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アイシングループ:DS7が1モーターハイブリッドを採用【パリモーターショー2018速報】

  • 2018/10/03
  • Motor Fan illustrated編集部
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DS7CROSSBACKE-TENCE4x4が搭載する1モーターハイブリッドトランスミッション。採用第一弾である。

パリモーターショー、パビリオン4の430ブースにおいて、アイシングループのプレスブリーリングが開催された。アイシン精機の取締役社長・伊勢清貴氏のスピーチと会場の展示から、その様子をご紹介する。

アイシン精機取締役社長・伊勢清貴氏

 皆さん、こんにちは。アイシン精機の伊勢清貴です。本日はお忙しい中、アイシングループブースにご来場いただき、誠にありがとうございます。アイシングループは専門性の高いグループ各社が連携し、世界21カ国で、パワートレイン、走行安全、車体部品、情報・電子の4つの事業の開発を行う総合自動車部品サプライヤーです。アイシングループの2017年度の売上高は約300億ユーロであり、この売上規模は「世界自動車部品メーカーランキング」においては、第6位となっています。

 当社はトヨタグループをはじめ、欧州でもVWグループ、PSAグループ、BMW、ボルボなど世界中のカーメーカーとお取引があります。近年でもアクティブ・リア・ステアリング(ARS)がルノー「メガーヌ」、8速ATがVW「ATLAS」、6速MTがジャガー「E-pace」など、様々な製品が欧州のカーメーカーに広く採用されています。アイシングループはマニュアル、オートマチック、CVT、ハイブリッドそしてeAxleまで、全てのラインナップを持つ、世界ナンバーワンのトランスミッションメーカーです。

ルノー・メガーヌが採用する「アクティブ・リア・ステアリング」。
VW・ATLASが採用する横置き8速AT「AWF8G30」(手前)。
ジャガーE-Paceが搭載する6速MT。画像は東京モーターショーのもの。

 中でも、オートマチックトランスミッションの生産台数は17年度には世界で983万台、18年度は1000万台を超える見込みです。オートマチックトランスミッションは世界中のカーメーカーから多くのご要望をいただいており、今後も需要拡大に対応するため、さらなる生産体制の拡充を行っており、2020年には1320万台の供給体制を整えていきます。ここフランスでも、2018年の3月にPSAグループと新たにライセンス生産の契約を結び、当社が開発したFF6速ATをPSAの工場で生産を行う予定です。

 一方で、トランスミッションを含むパワートレインの電動化に対しては、トヨタ自動車と共同で2モーターハイブリッドトランスミッションを開発し、独自で1モーターハイブリッドトランスミッションやeAxleの開発を進めています。昨年(2017年)の東京モーターショーで初めてご紹介したアイシンの1モーターハイブリッドトランスミッションは、主力のATをベースとし、既存ATのトルクコンバーターをモーターとエンジン切り離しクラッチに置き換えたシンプルな構造です。この切り離しクラッチによりエンジンとモーターの切り離しができるので、ハイブリッド車においてEVモードを可能とします。このトランスミッションを搭載することによって、EV走行とハイブリッド走行が可能になり、(従来のガソリン車に比べ)大幅な燃費向上を実現します。また、ベースとなる部分は既存のATをそのまま使いますので、生産面においても既存の生産設備をそのまま活用できます。

1モーターハイブリッドトランスミッション。トルクコンバーターに代えてモーターを置く機械構成。画像は東京モーターショーのもの。

 本日はこの1モーターハイブリッドトランスミッションが、先ほどシトロエンが発表した「DS7CROSSBACKE-TENCE4x4」に搭載されることを皆さまにお知らせします。既存のATと同サイズのコンパクトな1モーターハイブリッドトランスミッションは、8速ATのダイレクトなシフトフィーリングによる滑らかで上質な走りや燃費向上に貢献し、「DS7」の走りと魅力に貢献していきます。

DS7CROSSBACKE-TENCE4x4の1モーターハイブリッドトランスミッション。80kWの出力を持つ。

 アイシンの電動化技術は1モーターハイブリッドトランスミッションだけではありません。アイシンはクルマの電動化に向け大きく4つの分野で製品を提供していきます。
 一つ目のパワートレインユニットにおいては、先ほどの1モーターハイブリッドトランスミッションに加え、eAxle(イーアクスル)シリーズをご紹介します。アイシンのeAxleは、お客様のニーズに合わせ、モーター、ギアボックス、PCUを組み合わせ、最適な電動駆動モジュールとして提供していきます。例えば、モーターにおいては、お客様のニーズに合わせた容量を用意し、同軸型と平行軸型の減速機、一体型と別対型のPCUを組み合わせることで、様々な電動駆動モジュールをご用意することができます。アイシンの電動駆動モジュール小さなクルマから大きなクルマまで、さらにはバスやトラックまで、あらゆるタイプのクルマに適合することができます。

eAxleシリーズ、同軸型50kW仕様。
eAxleシリーズ、同軸型100kW仕様。
eAxleシリーズ、別軸型150kW仕様。

 先日、株式会社デンソーとこの駆動モジュールの開発・販売の合弁会社の設立検討に合意したことを発表しました。この合弁会社では、HEV、PHEV、FCV、EVなど幅広い電動化ニーズに対応できる電動駆動モジュールのラインナップを揃え、お客様であるカーメーカーのエンジンに合わせた適合までを含めて対応、販売できる体制を構築する構想です。また、EV市場の急拡大が見込まれる欧州や中国をはじめ、世界各地域への幅広い普及を目指します。

 この他にもアイシングループでは、上記の駆動モジュール以外でも、モーターやPCU、バッテリーの潤滑や冷却を行う電動ポンプにおいても幅広いラインアップを有しています。また、回生協調ブレーキにおいても、お客様の車種とニーズに合わせ、「バイワイヤタイプ」と「ESCタイプ」の2種類をご用意しています。また、クルマの軽量化も電動車の燃費(エネルギー消費)に貢献する重要なファクターです。アイシングループでは粗形材や化成品の専門メーカーを有し、ダイクエンチ工法などの高強度・軽量化製品や構造用接着剤、塗布型制振材などをご提供していきます。コンベンショナルなクルマからハイブリッド、PHV、EV・FCVまで、アイシングループは全てのパワートレイン製品を持つ唯一のサプライヤーであると同時に、様々な分野において電動化に貢献する製品を提供することができます。

 最後にもう一つ、自動運転においても新たな取り組みを進めています。先ほどお話しました駆動モジュールの合弁会社のように、統合ECUソフトウェア開発についても、アイシン精機株式会社、株式会社アドヴィックス、株式会社ジェイテクト、株式会社デンソーの4社で、統合ECUソフトウェア開発の合弁会社設立に向けた準備を進めています。次回、CESでも新たなニュースをもっとたくさんお届けできることを楽しみにしています。今後もアイシングループの技術がイノベーションを起こし、人とモビリティの新たな可能性を切り拓いていくことにご期待ください。アイシングループは時世代のモビリティを切り開いていきます。(NextFrontierinMobility!)ご静聴ありがとうございました。

パワースライディングドアモジュールを展示。ひとつのモジュールに統合している構造のため、パッケージングに優れるのが美点。

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