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日本の名エンジン CA18DET:ブルーバード、シルビア、180SX、スタンザ……に載せられた軽量・コンパクトなエンジン 日産CA型エンジン【CA18DET】「目指したのは徹底した小型・軽量化」若者に手の届くスポーティカーや大衆的セダンの心臓としての名機

  • 2019/08/21
  • Motor Fan illustrated編集部
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1.8ℓ 直列4気筒DOHCターボ

人々の憧れの的となるような超がつくほどの高性能エンジンでもない。搭載された車種は高価で高性能なスポーツカーやリムジンでもない。だが、このエンジンは若者に手の届くスポーティカーや大衆的セダンの心臓として生きた。広く大衆に支持され、愛されたCA型エンジンは、その姿に時代を映す。

TEXT●近田 茂(CHIKATA Shigeru) PHOTO●桜井淳雄(SAKUAI Atsuo)

 全てが新設計されて1981年に登場したのがこのCA型エンジンだ。Z型エンジンの後継機種で1.6〜2ℓまでをカバーし先ずはブルーバード(U11型)に搭載されて登場。当初はSOHCだったが、4年後には日産FF初のツインカム化を実施。1989年からは86mmストロークのSR型へ引き継がれた。

 先代モデルのZ型とは2ℓ直列4気筒、78mmストロークの、それまでの主力エンジンだ。L型をベースにシリンダーヘッドを刷新。昭和53年規制に対応し1977年に登場。主にブルーバード(810型)に搭載されたものだ。大容量EGR をかけるべく、VVT(Venturi Vacuum Transducer)方式を採用。また急速着火と安定燃焼を狙ったツイン点火方式を採用したのがほかにない特徴だった。

 さて1980年代当時、日産では小型車の全てをFF化するプロジェクトが進行していた。ブルーバード以下の全車をFF方式に切り替える。スタンザやマーチ、サニー/パルサーがそれらに該当する。同時期にサニー/パルサー用のE型エンジンが開発されたのもそのひとつである。

 ちなみに1970年代から日産はチェリーでFF方式を採用していたが、それに搭載されていたのはサニー1000から受け継がれてきたA型エンジンだ。しかし横置き搭載するのに、クランク軸後方にクラッチを介して組付けられる通常のトランスミッションでは入るわけはなく、クランクケースの下側にトランスミッションを備えて対応していた。

 新しいFF用エンジンには、エンジンブロックの脇(クランク軸の横)にトランスミッションが並んでレイアウトできる新デザインが要請された。限られた前輪トレッドの中に納めてなお不足のない舵角を稼ぎ出し、さらに低重心マウントにも貢献する。そんなコンパクト軽量、FF専用設計の新エンジンが必要になったのである。

 大きなZ型エンジンではFF方式の小型車には上手く載せられない。かくして100%設計し直して投入されたのがCA型である。鉄のシリンダーブロックとツインプラグ方式は踏襲されたが、完全なる新設計。カムチェーンをコグドベルト化することで、軽量化を徹底したのが特徴。

 同じ排気量のライバルエンジンと比較しても、パワーやトルクは特に欲張らず、しかしパッケージサイズや重量では小型軽量方向にシフトし、燃費面での優位性をターゲットとして開発。FF用に相応しいキャラクターに仕上げられている。

 カムシャフトの駆動系メカがシリンダーブロックの外側になり、歯付きのベルト駆動とすることで、エンジン寸法も短縮された。当時の技術力ではカムチェーンよりもコグドベルトのほうが、軽く造れた点がその採用理由だ。その装備重量はCA16型で113kgに過ぎなかったという。

 1.8ℓのZ型と比較すると実に35kgもの軽量化を果たしているから驚かされる。シリンダーブロックだけでなんと約12kgも軽く、クランクシャフトとフライホイールで約7kg。シリンダーヘッドもZ型より2kg以上軽い。ロッカーアームやキャブレターはアルミニウム製を採用、そのほか樹脂パーツの多用も軽量化に大きく貢献しているのだ。

 これらの大胆な軽量化設計は、コンピュータ解析を活用した成果である。シリンダーボアとボアの間隔をわずか8.5mmという極限まで詰めた設計が実現できたのも、それによる影響が大きい。ちなみにZ型では11〜13mmであった。

 特に新しい手法ではないが、クランクケース部分にはハーフスカート方式を採用。ディープスカートのZ型より明らかに軽量設計が生かされている。音振面でのネガが懸念されるが、そこはトランスミッションとの結合部やオイルパン等を補強して静粛性も両立したのだ。

 実際に写真を見てほしい。明らかに新時代を迎えたそのコンパクトなフォルムは現在のエンジンに通じるデザインの合理性をかいま見ることができる。またエンジン内部のフリクションロスを低減するなど燃費経済性も徹底的に追求。CA16型では10モード燃費で14.5km/ℓを誇った。当時のミドルクラスのクルマとしてはとても良い性能だったのだ。

FF化時代に対応したコンパクト・エンジン

補機類も含めまとめてギュッと凝縮されたような塊感のあるコンパクトデザインが印象深い。長くデザインされた吸気マニフォールドと、ヘッドカバーの上をクロスする過給用パイプの存在など全体にまとまりのあるエンジンデザインは、現在のそれに近い印象を覚える。ただし樹脂パーツの使用はまだ少ない。一時期コグドベルト化で統一された動弁系の駆動方式も後にチェーン駆動に戻された。軽量なベルトのメリットは捨てがたいものがあるが、10万km毎に交換が必要となる整備面での欠点は商品性を大きく左右すると判断されたわけだ。この頃から、オーナー自信が気配りしなければならないメンテナンスは、エンジンオイルとオイルフィルターの交換ぐらいになってしまった。

型式:CA18DET
種類:水冷直列4気筒DOHCターボ
総排気量(cc):1809
ボア×ストローク(mm):83.0×83.6
圧縮比:8.0
最高出力(kW/rpm):85/6000
最大トルク(Nm/rpm):167/3600

OTHER SIDE

2点点火急速燃焼方式

当初のSOHCエンジンではツイン点火方式が踏襲された。180度対向する位置から二つの火花が飛ぶことで、火炎伝播を促進。安定燃焼を助ける働きがある。筒内直接噴射などが当たり前になった現在とは異なり、吸気管から供給される燃焼ガスは脈流を伴うもので、着火の促進には大きな効果を果たしたという。

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