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【海外技術情報】バッテリーは屋根の上、セントラルモーターを装備した電気バス「MAN Lion's City 18 E」の搭載技術

  • 2020/06/10
  • Motor Fan illustrated編集部
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VWグループの一員であるドイツのMAN社が4月に生産を開始した連結式の電気バスを紹介しよう。
TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)

 MANが電気バス「MAN Lion's City 12E」を世界初公開したのは2018年のIAA(ハノーファー商用車ショー)でのこと。量産開始は2020年後半であり、2030年までに定期運航バスの6割以上が電気バスになることを想定している、と発表した。

「MAN Lion's City 12E」は既に販売が開始されており、公式ウェブサイト上で確認できる。全長12mの電気バスである。容量480 kWhのリチウムイオンバッテリーは屋根上に、出力160〜270 kWのセントラルモーター1つをリアアクスル付近に搭載。航続距離は一般的な道路で200km(最大270km)である。エミッションフリーであることのみならず、フロントアクスル上のディーゼルドライブトレインが不要になったため低床車両の設計が可能とされたこともメリットだ。

 今回発売が開始されたのは「MAN Lion's City 18 E」。都市交通のなかでも特に乗客の多い場合のサービスに最適なモデルである。全長は18メートル。「MAN Lion's City 12 E」の後部に客車を連結させたものだ。安全かつ快適に、また排出ガスを発生させることなく、最大120人の乗客を目的地まで運ぶことができる。最初のモデルは2020年後半にバルセロナとケルンの路上で走行することが決まっている。同社が策定したe-モビリティ化ロードマップの一環として、MANは2020年中にヨーロッパ5ヵ国の顧客に対して、それぞれ15台の電気バスを納品する。

「MAN Lion's City 18 E」では、2番目と3番目のアクスル付近に2つのセントラルモーターを搭載する。モーターがホイールハブ付近に配置された場合とは対照的に(筆者注:インホイールモーターの意味だと思われる)、これらのモーターはアクセスが簡単であり、デザインもシンプルだ。そのため運用する事業所にとっては、メンテナンス作業と総所有コスト(Total Cost of Ownership;TCO)でメリットが生まれる。2つの駆動車軸は電気的に同期化されており、それが駆動の安定性・安全性レベルを向上させるので、関節式バスのハンドリングを改善する。さらにこの多関節バスには、アンチジャックナイフ制御システムとねじれ角制御システムが付属しており、これが走行安定性をさらに向上させる。ドライブトルクが2本のアクスルに最適化されて配分されるため、ジャックナイフが発生するような危機的な状況を事前に回避できる。

 さらに言えば、2本の駆動車軸はブレーキング時に回収する最大エネルギーを増加させる。MAN社の商用バス部長のRudi Kuchta氏は「より高レベルの回生が可能であるということは、ドライバーの運転スタイルや地形に関係なく連結式電気バスが、あらゆる状況下で極めて効率的であることを意味します」と説明している。「MAN Lion's City 18 E」では、完全なる電気ドライブラインが320 kWから最大480 kWを生み出す。このエネルギーは容量640 kWhのモジュール式バッテリーから供給される。ここでMAN社は、VWグループのモジュラーキットから開発されたリチウムイオン(NMC)バッテリーセル技術を利用している。このリチウムイオンバッテリーは、都市部での使用に最適化されたインテリジェントな温度管理システムを備えている。この温度管理システムは、季節に関係なくバッテリーが常に利用できることを保証する。その結果、「MAN Lion's City 18 E」はバッテリーのサービスライフを通じて、航続距離200km(最長で270km)を保証する。

 連結式バスの屋根には、合計8つのバッテリーパックを搭載している。これはバッテリーが衝突のリスクが高い領域である車両後部から離れていることを意味し、安全上で有利に働く。サービス時のアクセスも容易だ。バッテリーは、複合充電システムプラグ(CCS)を介して充電できる。100 kWの平均充電電力と150 kWの最大電力により、4時間未満で完全充電に達する。

 エンジンを搭載しないことは車内にもメリットをもたらす。車両開発者は車両後部に十分なスペースを得ることができた。彼等はこれを最大限に活用して、より快適な照明と後部に4つの座席を追加した。これらの機能はすでに「MAN Lion's City 12 E」で搭載されている。

 エクステリアデザインも高く評価されている。洗練された現代的なデザインは”スマートエッジデザイン”と呼ばれ、新しいダイナミックな雰囲気を醸し出す。そして今年、「MAN Lion's City E」は国際的に権威のあるデザイン賞であるiFデザインアワードにて、栄えあるiFゴールドアワードを授与されている。

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