク90.9mm=3168ccと、ボア89.0×ストローク96.4mm=3597ccの仕様が用意され、ともに圧縮比は直噴化にともない12.0まで高められている。性能は、前者が184kW/6250rpm、330Nm/2750-3750rpm、後者には206kW/6200kW、360Nm/2500-5000rpmと220kW/6600rpm、350Nm/2400-5000rpmの2種が用意された。
 後期型の最大のトピックは4バルブ化。前期型の直打型SOHC配列×2バンク構造に対して、ごく普通なDOHC配列になった。したがって、バルブ駆動はロッカアームを用いており、さらに油圧ベーン式のVVTを採用することで出力と環境性能の両立を図っている。

後期型VR6のシリンダブロック。先述のようにバンク角は10.6度。

 フォルクスワーゲンはこのVR6を基本として5気筒版のVR5を仕立てるとともに、さらにVバンク配置としたW8、W12、W16までを世に送り出している。このあたりについては機会を改めてご紹介することとしよう。

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