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スズキの低燃費技術 「ENE-CHARGE」と「ECO-COOL」の仕組み

  • 2019/10/20
  • Motor Fan illustrated編集部
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軽自動車でアイドリングストップを有効に使う「ENE-CHARGE」。 システム開発のカギは、軽自動車の車両価格を上昇させないような低コスト化と、システム重量を低く抑えることだった。
TEXT & PHOTO:牧野茂雄(MAKINO Shigeo) FIGURE:SUZUKI

 アイドリングストップによる燃費低減効果は無視できない。ひとたびクルマで外出すれば、必ず信号待ちに出くわす。とくに市街地では信号待ちや渋滞に費やす時間が長い。モード燃費ではなく、実用燃費を考えてもアイドリングストップは有効である。スズキは、アイドリングストップ中でもエアコンなどの電装品を作動させるため、減速時にオルタネーターで発電し、その電力をリチウムイオン2次電池と車載バッテリーの両方に貯めるエネルギー回生機構「ENE-CHARGE(エネチャージ)」を開発した。

 軽自動車に高価なリチウムイオン2次電池を採用するという英断は、東芝製電池の価格と耐久性がポイントだったようだ。「このシステムを積むことで、お客さんが日常の燃料費をセーブできるメリットを感じられるところまでコストを詰めた」とスズキは言う。電池セルは手帳ほどの大きさ・厚さで、充放電を管理する制御基盤は1枚しかない。ケースを含めてもユニット全体で2.5kgという軽さを実現した。SOC(ステート・オブ・チャージ=充電状態)は下限が約30%、上限は約80%に設定しており、電池をいじめない設計だ。電池寿命は「クルマの寿命と同程度にした」とのこと。通常の車載バッテリーとの併用である。

110アンペアのオルタネーターを使用し、発電するときには励磁させる。発電しないときもオルタネーターは回転しているが、これによるロスはごくわずかだと言う。
東芝製リチウムイオン2次電池はセル当たり2.4ボルト。5セルに36Whを貯める。電圧調整は不要のため制御系は簡素だ。全体の容量に対し30~80%の範囲で使用する。

 回生された電力を通常バッテリーに1、リチウムイオン電池に6の割合で貯める点がポイントだ。通常走行中にはオルタネーターの作動を止め、通常バッテリーでヘッドライト、エアコン、ウィンドウデフォッガーなどを作動させ、リチウムイオン電池でエンジン電装品、オーディオ、ストップランプなどの電力をまかなう。

 さらに、アイドリングストップ時には蓄冷材に貯めた冷気を送風し、室内温度の上昇を抑える。アイドリングストップは必須の装備になりつつあるが、エアコンやオーディオ、カーナビといった電装品をエンジン停止中にも作動させられるか、という点に問題が残る。とくに日本市場では、エアコンが切れてしまうことが嫌われる。電動コンプレッサーと高性能2次電池を使えばこれを解消できるが、軽自動車ではコスト面から採用は無理。そこでスズキは、走行中にエアコンの風で蓄冷材を凍らせ、この冷気をアイドリングストップ中に使用する方法「ECO-COOL」を考えた。

エバポレーターのフィンの間にパラフィン系の蓄冷材をはさみ、送風モードでも60秒間の冷風を送れる。エアコンが作動すれば短時間で再び蓄冷材は凍る。
アイドリングストップ時、35°Cの炎天下では通常、約30秒で室内温度が快適限界である25°C(エアコン設定温度25°C/吹き出し口温度20°Cでの計算)を超えてしまうが、蓄冷の効果によってこれを60秒以上に延長できた。通常の信号待ちは約90%が60秒以下だから、真夏でもアイドリングストップ時間を延ばせる。もちろん、条件によりアイドリングストップ時間は60秒から前後するが、まったくエネルギーを使わないで蓄冷が可能である点が新しい。

「ENE-CHARGE」は単なるアイドリングストップではなく、走行中と停止中の両方のエネルギーセーブと、減速エネルギーの積極回生を組み合わせた複合システムである。しかも、スズキがねらったとおりの低価格で実現した。軽自動車は生活必需品であり、日本では保有台数が非常に多い。スズキがこの技術を全モデルに展開した場合、その販売台数という「面」で得られる省エネ効果は大きい。何より、この装備の重量増がわずかである点が評価に値する。

*なお、現在は発進アシストまでを担う「S-エネチャージ」も登場、各車に採用が進んでいる。

エンジンの低フリクション化も進めた。このカットモデルにはないが、ピストン側面のコーティングに新パターンを考案し、上下動するときの抵抗を抑えている。

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