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米国で図柄入りナンバープレートが登場してから約70年、進化するフィルム技術 スリーエム ジャパン:「ご当地図柄ナンバープレート」に活用される3Mのフィルム技術

  • 2018/09/07
  • Motor Fan illustrated編集部
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27地域で3Mのフィルムを採用

国土交通省の施策として、2018年10月頃から地域の風景や観光資源を図柄にした地方版図柄入りナンバープレートが交付される予定だ。この図柄入りナンバープレートの実現に一役かっているのが、3Mのフィルム技術。従来の塗装では難しかったカラフルでグラフィカルなデザインの再現を可能にした。

 図柄入りナンバープレートに使用されている3Mのフィルムは、グラフィックの再現性に特化し、凹凸のある面にも追従して貼ることができる。屋外看板や電車、バスのラッピングなどに使用されてきたフィルムの知見を活かして開発された。フィルムを貼ることで、ナンバープレートの耐久性も上げ、いつまでも美しい図柄を保持することができる。
 これからは、個性豊かな図柄入りナンバープレートを見つけることが、ドライブの楽しみのひとつになるかもしれない。

海外の事例紹介

 米国では、1950年から図柄入りのナンバープレートが導入され、州ごとに様々なデザインのものが交付されている。ミネソタ州では、州の自然と動植物の保護を目的に1955年から交付を開始。ナンバープレートを取り付けることで関係団体への寄付ができる仕組みになっており、約10万台の車に設置されている。

 米国での図柄入りナンバープレート導入には、3Mのフィルム技術が大きく貢献している。また、車の自動運転化に伴うインフラ整備の一環として、ナンバープレートで使用する反射材フィルムの埋め込み情報を自動運転車に伝えるなど、米国では実証実験も進んでいる。

ナンバープレートとフィルムの歴史

 米国で図柄入りナンバープレートが導入された約70年前から、ナンバープレートで使用するフィルムの技術は進化を遂げてきた。

1950-  エンボス加工付きナンバープレート(柔軟性を有するガラズビーズタイプ反射シート)
1975-  グラフィック付きナンバープレート (シルク印刷やフレキソ印刷による図柄入り反射シート)
1984 -   セキュリティ付きナンバープレート(偽造防止機能を有する反射シート)
2008-  夜間視認性を改良したナンバープレート(プリズムレンズ型反射シート)

図柄入りナンバープレート 開発秘話

スリーエム ジャパン トランスポーテーション セーフティ技術部 スペシャリスト 斉藤 啓氏

 海外ではシートを使用した図柄入りナンバープレートは一般的であり3Mのフィルムの使用実績も数多くありました。しかし、日本のナンバープレートは、海外にはない漢字という非常に細かいエンボス(浮き出し)加工が必須といった決定的に異なる点があり、海外で実績のあるフィルム製品は、シートの切れやハガレが発生し、そのまま使用することが出来ませんでした。
 そこで、日本独自の微細なエンボス加工と高精細な印刷を可能にするフィルムの開発プログラムが、2013年から始まりました。開発チームには、部門の壁を越えてフィルム・粘着剤・印刷技術のエキスパートなど、他分野の知識を持ったメンバーが集結しました。当時エンボス加工を行う工程の知見が少なく、この知見を得るための研究には長い時間を費やしました。
 シート材が硬ければ、シートの切れや追従が不十分になることは予想していましたが、単純に柔らかくしただけでは追従性は向上しますがシート材そのものの強度が弱くなってしまうなど、多くの課題に直面し、フィルムと粘着剤の組成や厚み、硬さなどを変更したサンプル作成・試験を繰り返すことで、微細なエンボス加工部にも追従し、シートの切れや剥がれの無い日本独自のシート材料を開発することに成功しました。

上:屋外爆露試験 左下:促進耐候性試験 右下:洗浄試験

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