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トランスミッションの仕組み:CVTとは何か 無段変速のメカニズムを解説する

  • 2020/01/27
  • Motor Fan illustrated編集部
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CVTの要・バリエータ〜ユニットの様子(ILLUSTRATION:HONDA)

「無段変速機」という日本語の名称が与えられるCVT。ギヤを使わない、シームレスな変速が可能。では一体それはどんな構造なのか。
TEXT:髙橋一平(TAKAHASHI Ippey) FIGURE:JATCO

油圧を巧みに制御することでスライドプーリーを操る

低速域:発進時に用いるバリエーターユニットの状態。プライマリープーリー側から眺める。前後ギヤ付き自転車を思い浮かべてもらえれば分かりやすいかもしれない。発進時は前ギヤを小さく、後ギヤは大きくすると走り出しやすい。
高速域:高速巡航時に用いるバリエーターユニットの状態

 低速域(上図)と高速域(下図)におけるプライマリー側プーリーの状態。
 低速域では溝幅が広くなるかたちでスライドプーリーが外側に位置しているが、高速域では内側に移動することで溝幅が狭くなり、ベルトはプーリー外周側へ移動、ベルトの巻き付き径が大きくなっていることがわかる。スライドプーリーの位置は、その裏側に設けられたシリンダーとプランジャーが形成する油圧室に掛けられる油圧によって変化。油圧はオイルポンプからのライン圧を変速制御弁によって調圧したもので、変速制御弁はスライドプーリーの位置を検出するリンク機構と、コントロールユニットによって駆動されるステッピングモーターの位置に依存するかたちで制御。油圧はフィックスプーリーと一体となっているシャフトの中を通り、シリンダーへと導かれる。

低速域の状態を上から眺めたところ。左側がプライマリープーリー。
同じく、高速域の状態。

 上が最も “ロー(Low)” の状態。エンジンからの駆動力が入力されるプライマリー側はプーリーの溝幅を広くしてベルトの巻き付き径を小さく、セカンダリー側(出力側)は溝幅を狭めて巻き付き径を大きくすることで、回転は大きく減速される。フィックスプーリーの位置はその名が示す通り固定となっており、プライマリー側とセカンダリー側のそれらが形成する位置関係はいかなる状態でも変わらない。

 下は最も “ハイ(Hi)” の状態。上の図とは逆に、それぞれの溝幅はプライマリー側が狭く(巻き付き径:大)、セカンダリー側が広く(巻き付き径:小)なっており、入力された回転駆動力は増速されるかたちとなる。興味深いのはベルトの中心位置が上の図のそれと比べ、図の下方向(プライマリー側フィックスプーリーの方向)へ移動していること。ベルトの振舞いを理解するうえで重要なポイントだ。

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