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BMWグループ、Northvolt、Umicoreの三社、バッテリーの持続可能なライフサイクルの確立に向けた協力へ

  • 2018/11/04
  • Motor Fan illustrated編集部
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BMWグループ、Northvolt、Umicoreの三社はヨーロッパにおけるEV用のバッテリーの完全持続可能なバリューチェーンの確立を目指すため、ジョイント・テクノロジー コンソーシアムの創立に合意した。同プロジェクトではヨーロッパにおけるバッテリーの持続可能な工業化とそれに関連する量産およびリサイクル技術の確立を目指す。

 この汎ヨーロッパ共同体の開発は新たな技術関連の仕事の創出につながり、欧州委員会副委員長兼エネルギー同盟担当委員のMaroš Šefčovič氏によって設立されたEUバッテリーアライアンスの発展に貢献する。Šefčovič氏は「バッテリーはクリーンモビリティ、クリーンエネルギーシステムの実現には不可欠なコンポーネントだ。バッテリーのバリューチェーンに組み込まれている様々な企業が参加することで、ヨーロッパがこの分野における先駆者として名乗り出ることができた。ヨーロッパ全体のバッテリー産業のイノベーションを実現しようとするこの動きに自動車産業も乗ってくれたことをうれしく思う」とコメントした。

 同プロジェクトの第一目標は完全に独立したバッテリーのライフサイクルの実現による持続可能性の確立だ。この理想のバッテリーライフサイクルの実現には再利用に適したバッテリー設計と再生エネルギーを用いた量産プロセスから始まり、長期間に及ぶ車両バッテリーの役目を果たす。車両から降ろされたのち、エネルギー貯蓄用のバッテリーとしても使われる場合もあるが、最終的にはバッテリーがリサイクルされることでサイクルを一周する。

 EVが年々増え続ける中、バッテリーの製造に関する幅広い基盤を整備することがサプライヤーにとって重要な課題となっている。これはNorthvolt社が持続可能な製造に注力しているパートナーとしてBMWの自社開発をサポートすることで大きく実現へと進んでいる。バッテリーには重要な資源や材料が含まれているため、EV車両の数が増え続ける中でも対応するにはバッテリーを再利用できるようにするライフサイクルの確立が不可欠だ。この分野に関してはUmicore社がグローバル市場におけるリーダーとして開発や製造・リサイクル技術開発を進めており、BMWグループの高度なバッテリーデザイン・材料技術と合わせることで大幅な成果が期待されている。Umicore社にとっても持続可能性と効率は重要なファクターとして認識されている。

開発の動向

 バッテリーの開発を加速させ、バッテリー化学・設計関係の開発に大きな成果をもたらすことを目指すため、2019年夏にBMWは新たにバッテリー開発センターを設立することを決定している。バッテリー開発だけでなく、試作技術やBP(ビルドトゥープリント)技術などのキー技術も開発を進める。BMWグループはバッテリー産業のバリューチェーンにすでに多額の投資をしており、持続可能性の実現へと大きく貢献している。同時に、BMWグループは提携サプライヤーが環境にやさしく信頼できる資源を用いて、カーボンフットプリントを残さず、再生資源を使用したバッテリーを製造することが重要であるとしている。

バッテリーの製造へ

 BMWグループのバッテリー開発の責任者であるBMW AGの取締役Klaus Fröhlich氏は「Northvolt社のサスティナビリティに対する取り組みはわがグループにとって非常に魅力的なもので、我々の考えと波長が合った」と言う。今やBMWとNorthvolt社は戦略的な技術プロジェクトのパートナーとして協力関係を築いている。このパートナーシップ関係はNorthvolt社の研究施設の容量を増やし、大量生産前のスケールアップラインの運用や研究開発につながる。また、同パートナーシップによってBMWグループから資金支援を受けている。

 サステナビリティはNorthvolt社のコアビジネスであり、同社は初となる完全に持続可能なメーカーを目指している。だからこそ、同社はすべて再生エネルギーでバッテリーを生産している。また、ローカルで信頼性のある資源を用いることも考慮しており、サステナビリティという点でBMWと似たようなアプローチをしている。

「BMWとNorthvoltは自動車から出る二酸化炭素を減らすという至上命題を共有している。バッテリーがEV車両の命運を分けるカギとなっている今、このパートナーシップはNorthvoltにとってのマイルストーンになるだけでなく、これからやってくるEV化の波における持続可能なバッテリーの重要性を強調している」とNorthcolt共同創立者兼CEO Peter Carlsson氏は言う。

バッテリーの材料の発展とリサイクル技術

 Umicore社はアノード及びカソードの材料開発及びリサイクル技術開発を担当している。このパートナーシップではリサイクル材料を用いた革新的で高効率な量産技術の確立につながると期待されている。また、スマートなバッテリーアセンブリ、再生利用などにも着目している。電気モビリティが広まる中、原材料の生産だけでなく既存の製品から再利用可能な資源を抽出する技術が果たす役割も大きくなると考えられている。

「Umicore社の技術とリサイクル業がBMWとNorthvoltにとってのイネーブラーとして機能できることをうれしく思う。地球にやさしく、なおかつハイパフォーマンスでEUベースのバッテリーの循環をデモンストレートすることで、我々はヨーロッパにおけるサプライチェーンのポテンシャルや重要性を強調することになるだろう」とUmicore社CEOのMarc Grynberg氏は言う。

協力関係へ

 BMWは未来のテクノロジーの実現に向けて様々な企業やサプライヤー、ベンチャーなどと共同で開発を進めており、より早いソリューションの実現を可能にしている。今回のプロジェクトではBMWグループとNorthvoltとUmicoreの3社がヨーロッパにおけるバッテリーの持続可能なバリューチェーンの実現を目指している。

 BMWグループはヨーロッパ地域においてプラグインハイブリッドやEVのためのバッテリーセルのモジュールを手掛けており、Northvolt社が完全EU内製のバッテリーに必要な最終コンポ―ネントを提供している。また、BMWグループはすでに車両における搭載寿命が近づいたバッテリーが家庭用・工業電源として使用できることを実証している。

 Umicore社はヨーロッパでのバッテリーリサイクル工場に加えて、近いうちにカソードの生産拠点をヨーロッパ圏内に新たに作ることを決めている。同社はバッテリーセルの高いリサイクル技術を保有しており、持続可能なモビリティの実現には欠かせない貢献をしている。

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