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トヨタ自動車:めっき処理工程を革新し、環境負荷を大幅に低減する「スタンプ式めっき処理装置」を販売

  • 2020/07/01
  • Motor Fan illustrated編集部
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開発したスタンプ式めっき処理装置、左右に2基設置した状態。大きさは、1基が横約1m×奥行約1m×高さ約2m。

トヨタ自動車は、電子部品などの製造過程で基板に銅やニッケルなどの金属の被膜を形成するめっき処理工程において、金属イオンを通す高分子膜(固体電解質膜)を使いめっき処理の必要な部位にのみスタンプを押すようにめっき処理を施す、世界初(2020年5月末現在トヨタ調べ)となる技術を開発した。

 そして、この新技術を活かした新しいめっき処理装置の普及に向け、ミカドテクノスと兼松の協力により、製造・販売を行うこととした。7月1日に発売する。

 新型の「スタンプ式めっき処理装置」は、現在、主流となっているめっき溶液が入った多数の水槽にめっき処理する部品を丸ごと浸す工程が不要となるため、排出される廃液量は約30分の1に、CO2は約3分の1に大幅に削減することが可能となり、環境負荷の大幅な低減に寄与する。また、めっき処理に必要な時間の短縮や工程のコンパクト化にもつながる。そこでトヨタは、このような様々な効果が期待できる「スタンプ式めっき処理装置」を、トヨタの自動車生産に関わる取引先だけではなく、様々な業界で多くの企業に活用してもらうことで普及を図り、環境負荷の低減などに貢献するために販売することとした。
 具体的には、トヨタが保有する特許とノウハウを、真空プレス装置メーカーであるミカドテクノスに供与し、同社にて独自の技術を織り込んで開発した「スタンプ式めっき装置」を製造し、兼松を通じて販売する。

 今後2~3年を目途にモニター装置として販売し、複数の企業にて実証・評価用として使ってもらい、その後、2023~2024年頃から実用装置として広く一般向けに販売、普及につなげていく考え。

「スタンプ式めっき処理装置」の特徴(先端ヘッドの構造)

 今回新たに開発した「スタンプ式めっき処理装置」は、装置先端のヘッドの上部に溶液を入れ、めっき処理をする部位に圧着するヘッドの先端には、金属イオンを通す固体電解質膜を装着している。この構造により、基板の中のめっき処理の必要な部位にのみヘッド先端の固体電解質膜を圧着して電気を流すことで、スタンプを押すかのように、膜と接している部分にだけ金属皮膜(めっき)を作ることができる。

 一方、従来のめっき処理工程では、銅やニッケルなどめっき処理をする金属が溶けた液(溶液)に基板を丸ごと漬けて電気を流して金属皮膜(めっき)を作るため、めっき処理前後の基板の洗浄も含めて、基板全体を浸せる大きさの多数の水槽が必要。基板全体をめっき溶液の入った水槽に浸すため、大量のめっき溶液を使用しなければならず、めっき処理後に大量の溶液を廃棄(廃液)する必要がある。さらに、空気中に飛散する有害成分の除去や大量の廃液の処理の設備なども含めて、大がかりな工程となっている。

従来のめっき処理工程。めっき溶液や廃液処理のための多数の水槽と設備が必要。

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